「独身ハラスメント?」結婚を支援する内閣府検討会の提言骨子案がひどい

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イメージ写真 | Tom Merton via Getty Images
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企業による結婚支援を推進するため、内閣府が設置した会議「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」による提言の骨子案が12月7日に公開され、ネット上では企業が結婚を強要する「セクハラ」だとして撤回を求める署名運動が行われるなど反対意見が広がっている。

検討会の委員の1人、労働政策研究・研修機構の副主任研究員の内藤忍さんは「提示された骨子案には『価値観の押し付けになりかねない』と多くの意見があった。検討会は残り1回しかなく、このまま修正されなければ、危険な方向に進んでしまう」と警鐘を鳴らしている。問題の骨子案とはどのような内容だろうか。

■骨子案の中身は

骨子案では、従来の両立支援などのほかに、企業・団体・大学などが取り組むべき事業の例として「婚活メンター」の設置が提言されている。

婚活メンター(サポーター)とは、「既婚の従業員が社内の独身の従業員の結婚に向けた活動を支援する」担当者。企業は「婚活メンター」や外部相談員を設置することになっている。

また、こうした企業の取り組みを後押しするため、国や自治体は企業への支援を行うことが必要とされている。

その中で例として挙げられているのは「婚活を支援する企業」を国や自治体が認定・表彰する制度だ。参考例として子育て支援などに取り組む「働きやすい企業」を厚生労働省が認定し、税金を優遇する制度「くるみん」マークが挙げられている。

なお、「くるみん」マークは、厚生労働省が新入社員が過労死した電通を認定していたことがわかり、電通は認定を返上した

そもそも企業が従業員の結婚に介入することやそれを自治体・国が支援するという考え方など、疑問が多い提言案になっている。読者の皆さんは違和感を感じないだろうか?

ハフィントンポストでは委員の内藤さん、LGBTの当事者、都内で婚活中の会社員男性の3人に話を聞いた。

■反応は

検討会の委員でもある、労働政策研究・研修機構の副主任研究員、内藤忍さん

結婚するかどうか、子供を持つかどうかは個人の自由。非正規労働者の結婚率が低い現状も明らかになっており、子どもの貧困対策や若年層の労働環境の改善などが先決です。

とはいえ、方向性が決まった以上はよりよい中身にしようと議論を重ね、私も様々な意見を表明してきました。特に問題なのは企業に置かれる「婚活メンター」です。日本の企業のように「嫌です」と拒否するのが難しい環境で、メンターの、恐らくは先輩社員や上司が「彼女はいるの?」「何で結婚しないの?」などと立ち入った話を聞いてくるわけです。どう考えてもおかしい。独身者へのハラスメントですし、LGBTの人々もいる。そもそも会社は「仕事をするところ」。プライベートを明かさなくてはいけない場所ではない。

案は7日に提示されましたが、何人かの委員から疑問の声が出ました。それまでの検討会で指摘されていたことは「取り組みにあたっての留意点」の項目に入れられました。会は年内で取りまとめられ、次回が最終回の予定となっています。このまま決着すれば結論ありきの検討会と感じます。

留意点もどこまで現場に伝わるか。自治体に指示された企業の現場レベルでは、婚活の達成率が『ノルマ』のように作用し、強制につながる恐れもあります。

ゲイの当事者であり、LGBT支援などの活動をしている明治大学4年の松岡宗嗣さん

カミングアウトしていないLGBTにとって、会社で「彼女(彼氏)いないの?」「結婚しなよ」「結婚しないの?」と先輩社員などから聞かれることは苦痛ですし、セクハラやパワハラにあたる行為だと思います。それが企業に対して推奨されると、さらに生きづらい世の中になってしまいます。「婚活支援している」と認定された企業にはなるべく入りたくない。それよりも結婚だけでなく色々な価値観や多様な生き方を推奨される会社で働きたいと思います。

骨子には考え方の多様性に「配慮すべき」とは書いてありますが、具体的にどう配慮するのか?は書いていない。想像できるのは、もし同性愛などをカミングアウトしている社員がいたら、その社員には「声をかけない」ということになると思います。それは腫れ物扱いと同じで、差別を助長すると思います。

民間企業などがサービスとして婚活を望む人に向けたパーティなどを実施するのは問題がないと思いますが、従業員に対して企業がそれをやり始めるのはおかしいと思いますし、国が企業に対し、結婚という一つの選択肢だけを推奨するよう促すこともおかしいと思います。

東京都内で婚活中の会社員男性(40)

私は民間の事業者などを利用して婚活中なので、国として婚活を支援するという方向性は個人的には助かります。ただし、会社内に婚活メンターを置くという制度は、自分の婚活を社内の人に明らかにすることになり、抵抗感が強い。

そして、多額の税金をつぎ込むようなことなのか。自治体がその交付金を、本当に結婚をしたい人を支援する目的できちんと使うのかも、疑問だからです。それよりも街コンや婚活イベントをやっている民間団体に補助金を出したりするなど、草の根の活動をバックアップする方向に持っていけないものかと思います。

■検討会とはどのようなものか

検討会は2016年6月2日に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」を受けた具体的な取り組みの1つ。加藤勝信・内閣府特命担当大臣(少子化対策)が主宰し、佐藤博樹・中央大大学院教授を座長として、 尾﨑正直・高知県知事やコンサルタント、人材関連企業の担当者らが委員を務めている。

予定では2016年内に提言をまとめることになっている。年内の開催予定は残り1回だが、内閣府の担当者によると「実際に決定されるかどうかは未定」という。

担当者によると、提言の目的は、「これまで十分でなかった企業・団体等による結婚支援の取組のモデルの創出及びその取組の拡大を図る」ことを達成するためで、自治体や企業に対して「参考として」公開されるもの。

しかし、自治体に対しては、提言に沿った婚活事業などを実施することで、全国で計40億円の交付金(2016年度第二次補正予算)が内閣府から支給される。

内藤委員は「交付金があるとなれば、多くの自治体は提言に沿って事業を進めるでしょう」とし、提言が各自治体の事業に与える影響が大きいと指摘している。

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