「ユダヤ人の墓は私たちが守る」イスラム教徒の退役軍人たちが、シナゴーグの警備を申し出る

「イスラムの教えに従わねばなりません」

全米各地で反ユダヤ感情が高まり、ユダヤ人墓地の墓石が倒される事件が相次いで発生し、シナゴーグ(ユダヤ教徒の会堂)やユダヤ人学校、ユダヤ教施設「ユダヤ人コミュニティセンター(JCC)」への脅迫や嫌がらせが相次いでいる。

1月以降、60を超えるJCCに対し、160件を超える爆破予告が起きた。ハフィントンポストはサイト上で脅迫事件を追跡している。

そんな中、イスラム教徒の退役軍人たちが、ユダヤ教の礼拝所の警備を買って出た。

宗派を超えたアメリカ国民の団結を示すため、多数のイスラム教徒の軍役経験者がTwitter上でユダヤ教徒を支援する投稿を出した。

シカゴ都市圏に住むイスラム教徒の海兵隊員です。シナゴーグやユダヤ人墓地を警備する人材が必要でしたら、私も仲間に入れてください。イスラムの教えに従わねばなりません。

ヒューストン地域のユダヤ人コミュニティの皆様へ、私は10年間祖国を守る任務に就いてましたので、みなさんが私を必要としてくれるなら喜んで、ユダヤ教の礼拝所を守ります!

支援を申し出たのは退役軍人だけではなかった。

首都ワシントンに住むイスラム教徒です。シナゴーグを警備する人材が必要でしたら、私がお役に立ちます。イスラムの教えに従わねばなりません。

僕は海兵隊員でも何でもないけど、必要としてくれるなら警備員やります。

ハリスバーグに住むイスラム教徒です。シナゴーグやコミュニティセンターを警備する人材が必要でしたら、私が皆様のために警備活動をやります。イスラムの教えに従わねばなりません。

2月27日には、アメリカ国内の少なくとも12の州でユダヤ人関連施設が爆破予告を受け、避難する騒ぎとなった。

アラバマ、ノースカロライナ、ニューヨーク、コネチカット、ニュージャージー、インディアナ、ペンシルバニア、フロリダ、メリーランド、ミシガン、バージニア、デラウェア州で、少なくとも16のユダヤ人コミュニティセンターや学校が脅迫電話を受けていたことをハフィントンポストUS版が確認した。

FBIと司法省公民権局が脅迫事件の捜査をしている。

ジェフ・セッションズ司法長官は、破壊行為や爆破予告は深刻で許されない行為であり、公民権局が「こうした行為を取り締まるためにあらゆる手段を尽くし、関わりがあると立証できる人間は、とにかく片っ端から起訴する」と述べた。

アメリカでユダヤ人コミュニティに所属する人々を支援するために、イスラム教徒が団結したのは今回が初めてではない。

イスラム教徒が主催する募金活動に対し、約1750万円が集まり、2月に起きた反ユダヤ活動で破壊されたユダヤ人墓地の修復に使われることになった。

チェス・シェール・エミス墓地でユダヤ教徒の墓石の列で170以上が倒された。TOM GANNAM / REUTERS

ミズーリ州セントルイス郊外ユニバーシティシティにある「チェス・シェール・エミス墓地」では21日、およそ150の墓石が倒された。フィラデルフィアでも26日、何者かが多くの墓石を倒した。フィラデルフィアの「アーマディア・イスラム教徒・コミュニティー・センター」は声明で破壊行為を非難するとともに、清掃作業や警備を行うチームを派遣した。

「ユダヤ教徒の我々の兄弟、姉妹に対し攻撃が相次いでいることについて、我々イスラム教徒の心は大きく動揺している」と、アーマディア・センターは声明で述べた。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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