「極右」台頭するトランプ氏以後の世界 キング牧師の不気味な予言とは?

「無責任に好戦的な態度は、全世界を絶滅の暗い深淵に陥れる可能性がある」
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公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は、生涯にわたり数えきれないほどの深く鋭い言葉を残した。なかでもこの言葉は、ドナルド・トランプ氏の大統領就任の不気味な予言のようだ。

キング牧師は1964年7月16日、共和党によるバリー・ゴールドウォーター氏の大統領候補指名への声明を出した。ゴールドウォーター氏のキャンペーンは、公民権改革に反対し白人至上主義を暗に標榜する新しい保守主義を公約に掲げていた。ゴールドウォーター氏は、候補指名を受けて共和党が白人優位主義イデオロギーの興隆を合法化・扇動したと非難したキング牧師の存在を警戒した。

「共和党がバリー・ゴールドウォーター氏を米国大統領候補に指名したことは不幸で壊滅的だ」とキング氏は述べ、ゴールドウォーター氏の「無責任に好戦的な態度は、全世界を絶滅の暗い深淵に陥れる可能性がある」と警告した。ゴールドウォーター氏の人種や市民権へのスタンスに、キング師は同様に鋭い意見を表明している。

キング師はこう述べた。

共和党の主張と政策は、人種差別、反作用、過激主義に傾いた。公民権という喫緊の課題について、ゴールドウォーター上院議員は道徳的に擁護できない、社会的な自殺ともいえる価値観を象徴している。ゴールドウォーター氏自身は人種差別主義者でなくても、彼の価値観は明確に人種差別主義者を擁護し、安心感を与えることになる。大統領候補になったゴールドウォーター氏の政策は、あらゆる種類の過激派を守る傘となる。こうした事実から見て、そして私のアメリカへの愛があるから、私はあらゆる黒人と、良心を持った白人たちがゴールドウォータ―氏に投票せず、ゴールドウォータ―氏や彼の政策への関与を公に否定しない共和党員への支援を中止するよう呼びかける。

キング牧師は、特定の候補者に言及しないポリシーを長いこと貫いていたが、ゴールドウォーター氏が大統領になるのは「国家の健全、道徳、生存」に対する大きな脅威だと考え、声を上げた。

公民権運動の活動家マルコムXは1964年、ゴールドウォーター氏について同様のコメントを出し、「万一彼が勝利したら、全世界が人種差別の現実に目覚めてしまう」と警告した。

いわゆる「極右」が支持者の間で台頭し、超保守派のジェフ・セッションズ氏のような人々が側近に任命されている現在のトランプ氏の状況は、ゴールドウォータ―氏についてのキング師の感情が容易に当てはまるように感じる。ゴールドウォーター氏は1964年の大統領選でリンドン・ベインズ・ジョンソン氏に敗北した。しかしトランプ氏は勝利した。キング師の言葉は、これから待ち受ける大変な事態を見据えたもののようだ。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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