ミシェル・オバマ夫人、ファーストレディとして最後のスピーチ「希望の力こそ私たちの支え」(全文)

「希望の力は、私たちの根幹となる信念です」

ミシェル・オバマ大統領夫人が1月6日、ホワイトハウスでファーストレディとしての最後の演説を行い、若者たちに希望に満ちた感動的なメッセージを送った。

最後の演説は、全米各地の高校で活動するスクールカウンセラーを表彰する「スクールカウンセラー・オブ・ザ・イヤー」の表彰式で行われた。ミシェル夫人はスピーチ冒頭で「スクールカウンセラー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたテリー・ チョルジンスキーさんについて触れた。教育の重要性を語り、スクールカウンセラーを「ヒーロー」と呼び、知識によって人々がどのようにして地域社会で「前向きな力」になるかを語った。

スピーチの終わりは、多様性の大切さについてのメッセージで締めた。ミシェル夫人は移民に直接語りかけ、移民たちは「アメリカを地上で最も偉大な国にした誇り高いアメリカの伝統の一部だ」と述べた。また信仰の多様性を称賛し、宗教の多様性は「私たちを脅かすものではなく、私たちを形作るもの」と述べた。

ミシェル夫人は、自身と夫のバラク・オバマ大統領が、いかに希望をもってホワイトハウスでの日々を過ごしてきたかを語った。 2016年12月に著名なテレビ司会者オプラ・ウィンフリーとの対談で、ミシェル夫人は希望が「必要不可欠」だと語った。ドナルド・トランプ氏が大統領選に勝利してからは、人々が「希望が持てないと感じている」とも述べた。

ミシェル夫人はまた、ファーストレディになれたことは人生最大の栄誉だと語った。

スピーチ全文は以下の通り。

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こんにちは。何してるの? みなさん、どうもありがとう。みんな、これは命令です。楽にしてください。(笑)もうすぐ終わりますから。 こんにちは、みなさん。それと、公の場でこれを言うのは最後になりますが、ホワイトハウスへようこそ。さて!さて私たちは、2017年度スクールカウンセラー・オブ・ザ・イヤーと、ステート・カウンセラーズ・オブ・ザ・イヤーの方々を称えるために、みなさんがここに集ってくれたことに大変嬉しく思います。このステージ上にいる、素晴らしい女性たちと、数人の優れた男性(笑)は、全国の学校を代表する人たちです。

まず最初に、テリーの素晴らしいスピーチと、素敵なコメントに感謝します。後ほどテリーについてもっと触れるつもりですが、まず最初に少し時間をとって、ここにいる人たちを紹介しておきたいと思います。

初めに、大変素晴らしい教育長官、ジョン・キングです。同じく、元教育長官アーン・ダンカン。お2人の献身とリーダーシップ、友情に、ここで公式に感謝する時間を取りたいと思います。お2人が指揮する教育省の支援なくして、この場は実現しませんでした。ですから、個人的に大変感謝していますし、この国のためのあなた方の働きすべてを大変誇りに思います。

それと、聴衆の中にいる数人の特別ゲストたちも紹介したいと思います。私たちには素晴らしい仲間がいます。スタッフの1人がこう言いました。「かなり深い付き合いですね」って(笑)。ええ、まあそうですね、私たちには良い友だちがいるんです。今日来てくれたのは、テッド・アレン、ララ・アンソニー、コニー・ブリットン、アンディ・コーエンーそう、アンディ・コーエンがいますよ、カーラ・ホール、ジム・ハーバウ監督と素晴らしい奥さん、旦那さんよりはるかに素晴らしいですね、ラナ・パリラ、私の親友ジェイ・ファロー、ケリー・ローランド、アッシャー。

(どよめき)お静かに。(笑)女性のみなさん、落ち着いて。ワーレイもここにいます。そしてもちろん、アリソン・ウィリアムズと彼女のお母さんもここにいます。

ここにいる人たちはみんな、若者たちを元気づけるため自分たちのスターとしての力を使ってくれます。いろいろな機会にいろいろなやり方で協力してくれたみなさんに、大いに感謝しています。みなさん、今までずっと困っていたのではないでしょうか。「ねえ、どこへ行くの?」「ニューヨークですよ」「来られる? ここに来られる? これできる ? あれ頼める? 来られる? ラップできる? 歌ってもらえる?」って。だから、みなさんには心から感謝しています。影響力があり、尊敬され賞賛されている人たちがこの問題のために発言してくれるのは、このイニシアチブにとって大変価値があることです。なので、みなさんがしてくれたことを本当にうれしく思いますし、私たちはこれからも続けていきます。

