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オーストリア、顔全体を覆うベール「ニカブ」を公共の場で着用禁止へ

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ニカブを着用した女性 (Photo by Artur Widak/NurPhoto via Getty Images) | NurPhoto via Getty Images
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オーストリアは、連立政権の支持強化を狙った改革の一環として、目以外の顔全体を覆うベール「ニカブ」の着用禁止を計画している。

クリスティアン・ケルン首相は1月30日、副首相とともに、35ページからなる一連の提案書を発表した。この文書は、与党・社会民主党が連立を組む国民党と共同で作成したものだ。

「我々は開かれたコミュニケーションを前提に築かれる開かれた社会の実現に力を注いでいる。 顔面を覆うベールを公共の場で着用することはこの妨げとなるため、禁止とする」と、提案書には書かれている。

オーストリアのニカブ着用禁止の動きは、極右のポピュリズム政党「自由党」支持者からの要求に応じたものとみられる。2016年12月の大統領選で自由党のノルベルト・ホーファー氏は敗北したものの、世論調査ではかなりの支持を集めている。

ヨーロッパでは反移民、反イスラム主義を掲げる政党が頭角を現してしているが、今回のベール着用禁止令が施行されれば、オーストリアはそうした政党と強く結びつく政策を受け入れた国の一つとなる。改革案には、ニカブの着用禁止に加え、外国人労働者に対する規制や、オーストリアに避難してくる難民の受け入れに新たな条件を設けることなどが盛り込まれている。


2017年1月30日、ウィーンで記者会見に臨むオーストリアのクリスティアン・ケルン首相とラインホルト・ミッターレーナー副首相。LEONHARD FOEGER/REUTERS

ニカブ着用禁止令を批判する声も上がっている。オーストリアのイスラム教徒団体「イスラミック・フェイス・コミュニティ」の代表イブラヒム・オルグン氏は、ベールの着用が禁じられれば、オーストリア政府とイスラム教徒との関係が損なわれるだろうと指摘した。

しかしヨーロッパでは、多くの国が同様のベール着用禁止政策を検討している。反移民、反イスラムの方針を掲げる政党が支持を強めている国では、その傾向が特に強い。

オランダは現在、一部の場所で顔全体を覆うベールの着用を禁じる法案の承認が審議されており、同法案は2016年11月に下院を通過した。法案が成立すれば、学校や病院、官庁施設、公共交通機関ほか、特定の公共施設でニカブとブルカ(目の部分も含め、頭からかぶって全身を覆う衣服)の着用が禁止となる。

この禁止令の後ろ盾となったのは、オランダのマルク・ルッテ首相が率いる自由民主国民党だ。ルッテ首相は1月、公開書簡を発表し、オランダ国民に向けて「普通に振る舞うか、さもなければ国を去ることだ」と述べた

専門家は、この公開書簡が3月に控えた国政選挙に向けて右派のポピュリストを支持する有権者を取り込むためとみている。

オランダは複数政党制のため、反イスラム主義のヘルト・ウィルダース氏が率いる極右政党「自由党」が実際に政権を握る可能性は低いものの、自由党は相当数の票を獲得するだろうと予想されている。アメリカのドナルド・トランプ大統領と並び称されることもあるウィルダース氏は1月31日、トランプ大統領がイスラム教を主流とする7カ国に向けて発した入国禁止令を賞賛した

ドイツでは2016年12月、アンゲラ・メルケル首相が「法的に可能になり次第」ベールの着用禁止令を復活させると発表した。極右政党「ドイツのための選択肢」が反移民を基盤として多くの支持を集める中で、メルケル首相は今年、4期目となる再選を目指している。

顔を覆うベールはスイスの一部地域でも禁止されており、ベルギーも2011年以降着用を禁じている。フランスでも同様のベール着用が禁止されたほか、一部の都市の市長が全身を覆うタイプの水着「ブルキニ」の着用を禁止した。「ブルキニ・バン」と呼ばれ話題になったこの禁止令は、フランス最高裁によって違憲で人種差別であるとの判決が下され、撤廃された。

オーストリアのニカブ着用禁止令は、さらに徹底したものになるかもしれない。セバスティアン・クルツ外相は1月、公務員を対象に頭部に巻くスカーフの着用を禁止することも賛成すると発言した

オーストリアの総人口約850万人の中で、顔全体を覆うベールを着用して暮らしている女性は100〜150人程度と推定されている。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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