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トランプ氏の新しい入国禁止令も差し止め ハワイ連邦地裁「論理破綻している」

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アメリカ・ハワイ州の連邦地裁は3月15日、ドナルド・トランプ大統領による新たな入国禁止令の執行を全米で一時差し止める決定を出した。

16日に大統領令が発効する直前の決定だった。

トランプ氏は15日夜、テネシー州ナッシュビルで演説し、「欠点だらけの決定だ」と批判。トランプ支持者がブーイングで賛意を示した。

トランプ氏は、「自分には移民を一時停止する権限がある」と主張し、「前例のない司法の越権行為だ」と激しく非難した。

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「今回の決定で、我々は弱められる。それでも、私たちはこれ以上弱くなることはない」と、トランプ氏は不満を露わにした。トランプ氏はまた、「このひどい決定と闘う」と述べ、必要であれば最高裁まで争う意向を示した。

トランプ氏は新たな入国禁止令について「当初のものよりも効力を弱めたバージョン」であり、「当初のものに戻したほうがいい。当初の入国禁止令のほうが敵の議論により多くの爆弾を投入できる」と語った。また、トランプ氏は「核心部分では、いずれの入国禁止令も同じものだ」と主張した。

司法省は今回のハワイ連邦地裁の決定を「論拠がなく、対象範囲も間違っている」と批判した。大統領には国の安全を守るための法的な権力がある、と司法省のサラ・イスグール・フローレス報道官は声明で述べた。

■ トランプ氏の入国禁止令、これまでの経緯

トランプ氏は1月27日、7カ国の人々の入国を90日間禁じ、難民の受け入れを120日間一時的に停止する入国禁止措置の大統領令に署名した。

これに対し、ワシントン州連邦地方裁判所のジェームズ・ロバート判事が2月3日、「社会や経済に取り返しのつかない損害が生じる」として大統領令の一時差し止めを命じた。

トランプ政権側の司法省はサンフランシスコ連邦高裁に不服を申し立て、2月7日の電話による口頭弁論で「大統領が安全保障面で下した判断を覆した」として地裁命令を取り消すよう求めていた。一方ワシントン州側は、地裁の決定を取り消したら「国に大きな混乱を再びもたらす」と反論していた。

連邦控訴裁は2月9日、大統領令を差し止めた地裁命令を支持する保全処分を下し、7カ国からの入国は継続していた。

トランプ氏は会見で、「ひどい裁判所がひどい判断を下した。迅速に対処して悪者を入国できないようにする」と、入国管理に関する新たな大統領令を速やかに出す意向を表明していた。

トランプ氏は6日、イスラム圏7カ国の国民の入国禁止令に代わる新たな大統領令に署名した。対象国はイラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国のうちイラクが除外され6カ国となり、入国査証(ビザ)や永住権を持つ人は入国できるようになった。

入国禁止令は、トランプ大統領が、改定された大統領令に署名した10日後の3月16日、アメリカ東部標準時間の午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発効の予定だった。署名から施行までの時間差は、この大統領令により影響を受ける可能性のある人々にあらかじめ警告を与えるためのものだった。

当初の大統領令が即時発効した際には、何千人もの人々が立ち往生し、または拘束された。予告なしに入国査証(ビザ)を取り消され、各地の空港で混乱が発生し、抗議活動が起きたのとは対照的だった。

■ ハワイ連邦地裁「憲法が定める宗教差別の禁止に違反の可能性」

ハワイ連邦地裁のデリック・ワトソン連邦地裁判事は、新しい入国禁止令の中身が、アメリカ合衆国憲法第一条の国教条項(宗教差別の禁止)に違反する可能性があると述べた。国教条項とは、政府が特定の宗教に対して不利な扱いをすることを禁止するものだ。

ワトソン判事は、トランプ政権の主張を一蹴した。政権側は、新しい規制が適用されるのはイスラム教徒が多数派を占める世界50カ国の「ほんの一部」であり、したがってイスラム教徒をターゲットとしたものとは見なせないとしていた。

「明らかに、政府の主張は論理破綻している」と、ワトソン判事は書面で述べた。「いかなる集団に対しても全員をひとくくりにしなければ、テロと対決する姿勢を示したことにならないという見解には根本的な欠陥がある」