そして今日は、初日からリーチハイヤー・イニシアティブを陰で支え、たぐいまれなリーダーシップを発揮したチームを特別にご紹介します。これは予定にはなかったので、彼らは知りません。 個人的に時間をとって2、3人紹介したいと思います。理事長のエリック・ワルドー。エリックはどこですか? 彼は……こちらへどうぞ。エリックは役者みたいな仕草をしますが、注目されるのが好きなんですよ。 ちょっとシャイなふりをしているんです。副理事のステファニー・スプローです。ステファニー。 それから、まったくいないふりをしようとしているので、こういうのは嫌いなのでしょう。わたしたちのシニア・アドバイザー、グレッグ・ダーニーデールです。あちらにいます。グレッグはこれまでずっと教育指導者でした。 私が小さい事務局に勤めていた頃から彼を知っています。 みなさんと働くことができたのは本当にうれしかったです。この人たちは、才能にあふれています。そして想像力があります。 大したスタッフや予算がほとんどなくとも奇跡を起こせます。これがファーストレディのオフィスでの私たちのやり方です。そして、みなさんがしてくれたすべてのことをとても誇りに思っていますし、感謝したいと思います。彼らに盛大な拍手をお願いします。

そして最後に、ここにいる聴衆のみなさん全員を称賛したいと思います。2014年にリーチハイヤー・イニシアティブを立ち上げてからずっと私たちと共にいた教育者たち、指導者たち、若者たちがいます。最初にこのアイディアが浮かんだとき、頭の中には明確な目標がありました。 高等教育をクールなものにしたかったのです。私たちはこの国で成功することにどんな意味があるのか、そして必要なことは何かといった対話の形を変えたいと思っていました。なぜなら正直に言って、もし私たちがいつもプロのアスリートやミュージシャン、ハリウッドのセレブたちばかり注目し、彼らの功績だけを称えているとすれば、子供たちが大学の重要性を分かっていると思えないのです。

そこで私たちは新しい取り組みとして、教育に関することにスポットライトを当てることにしました。 例えば、大学のサイニングデイ(高校生が大学進学の際に契約署名する日)を国家的行事にしました。フットボールやバスケットボールの優秀な少数の選手がカレッジや大学のチームを選ぶ時の伝統と熱狂的なドラマを真似てみたかったのです。学力で大学に行く子供たちにも同じくらいのエネルギーと注目を集めることに力を入れたいと思いました。なぜなら国家として、挫けそうな多くの困難を克服し、誰も見ていなくても正しいことをする、学校で頑張る子供たちにも注目するべきだからです

次に、私たちは「ベター・メイクルーム」を立ち上げました。 これは、若い人たちが高等教育を修了するのに必要なサポートを提供し、刺激するためのSNSのキャンペーンです。そしてそのメッセージを家庭に届けるため、私が音楽業界でデビューしたのはみなさん御存知の通り。大学へ行っていろいろ学ぼう、といったラップをジェイ・ファローと一緒に歌いました。

また、高等教育をより手ごろな費用で受けられるように、この政権が果たしたすべてのことをとても誇りに思います。ぺル・グラント(アメリカの給付型奨学金制度)への出資を倍増させ、大学の税金控除を拡大しました。数千万いる学生たちのために、収入に基づくローン返済の支払いオプションを増やしました。 奨学金の申し込みを簡略化しました。生徒たちが高等教育を正しく決定できるよう情報サイト「カレッジ・スコアカード」を作りました。そしてスクールカウンセラーに新しい資金とサポートを提供しました。全体として、この政権は高等教育に復員兵援護法以来最大の投資をしてきました。そして現在、高校の卒業率は過去最高を記録し、これまでにない多くの若者が大学へ進学しています。

