小田原市だけじゃない。生活保護窓口で「体売って働け」「中絶強要」など実態をNPOが報告

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生活保護窓口で、職員が「体売って働け」。妊娠を告げた女性に「どこで堕ろすんですか?」...。

小田原市では職員が「保護なめんな」などと書かれたお揃いのジャンパーを着用していたことが判明し、担当者が謝罪した

一方、生活困窮者からの相談を受け付けているNPO法人POSSEの渡辺寛人さんらは1月20日、都内で記者会見を開き、こうした事例は他にも数え切れないぐらい行われていると指摘した。

POSSEに相談があった事例では、北海道の50代の車椅子の女性は、働けない病状にも関わらず就労しろと迫られ「体売って働け」とも言われた。

また、千葉県内の生活保護窓口で出産扶助を受給しようと妊娠を告げた女性は、窓口のケースワーカーに「どこで堕ろすんですか?」と尋ねられ、中絶を強要させるようなパワハラを受けたという。

また、神奈川県内では通院やアルバイトのために自動車を保有している男性に対して、ケースワーカーが手放すように強要し「お前なんかこの市に住むべきではない」と暴言を吐いたという。

■DV被害者に「親に連絡を」

POSSEによると、東京都世田谷区の生活保護申請窓口では、申請しようとしたDV被害者の女性に対して、加害者の親に連絡を促すなどの不適切な対応があったという。同日、世田谷区の保坂展人区長に面会して対応の改善を申し入れ、保坂区長は「早急に事実を確認する」とのコメントを発表した。

POSSEが不適切な対応があったと指摘しているのは、以下のような申請者の話だ。

生活保護を申請しようとしたのは、東北地方出身の20代女性。
女性は、親兄弟から受けていたDV被害により精神障害を患っっている。家族から逃れるため、2016年9月から都内で知り合いの家に居候していた。
その後、一人暮らしをしようと、生活保護を受けるために2016年10月に世田谷区の烏山福祉事務所の窓口を訪問したが、窓口で応対した職員には、DV被害について話しているにもかかわらず、「一度家族に連絡を」などと言われ、精神的苦痛を受けた。
また、生活保護の申請もすることができなかった。

その後、女性はPOSSEに相談、職員が申請窓口に同行したとこと申請が受理され、現在、女性は生活保護を受けることができているという。

生活保護法では、扶養義務者が生活保護に優先されると定められている。しかし、虐待・DVを受けている人に対する二次被害を防ぐため、「DV防止法」やそれに基づく通達では「被害者の居住情報保護に配慮するように」と定められている。

また、生活保護法では、受給の申請は誰でもすることができるとされている。にもかかわらず、申請を受けてから審査をするのではなく、窓口段階で職員が住民からの申請を阻む「水際作戦」は、違法行為となる可能性がある。

渡辺さんは、「この事件でも職員には『生活保護の窓口に来るような人には何を言っても構わない』という差別意識があったのではないか。同じような事案はまだまだたくさんあり、一つ一つ調べて今後報告していきたい」と話している。

一方、申し入れを受けた世田谷区の保坂区長は「早急に事実を確認するための調査を担当所管に指示いたしました。事実確認の結果、改善が必要な点は早急に対応し相談者に寄り添う対応となるよう適切に対処してまいります」とするコメントを発表した。世田谷区側は、1月27日までに事実確認をして公表するとしている。

■反バッシングムーブメント設立

小田原市職員が「なめんなジャンパー」で威圧的な対応をしていたことが問題になったが、ネット上でも頻繁にバッシングが行われている。

しかし実際には、生活保護の不正受給の割合(2015年度)は、金額ベースでは0.4%。日弁連は、生活保護を本当に必要としている人のうち受けられているのは約2割だとし、こちらの方がより問題だと指摘している

渡辺さんらは「『自己責任論』に基づき激しくなっているバッシングに対して、客観的な事実やデータを元に対抗する」として、行政の不適切な対応などを公開していく「反バッシンングムーブメント」を設立したと発表。現在、団体に相談が寄せられた中から不適切な事例約50件をサイト上で公表している。

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