途上国の家庭照明は灯油を使う。しかし、「グラビティ・ライト」が変えた

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グラビティ・ライトは、数千人が自宅を照らす方法に革命をもたらす可能性がある

世界では100万人以上の人々が、自宅の照明を使うのに灯油に依存している。灯油の照明は主に発展途上国で使われる。灯油は人々が食事し、掃除し、眠る空間に、発がん性のある有害物質を放出する高価な石油製品だ。しかし多くの人々にとって、代わりになるものはない。

ロンドンの設計者ジム・リーブスさんとマーティン・リッジフォードさんが、灯油に代わるような、より安価な家庭照明を開発しようとしたのは、太陽光発電の団体から、コストを削減する方法を依頼されたときだった。

「太陽光発電の照明だと、バッテリーがあまりに高価なので驚きました」と、リーブスさんは語った。「原価の3分の1は充電式バッテリーが占めていました。このバッテリーの寿命は2、3年で、最も高価なパーツが消耗してしまうのです」

蓄電にコストがかかっているのは、リーブスさんたちにとって非合理的に思えた。そこで彼らは、照明が必要な時だけ、エネルギーを生み出すことができる照明をつくろうとした。

2人はどう解決したのか?  太陽光発電ではなく、重力による発電でライトをつくった。  彼らが開発した「グラビティ・ライト」は、10kgの岩、砂、その他の重いもの詰めた袋を吊り下げ、その重さで20分間以上照明が付く単純なメカニズムだ。グラビティ・ライトは充電を一切必要としないし、何も排出しないし、何より決め手となるのが、動力のための費用が一切かからない。

サハラ以南のアフリカの家族は現在、世帯収入の 20〜30パーセントを灯油に費やしている。現在ケニアで25ドル相当で売られているされているグラビティ・ライトは、3〜4カ月で元がとれるようになる、とリーブスさんは言う。

恩恵は金銭的なものだけにとどまらない。毎日、世界中の7億8000万人の女性と子供が、タバコ2箱分の煙を吸い込んでいる。その煙の大部分は灯油からくるものだ。一方、 グラビティ・ライトはクリーンだ。

グラビティ・ライトは石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルの出資でケニアに普及した。再生可能エネルギーを駆使したグラビティ・ライトと提携するのは、ありえない連携のように思われる。

「グラビティ・ライトを支持する人は、環境問題への意識が高い人々が多いことを考えたら、石油化学企業との連携に不安を覚えることでしょう」と、リーブスさんは語った。

「しかし石油会社は、こうしたさまざまなベンチャー事業が、自社にとってメリットになると認識し、私たちのプランに合わせた出資をしたのです」

「企業側は、私たちが何をするつもりか、そして自分たちがどのように支援できるかを尋ねてくれました。グラビティ・ライトを支援すれば企業イメージが良くなるので、結局は企業にとって得になる方法だと思います」

2015年にクラウドファンディングサイト「インディーゴーゴー」で出資を募った時には、40万ドル(約4500万円)以上集まった。グラビティ・ライトは現在、中国に工場を持ち、ナイロビ郊外で10人のケニア人スタッフが組み立て、9000台を製造している。

およそ3000台が出資者に納品されるが、リーブスさんはその残りをケニア中の消費者に販売することを望んでいる。しかしリーブスさんの望みは、ケニアの国境を越えて拡大している。

「灯油の問題を根絶する、そしてその他の問題解決のために、さまざまな展開ができると思います」と、リーブス氏は語った。「より大きな問題に対処する手助けができればと思っています。家庭照明のために灯油をしなければいけない問題、そしてそれに伴うコストと健康に及ぼす影響の問題です」

「数千世帯に支援するのも、とても素晴らしいことですが、数十万世帯、または数百万世帯を支援できれば、さらにもっと素晴らしいものになります」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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