ワトソン判事はさらに、「今回の入国禁止令の条文は宗教について触れておらず、最初の大統領令と比較して裁判所が提示した憲法違反の疑いは解消されたと思われる」というトランプ政権側の主張も退けた。

「合理的、客観的に判断すれば、誰でもこういう結論になると思われる。大統領令には宗教差別を目的としたものではないと書かれているが、イスラム教徒の入国を一時的に中断するという宗教的な意図をあいまいにするためのものだという疑いがある」と、ワトソン判事は今回の決定理由を語った。

トランプ氏が出した前回の入国禁止令を阻止した、ワシントン州司法長官室は「ここ1カ月間の混乱を根絶する」ために「各州が見せたチームワーク」を称賛する声明を出した。

■ 「基本的には変わりのない政策」ホワイトハウスも認めていた

1月27日に署名された最初の大統領令は即時発効され、アメリカ全土に混乱が広がった。弁護士やボランティアたちが連日空港に駆けつけ、到着と同時に拘束されたり尋問されたりしていた人々を支援し、世界中の都市で抗議活動が広まっていった。さらに、複数の地域の裁判所で、発効と同時に入国禁止令を差し止めようとする仮処分の申し立てがあった。

入国禁止令を差し止める裁定の中でも影響力の大きかったものは、2月3日にシアトルにあるワシントン州連邦地裁のジェームズ・ロバート判事が出したものだった。この裁定により、トランプ政権の入国禁止令はアメリカ全土で施行を阻止された。連邦高裁が2月9日、この裁定を支持し、トランプ大統領の入国禁止令に憲法違反の疑いがあることを指摘した。

数度にわたり延期を余儀なくされ、出だしでつまづいたため、トランプ政権側は大統領令を修正し、裁判所に認めるられるよう作り直した。しかしスティーブン・ミラー上級大統領顧問は、公表前の段階から「基本的には変わりのない政策になるだろう」と認めていた

ワトソン判事は、新大統領令発表の数日前にFoxニュースで放送されたこのミラー氏のコメントを、一時差し止めの仮処分決定の際に引用している。

またワトソン判事は、トランプ氏を支持するルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長のコメントも引用した。ジュリアーニ氏は、「大統領からイスラム教徒を合法的に入国禁止する方法の相談を受けた」と、Foxニュースで明かしていた。

新大統領令は、無期限入国制限をシリア難民に限定しておらず、宗教的少数派難民の優遇措置も含んでいない。この措置は、イスラム教徒を排除する一方で中東諸国のキリスト教徒の入国を認める方法として見なされているものだ。

新大統領令は、原案通りでも数万人に影響を与える可能性がある。新大統領令は、すでに取り消された大統領令のように、難民受け入れを少なくとも120日間停止し、政府には今年度の受け入れを最大5万人とするよう命じるものだ。オバマ前大統領が受け入れ目標を11万人としていたのに比べて、大幅に受入数が減ることになる。

新しい入国禁止令でも、当初の禁止令で認定されたものと同様に憲法違反の疑いがあると、法曹界からは反対の声が上がっていた。新入国禁止令は、信仰に基づいてイスラム教徒に入国障壁を設けている。

これは、トランプ氏が大統領選で掲げた公約の一つだが、同時に、国家安全保障の専門家の中には、国内外のアメリカ人と難民にリスクを与えるものだと指摘している人もいる。

このような反対論とは別に、ワトソン判事は、「トランプ政権は完全に失敗したわけではなく、将来的に、今回の大統領令とは違った形で国家の安全保障のために政策を立案することは可能だ」と示唆した。

「トランプ政権のこれまでの措置が、この国の安全保障上の懸念に対処するための政策を立てる上で永遠の汚点とはならない」と、ワトソン判事は決定書で記している。

「しかし、現在入手できる記録からは、当裁判所が、取り消された大統領令13769 号と新大統領令では、憲法上大幅に条件を変更されたと認定できない」

トランプ政権は第9巡回連邦控訴裁判所に上告する見込みだ。しかし連邦控訴裁は、2月9日に最初の入国禁止令の一時差し止めを支持している。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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