『となりのトトロ』主人公が2人姉妹の理由は... 鈴木敏夫プロデューサーが明かすジブリ裏話

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スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが12月6日、元ジブリ社員でアニメ映画プロデューサーの石井朋彦氏とともに、石井氏の著作『自分を捨てる仕事術』のイベントに出演。宮崎駿監督とのエピソードなど、スタジオジブリの裏話で会場を沸かせた。

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左から、イベントに登壇した藤巻直哉氏、鈴木敏夫氏、石井朋彦氏


鈴木氏にとって石井氏は「弟子」にあたる人物。かつてジブリに制作進行として入社した石井氏は、入社後すぐに「クビ寸前」に陥ったことから、配置換えで鈴木氏のアシスタントを務めることになったという。

■ジブリ裏話1:「トトロのヒロインの姉妹は…」

イベントでは、鈴木氏だからこそ知り得るスタジオジブリの裏話を披露する場面もあった。

1988年公開の宮崎駿監督作品『となりのトトロ』。この作品は高畑勲監督作品『火垂るの墓』と2本立てで公開された。その時のエピソードを鈴木氏はこう語る。

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「となりのトトロ」(1988)イラスト

僕は立場として、両方にかかわらなきゃいけない。宮崎駿って人は、他人が何をやっているのか、特に高畑監督に関しては気になってしょうがない。で、「鈴木さん、『火垂るの墓』どうなってるの」って聞いてくる。

僕が「『火垂るの墓』は、こんな感じになりますねえ」と説明したら、すごい真剣な顔になった。「文芸作品じゃないか」と。「まあ、そうですね。文芸作品ですね」と返したら、「そんなに本気でやってんの?」って。

とっくに(トトロの)いろいろな設定ができていたんですよ。トトロがこうだとか、猫バスはこうだとか、トトロがコマになって空を飛ぶとか。そうしたら、(宮崎監督が)「鈴木さん、向こうが文芸作品やってるのに、ネコがバス?そんなバカなことやれないよ!」「トトロがコマになって空を飛ぶ?冗談じゃない!」って(笑)。そういうの全部やめるって言い出した日があったんです。説得するのが大変だったんですよ。

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「火垂るの墓」劇場ポスター

宮崎監督にとって、高畑勲監督は東映時代の先輩でもあり、ライバル視しているところもあるようだ。トトロをめぐっては、こんなエピソードもあるという。鈴木氏が語る。

僕は、本当は2人に60分ずつでつくってほしかった。でも高畑勲っていう人は、丁寧な言い方をすると、一生懸命に仕事をする人なんですよ。一生懸命に仕事をするから、気がつくと長くなっているんですよねえ(笑)。細かい話ですけど、88分。頼んだのは60分なんですよ?実際、最初の絵コンテは100分近くあったんですけど…。

それで宮さんが、「『火垂るの墓』はどうなってる?何分なんだ?」と。「80分ちょっとですかね」って言ったら、「ダメだよ、鈴木さん今のままでは」「俺も60分ではつくれない。俺も80分にする」って。で、「あぁ、そうですか。どうやってやるんですか?」って言ったら「どうしよう」って(笑)

急遽、上映時間を延ばすことになったため、シナリオ内容の変更が求められることになった。そこで考えられたのが、登場人物のアレンジだった。

いまでこそ言えるけど、サツキとメイっていう姉妹の話、最初の案では女の子は一人だった。彼(宮崎監督)は僕を前に、いろいろな話をして思いつくんです。「わかった!姉妹2人にしよう。姉妹にすれば長くなる」って

これが、トトロの主人公が2人姉妹になった真相のようだ。

■ジブリ裏話2:「ジブリが小金井市にある理由は…」

イベントでは、宮崎監督の女房役とも言われる鈴木氏ならではのエピソードも披露された。2015年に設立30年を迎えたスタジオジブリ、その本社屋は東京都小金井市にある。ところで、ジブリはなぜ小金井にあるのだろうか。その理由を鈴木氏はこう語る。

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スタジオジブリって小金井ってところにあるんですけど、なんで小金井なのか知ってます?自分(宮崎監督)の初恋の人の家があったからですよ(笑)。

スタジオを立てようとなったとき、宮崎駿は所沢に住んでいて、僕は恵比寿。本当は「真ん中にしよう」と言っていたんですが、そう言っている割にどんどん所沢に近づいてね、「小金井だ」ってなった。

二人で不動屋さんを一緒にまわって、いろいろな小金井の土地を見たんです。それで見終わった後、「ちょっと散歩しよう」ってことになって、二人で歩いていたんです。そうしたら(宮崎監督が)暗くなってきて、とある家の前…ジブリのすぐそばですよ。表札を見ているんです…。

「何やってるんだろう?」と思った。そうしたら宮さんが「俺の初恋の人の家」って。バカバカしいでしょ(笑)。僕は「ああそうですか」って…。実をいうと、(宮崎さんは)その人に彼女の家の前で振られた。当時そこから、とぼとぼと武蔵境まで歩いたんだって。青春の日だよ。で(宮崎さん)に「一緒に歩く?」って言われて、しょうがないから歩いたんだよ。

宮崎監督のロマンチストな一面が垣間見えるエピソードに、会場の観客からは自然と笑みがこぼれた。

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