そして、このステージに共に立っている人たちのようなスクールカウンセラーたちが、私たちがここまで辿り着くのを助けるため大切な役割を果たしてくれました。実際に、最近のある研究によると、スクールカウンセラーと奨学金や大学について話し合った生徒たちは大学に通う可能性が3倍高く、奨学金を申請する可能性は7倍近くも高いことが分かっています。

それで、私たちのスクールカウンセラーはリーチハイヤーの真のヒーローなのです。 2年前からこのイベントを始めたのはそういうわけです。カウンセラーたちは認められ賞賛されるべきだと思ったからです。ここにいる素晴らしいみなさんが、日ごろ若者たちの生活の中で活躍されていることをみんなに知ってもらいたかったのです。そして2017年度スクールカウンセラー・オブ・ザ・イヤーを受賞したテリー・チョルジンスキーはパーフェクトなお手本なのです。

ご存知のとおり、テリーはミシガン州の専門学校とカルフーン郡キャリアセンターで働いています。テリーの校長が推薦状の中で彼女についてこう述べました。「一度組織的な必要を見抜いたなら、辛抱強く仕事に取り組みます」

テリーの学校の生徒が、高等教育へ進む準備ができていないと感じている、と報告したとき、テリーは学校規模で徹底的に大学進学準備を整えようとしました。 テリーの指導の下、これまで以上の多くの生徒が履歴書やFAFSA(ファフサ。大学進学の財政支援を受けるための申込書)作成、ーーあ、今ファフサって言えましたねーー(笑)、そして面接の準備ーこっちは辛うじて言えました(笑)ーといったワークショップに参加しました。さらにキャリア評価と個人的な人格検査を実施しました。「特別大学週間」の企画を援助しました。 軍隊のすべての軍種からリクルーターを招き、ミリタリー・デーを創設しました。こうした取り組みによって現在は、カルフーン郡の上級生75%が主要大学の応募手順を完了し、テリーの学校は州内外でより知られるようになりました。

こうしたことすべては、テリーが毎日生徒たちにしていることのほんの一部です。彼女が生徒たちと一対一で向き合い、彼らが進むべき道を見つけられるよう助けるために費やす時間について、私はいくらでも語ることができます。テリーの話に出てきた生徒の1人、カイラと連絡をとりました。カイラ自身が、自分の言葉でこう書いてくれました。「 チョルジンスキー先生は私がもっと自分を愛せるように手を差し伸べてくれました。私の疑惑や不安を解消してくれました」 。彼女は、自分の人生が「すべての面で改善された」と言っています。「私が一番つらい時期に 、ずっと手をにぎっていてくれました」と、彼女は言いました。「チョルジンスキー先生は命の恩人です」。カイラがこう言ったんですよ。

そして、これこそみなさん一人一人が毎日していることです。生徒たち一人一人の可能性を見ています。彼らを信じています。たとえ本人たちが自分を信じられなくてもです。そして彼らが本当に自分のなるべき姿になれるよう休みなく働きます。とてつもなく大きな試練に直面してもやり遂げているのです。ー予算は厳しいし、ありえないくらいの生徒数を担当するし――ええと、アーメン――(笑)、時間はいくらあっても足りないくらいでしょう。

みんな早朝に出勤し、遅くまで仕事します。自腹を切ることもありますね。――ほら、みんな必死でうなずいています。(笑) 生徒たちが最も恐れている、最も不安な時期に寄り添います。高校2年生、3年生を受け持っていれば、どんな感じか分かるでしょう。ここにいるみんなは、そうした子供たちに、自分たちは重要な存在なんだということを教えます。自分たちにも与えられるものがあると伝えます。生まれた場所、親の資力、外見、好きなもの、宗教、家で使う言語に関係なく、彼らはこの国に居場所があるのです

ホワイトハウスでの生活を終えるにあたって、ファーストレディとして最後の公式の発言ですから、若者たちへ送るメッセージが一番ふさわしいと思っています。ですから、この部屋にいる、またはテレビを見ている若者のみなさん、この国はあなた方のものだということを知ってください。背景や人生の歩みに関係なく、あなた方みなさんのものです。あなたやご両親が移民なら、あなた

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