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野生のバイソンが毎年大量に殺処分されるアメリカ 時代に合わない伝染病管理の犠牲に

2017年02月10日 18時12分 JST | 更新 2017年02月10日 18時18分 JST

アメリカの連邦政府当局は2017年も、イエローストーン国立公園にいる野生のアメリカバイソン(アメリカバッファロー)を殺処分する準備を始めた。

これまでに15頭のバイソンが殺処分されたと、公園関係者はAP通信に語った。今後数週間で、公園に生息するバイソン約400頭が殺処分される予定だという。関係者は、この冬の間に1300頭を削減したいと語った。

イエローストーン国立公園のメスのバイソン / WILLIAM CAMPBELL VIA GETTY IMAGES

イエローストーン国立公園では2000年以降、国立公園局とモンタナ州が作成したバイソンの管理計画に沿って、公園の境界を超えて移動するバイソンを殺処分している。

野生生物学者たちは、イエローストーン公園には数千以上の動物が生息できるスペースが足りない。スペースが足りないと、野生動物の過放牧(土地の広さ・生産力に対して家畜数が多過ぎるために、採食や踏みつけによって草地の再生産を悪化させるような放牧)や大規模な飢餓が発生する。

国立公園局によると、モンタナ州の法律では、公園の外に移動できるバイソンは「非常に限られた」数だという。州や連邦の法律は、ブルセラ症(妊娠中の牛に胎児を堕胎させる細菌)の畜牛への伝染を防ぐため、殺処分場や研究施設以外への野生のバイソンの輸送を禁止している。また、ロイター通信によると、牧場経営者は牛が食べる牧草をバイソンに食べさせようとしない。

殺処分場に送られるのを待つバイソン。2014年、イエローストーンのスティーブンスクリーク捕獲施設にて。

地元紙「ボーズマン・デイリー・クロニクル」によると、2017年に殺処分のため出荷されたバイソン15頭は、繁殖目的ででモンタナ州のフォートペックインディアン居住地の隔離施設に入れられていた40頭の一部だった。AP通信によると、国家家畜衛生当局と連邦動物衛生当局は殺処分に反対したが、ブルセラ症のリスクが高い15頭のメスのバイソンが2月8日にトラックに積み込まれて殺処分場に運ばれた。

妥協策として、オスのバイソン25頭が農務省管轄の牧草地に送られ、隔離を経て最終的にモンタナ州フォートペックに移された。うち1頭は、脚を骨折して7日に射殺された。

殺処分場に送られるのを待つバイソン。2014年、イエローストーンのスティーブンスクリーク捕獲施設にて。/ WILLIAM CAMPBELL VIA GETTY IMAGES

実際にブルセラ症が畜牛に伝染した事例は、これまで一件も記録されていない。しかし、国立公園局はその可能性を主張し、事例がないのはバイソンと畜牛を隔離する共同作業の成果だとしている。

両機関の間のバイソン管理計画の条項に従い、政府は毎年数百頭ものバイソンの削減を計画している。公園境界の外にいるハンターたちがある程度の頭数を射殺し、他は捕獲されて殺処分場に送られる。動物愛護団体は、この殺処分のプロセスはバイソンにとってストレスとトラウマを与えるものだと非難している。その肉は、様々なアメリカ先住民の部族に配布される。

毎年行われるバイソンの殺処分には、多くの動物保護団体や一般市民が反対している。国立公園局も、この慣習は時代に即していないと批判し、新しい管理計画が必要だとしている。

「国立公園局を含む多くの人々が、バイソンを殺す行為に不快感を示しています」と、イエローストーン国立公園長のダン・ウェンク氏は2016年の声明で語った。「移住したバイソンが公園の外のより広大な生息地にアクセスさせるか、生きたバイソンを他の場所に移す方法さえあれば、イエローストーン公園は喜んでバイソンの削減頻度と規模を減らします」

実際に何をすべきかについては、全ての人が同意しているわけではない。国立公園局はいくつかの動物を救う方法として、他の保護地域に移す隔離プログラムを奨励している。

しかし、野生のバイソンを保護する活動をする「バッファロー・フィールド・キャンペーン」は、「隔離は解決策ではない」と指摘し、隔離プログラムを非難している。家族グループを分離したり野生動物を捕らえて強制的に隔離したりするのは残酷だというのがその理由だ。隔離中であっても、病気の検査で陽性だったバイソンは殺される。

しかし、イエローストーン公園とバッファロー・フィールド・キャンペーンの双方とも、他の野生生物種と同様にバイソンもイエローストーンの境界線を越えて自由に移動させるべきだという点で同意している。

「過去20年間に、イエローストーンがまたがる3つの州のおよそ20の家畜事業者で、家畜からブルセラ症が発見された」と、国立公園局のウェブサイトには書かれている。「感染源は野生のエルク(ヘラジカ)だった。モンタナ州では、エルクはイエローストーンの外に自由に移動できる。バイソンにもその自由を与えるべきだが、実現していない」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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移動する野生動物たち

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