トランプ氏、タイム誌「今年の人」に 「大変な名誉だ。しかし......」

「いろいろあるが、タイムはとても重要な雑誌だ」

アメリカの雑誌「タイム」は12月7日、恒例企画「パーソン・オブ・ザ・イヤー」(今年の人)にドナルド・トランプ次期大統領を選んだと発表した。

タイム編集長ナンシー・ギブズ氏は7日、NBCの番組「トゥデイ」でトランプ氏の選出、そして大統領選を戦ったヒラリー・クリントン氏が次点だったことを発表した。

「誰が最も影響を与えたかという問いに対して、これほどまで意見が一致したことは今までありませんでした」とギブズ氏は語った。「今回のように、今までにない型破りな方法で影響を与えた人は見たことがありません」

トランプ氏はその発表を受けて、「トゥデイ」の生放送中、電話出演した。

「いろいろあるが、タイムはとても重要な雑誌だ」と彼は述べた。「これは大変な名誉だと思う」

しかし、トランプ氏はその雑誌の表紙の彼の説明が「分裂されたアメリカの大統領」だったことは快く思っていない。

「"分裂"と書くのは嫌味だと思う」と、彼は述べた。「私はまだ大統領ではないので、分裂させるようなことは何もしていない」

トランプ氏がタイム誌の2016年「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた

写真家のナダブ・カンダー氏は、表紙の写真をデザインするときに、過去の歴史に見られる"象徴的なポートレートの構図"から着想を得たと述べた。

「トランプ氏の邸宅に着いたとき、彼の雰囲気を写真に収めたいと思いました」と、カンダー氏はハフィントンポストUS版に話した。「いくつかポーズを試しましたが、表紙としては次期大統領が椅子に座っている今回のイメージが際立っていました。この写真の重要性は、私たちが歴史の岐路に立っているという事実にあります」

メディアの中でトランプ氏が放つ大きなインパクトは否定できない。彼の議論を呼ぶ政策、リアリティTVへの出演、扇動的なコメントに関する報道は、記録的な多さだった。メディアの報道を分析するウェブサイト「メディアクワント」が3月に調査したところ、トランプ氏は大統領選挙キャンペーン期間中、メディアの報道で20億ドル近くの宣伝効果が得られたという。

タイム誌の編集者たちが選出する「パーソン・オブ・ザ・イヤー」は、その年に最も影響の大きかった出来事を象徴する個人、団体が対象となる。1回目の1927年には、単独で大西洋横断無着陸飛行に成功したチャールズ・リンドバーグが選ばれている。

ギブズ氏は、タイムのサイト上で、今回の決定について説明した。

扇動が絶望を糧とし、真実のみがそれを語る人への信頼と同じくらい強力であることをアメリカに思い出させた。隠れた選挙民の怒りを本流に変え、その恐ろしさをライブ配信することで彼らに力を与えた。そして、従来の政治風土を破壊し、未来のそれを形成した。こうした理由でドナルド・トランプ氏がタイムの2016年「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

5日の「トゥデイ」では、最終選考に残った候補者たちが紹介された。そこには、リオ・オリンピックで4つの金メダルを獲得したアメリカの体操選手シモーネ・バイルズ、歌手のビヨンセ、Facebook創始者マーク・ザッカーバーグ、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領などだ。

読者投票では、インドのナレンドラ・モディ首相がトップだった。モディ首相は、2014年の読者投票でもトップになった。

2015年の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」はドイツのアンゲラ・メルケル首相で、1986年以来、29年ぶりに個人の女性として選ばれた。その他、過去にはローマ教皇フランシスコ(2013年)、バラク・オバマ大統領(2012年)、ルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長(2001年)、アドルフ・ヒトラー(1938年)、コンピューター(1982年)などが選ばれている。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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1938: Adolf Hitler

論争を巻き起こした「今年の人」

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