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トランプ大統領の入国禁止令、ハワイ州が提訴「観光や留学生に影響を及ぼす」

2017年03月11日 02時14分 JST | 更新 2017年03月11日 02時24分 JST

アメリカ・ハワイ州は3月8日、ドナルド・トランプ大統領が新たに署名したイスラム圏6カ国からの入国を一時的に禁止する大統領令が違憲だとして一時差し止めを求め、ホノルル連邦地裁に提訴した。

新たな大統領令への提訴はハワイ州が初めてとなった。ハワイ州は、この大統領令がイスラム教徒の州民、観光産業、外国人留学生や労働者に影響を及ぼすと主張している。

ハワイ州が3月8日にトランプ政権に対して起こした訴訟は、大統領にとって痛手だ。

トランプ氏は1月27日、7カ国の人々の入国を90日間禁じ、難民の受け入れを120日間一時的に停止する入国禁止措置の大統領令に署名した。

これに対し、ワシントン州にある連邦地方裁判所のジェームズ・ロバート判事が2月3日、「社会や経済に取り返しのつかない損害が生じる」として大統領令の一時差し止めを命じた。

トランプ政権側の司法省はサンフランシスコ連邦高裁に不服を申し立て、2月7日の電話による口頭弁論で「大統領が安全保障面で下した判断を覆した」として地裁命令を取り消すよう求めていた。一方ワシントン州側は、地裁の決定を取り消したら「国に大きな混乱を再びもたらす」と反論していた。

連邦高裁は2月9日、大統領令を差し止めた地裁命令を支持する保全処分を下し、7カ国からの入国は継続していた。

トランプ氏は会見で、「ひどい裁判所がひどい判断を下した。迅速に対処して悪者を入国できないようにする」と、入国管理に関する新たな大統領令を速やかに出す意向を表明していた。

トランプ氏は6日、イスラム圏7カ国の国民の入国禁止令に代わる新たな大統領令に署名した。対象国はイラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国のうちイラクが除外され6カ国となり、入国査証(ビザ)や永住権を持つ人は入国できるようになった。

ハワイはトランプ大統領の新しい入国禁止令に挑む、アメリカで最初の州となった。MAPS4MEDIA VIA GETTY IMAGES

ハワイ州は当初の入国禁止令に対しても提訴したが、ワシントン州の訴訟があったため保留になっていた。

改正された大統領令は3月16日から施行される。

匿名の若いイスラム教徒がサンディエゴ国際空港で、入国禁止令に抗議するデモに参加し行進する。SANDY HUFFAKER VIA GETTY IMAGES

「ハワイ州が特別なのは、歴史上、憲法上の両方で決して差別をしてこなかったことだ」と、ハワイ州のダグラス・チン司法長官は語った。「ハワイ州民の20%が外国で生まれており、10万人がアメリカ国籍を持たず、就労者の20%が外国生まれだ」

チン司法長官によると、ハワイ州は法律事務所のために約15万ドル(約1700万円)の予算を組んで訴訟を支援している。入国禁止令の思想は国籍への嫌悪に基づいているとハワイ州民は考える、と批判した。

また、チン司法長官は「第二次世界大戦中、日系アメリカ人がハワイの収容所に送られたことを人々は忘れていない」と述べた。

トランプ大統領は、物議を醸した入国禁止令の改訂版に署名した。CARLOS BARRIA / REUTERS

「ハワイ州民は、見知らぬ人々に対する恐れは悪い政策を導きかねないことを知っている」とチン司法長官は語った。

この動きに先立って、8日午前にホノルルの連邦地裁判事は「ハワイ州はこの訴訟を進めることが可能だ」と述べていた。

ホノルル連邦地裁のデリック・ワトソン判事はハワイ州の要求を受け、15日に電話による口頭弁論の実施を決めた。新たな大統領令が実施される前日に当たる。

入国禁止令に対して、世界中で反対運動が広がっている。9日、オーストラリアのシドニーのデモ。JASON REED / REUTERS

ハワイ州は3月15日の口頭弁論で、法的訴訟が解決するまでは判事が禁止令の施行を保留する保全処分を命ずるべきだ、と主張するとみられる。

司法省は、係争中の訴訟に関する声明を控えた。

ハワイ州は訴状で、この訴訟はハワイ州民や観光産業、外国人留学生を受け入れる学校などを保護するためにあり、新大統領令が宗教や国籍による差別を禁じた憲法に違反していると主張。

ハワイ州が、新大統領令に対して異議を申し立てた。

同州イスラム協会のイマーム・イスマイル・エルシェイク氏が原告となる。エルシェイク氏は、「この大統領令によって、シリア人の義理の母親がハワイに来られなくなってしまう」と語った。

また、公開された訴状で、新大統領令は「ハワイに住むイスラム教徒を傷つけるもので、エルシェイク氏とその家族、モスクのメンバーたちが被害者となっている」と指摘。

ハワイ州の差し止め請求をめぐって、ワシントン州司法長官事務局の広報担当者ピーター・ラヴァリー氏は、「保全処分は継続中で、新大統領令にも適用可能だ」と見解を述べている。

AP通信によると、リッチモンド法科大学院のカール・トビアス教授は、「ハワイの訴状は、ワシントン州の訴訟と多くの点で似ているが、同じ結果になるかどうかは分からない」と指摘する。

その上で、「バラク・オバマ大統領に任命され、長年検察官だったホノルル連邦地裁判事の受容力にいくらかは期待している」と展望を示した。

トビアス教授によると、新大統領令は当初より国家安全保障の論拠をより詳細に説明しており、6カ国からの旅行者の一部を臨機応変に認めているため、新たな入国禁止令がイスラム教徒に対する差別を意図していると証明するのはより難しくなったという。

「政権は禁止令を改定したが、それが十分なものだったかどうかは分かりません」と、トビアス教授は語った。「新たな大統領令に宗教的迫害があると証明するのは困難になったかもしれない」

また、トビアス教授は「ハワイ州が原告を一個人にしたのは英断だ」とも述べた。原告を個人にしたのは、入国禁止令に対し州が異議を申し立てることを、一部の法学者によって疑問視されることを考慮したとみられる。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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