19歳の少女、児童婚と闘う 11歳で妊娠させられた妹のために...

「アフリカでは学校がすべてです」

「児童婚を終わらせよう」キャンペーンに参加するメモリ・バンダさん

アフリカ南東部の国マラウィに住むメモリ・バンダさん(19)は、妹が「イニシエーション・キャンプ」で妊娠し、相手の男性と結婚させられたことからマラウィの児童婚撲滅のために何かしなければと考えた。

バンダさんの妹は11歳のとき、「イニシエーション・キャンプ」に送られた。しかし少女たちは「通過儀礼の手ほどき(イニシエーション)」をするこのキャンプで髪の毛の編み方やスポーツを教わるわけではない。その地域のある男性は、早期の結婚に備えて少女たちと性行為をするために派遣された。バンダさんの妹は妊娠し、この男性と強制的に結婚させられた。彼女は現在18歳。離婚し、3人の子供がいる。

目の前で幼い妹の将来が破滅していくのを傍観しているしかなかったバンダさんは、本質的に何かが間違っていると気づいた。しかし、誰もそう言ってくれる人はいなかった。

バンダさんはハフィントンポストUS版にこう語った。「結婚によって幼い少女たちの夢が奪われています。それが児童婚がもたらす一番の悪影響です。少女がどんな将来を夢見ても、その夢は一瞬で断たれてしまうのです」

(左から)未成年の花嫁イヴォンヌ・カンビザさん(16)、アリナフェ・ナイソンさん(19)、キャサリン・ジュリオ・フンサニさん(21)、カトリーナ・カンピンゴさん(15)がマラウイの児童婚や10代の妊娠問題に取り組む地元の団体を訪問。

世界保健機関(WHO)によると、児童婚をした少女は学校を中退することが多く、また性的虐待や配偶者による暴力(IPV)を受けやすい。こうした少女たちは健康面で深刻なリスクを抱えている。 妊娠、出産による合併症は、世界中で15歳から19歳までの主な死因の第2位となっている。

しかしバンダさんが強調したのは、児童婚のせいで被害少女らが自信を失っていることだった。

バンダさんは大勢の幼い妻たちから同じような声を聞いている。「世の中にどう訴えればいいか分からない。私は教育を受けていないから」

■ 「児童婚を終わらせよう」

バンダさんは妹が妊娠して結婚させられるところを見て、児童婚と闘うことを決めた。猛烈な反発に遭うのは覚悟の上だった。

バンダさんはマラウイで合法的に結婚できる年齢の引き上げに尽力し、今では高く評価されている。国連人口基金によると、マラウイでは2000年から2011年まで国内の半数の女性が18歳未満で結婚していた。

2011年にバンダさんはマラウイの「児童婚を終わらせよう」キャンペーンに参加した。そして昨年、合法的に結婚できる年齢は15歳から18歳に引き上げられた。

ロイター通信によると、以前マラウイの少女たちは親の同意があれば15、6歳で結婚することができた。児童婚によって家庭の経済的な問題を解消できるため、親は娘の生殖能力を最大限に活かそうとすることが多い。

ガーディアン紙によると、2011年にバンダさんは200人以上の少女たちとマラウイの「児童婚を終わらせよう」キャンペーンに参加した。これは少女たちを支援する2つの団体「レット・ガールズ・リード」と「ガールズ・エンパワメント・ネットワーク・マラウイ」が始めたものだ。参加者たちは主張ができるようになるために、ここで学んだ。

少女たちは60の村の村長に、児童婚や恐ろしいキャンプに自分たちを参加させる慣習から守る法案を通過させてほしいと訴えた。

2015年3月、マラウイは合法的に結婚できる年齢を18歳に引き上げた。21歳未満の少女と結婚すると、男性は土地を失い、ヤギ7頭を罰金として差し出すという重い罰則が科される。また幼い娘を結婚させる両親も同じ罰を受ける。

■ 「アフリカでは学校がすべてです」

18歳でもまだ結婚するには若いような気がするが、数年結婚を遅らせることには批判があるとバンダさんは述べた。

高校を卒業する機会が与えられれば、少女たちは人権、生殖、さらに仕事や企業のことまで重要な情報をもっと知ることができるとバンダさんは考える。大学には行けないかもしれないが、これからは少女たちの環境を改善してくれる基金がある。

「アフリカでは学校がすべてです。学校は中流階級へ上がるための唯一の手段です」とバンダさんは語った。

今後は基金によって、児童婚をした少女が遭遇する過酷な状況から少女を助けることができる。貧しい少女が年上の男性と結婚すると、あらゆる形で虐待されるケースが多い。しかし、彼女たちには逃げる手段がない。

「虐待をされても、少女たちはそれを誰かに伝えることができません。生活のすべてを男性に頼っているからです」と指摘するバンダさんは、マラウイで続く児童婚を終わらせるために、あらゆる方面で活動している。中学校をまわって生徒と話し、学校を辞めた少女たちに会い、結婚させられる少女を助けている。さらに妹を説得し、学業を再開させることにも成功した。

現在大学3年生のバンダさんは、国の進歩や国際的な支援に支えられていることを実感しているという。例えば、国連ウィメン親善大使のエマ・ワトソンは児童婚反対の主張を支持している。2016年10月、国際ガールズ・デーを前にワトソンはマラウイを訪問し、アフリカの児童婚撲滅を訴えた。

国連ウィメン親善大使のエマ・ワトソンは2016年9月20日、ニューヨーク市の国連本部で開かれた国連総会に合わせ、男女平等を目指す「HeForSheインパクト」を立ち上げた。

しかしバンダさんは、まだ安心できないと感じている。

バンダさんたちは、児童婚に関する法律が本当に施行されるまで見届けなければならない。11歳で結婚し、15歳の娘を「年頃」と考えている母親たちには「それは違う」と言わなければならない。父親たちには、少女が「人生の中でどんなことでもできる」ことを知ってもらわなければいけない――バンダさんはそう考える。

「アフリカでは学校がすべてです。学校は中流階級へ上がるための唯一の手段です」とバンダさんはハフィントンポストUS版に語った。

現在バンダさんにとって最大の課題は、男性たちに「自分の娘は結婚持参金よりもはるかに価値がある」と納得してもらうことだ。少しずつではあるが、娘に対する父親たちの態度が変わってきたとバンダさんは言う。

地域住民との最近の話し合いでは、妊娠している娘を持つ父親が立ち上がって、驚くような発言をした。この男性は、「娘をこのまま学校に通わせ、妻と一緒に赤ちゃんの面倒を見る」と言った。

バンダさんは語る。「娘のために立ち上がる父親を見てとても勇気づけられました。今までとはまったく違う態度を見せたんです。その少女は最近中学を卒業しました」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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Rina Begum, 14歳で結婚

児童婚させられた子供たち

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