充電を気にしなくても大丈夫。私たちの暮らしに合った、新しい電気自動車のカタチとは?

2017年03月16日 23時03分 JST

私たちの暮らしの便利さは、電気がもたらしてきたさまざまな革命によって紡がれてきた。オール電化住宅の台頭に始まり、今や電気は私たちの暮らしには欠かせない存在になっている。

もちろん車もその例外ではない。環境問題やオイルショックといったエンジン車への逆風が、電気で走る車、EV(エレクトリック・ビークル)への追い風になり、エコカーと呼ばれる電気自動車やハイブリッドカーが主流になりつつある。時代とともに人々の価値観やライフスタイルも変わりゆく中で、現代を生きる私たちの暮らしに合った車とは、どんなものなのだろうか。

future car family

■ガソリン自動車時代の終焉とエコカーの台頭

1886年から100年以上に渡って続いていたガソリン自動車の時代が終焉を迎え、1990年代、「ポストガソリン車」を巡る激動の時代が始まった。エコカーへの注目が高まる中、電気エネルギーを動力とするハイブリット車が登場。そして、自動車メーカーはさらなる電気自動車の性能向上に試行錯誤し、2010年、エンジンのない100%電気の自動車、新時代を切り開くEVが満を持して登場した。

■環境にやさしいだけじゃない。EVで変わるカーライフ

新世代のEVは、環境にやさしいだけではなく、私たちの暮らしに合った快適なカーライフをもたらしてくれる。まず、クルマからエンジンがなくなると、騒音・振動・ニオイの3つが消えて、心地いい乗り物になる。

たとえば、赤ちゃんを乗せている車だったら、騒音や振動がなくなって安心して見守れるようになる。車酔いがひどかった人がストレスなく車に乗れるようになって、遠くまでドライブできるようになるかもしれない。オイル交換や給油の手間が省けるのは、スタンドが苦手な女性にもうれしいところだ。電気代はガソリン代のおよそ5分の1で済むので、ランニングコストも抑えられる。

car baby mother

EVは、電源として屋外で電化製品が使うこともできる。すでにコンサートではアンプやスピーカーをつなぎ、カフェでは調理器具などの電源として、EVが使われていると聞く。EVは人やモノを運ぶだけでなく、電気も運んでくれるのだ。

■「ニーズはあるけど買うのはちょっと……」EVへの一歩が踏み出せない理由

ではなぜ、そんな魅力的なEVが一気に普及しないのだろうか。EVを選ぶことを躊躇する理由のトップは、エンジン車に比べてEVは走行距離が短いことだ。たとえばノルウェーは、世界で最もEV普及率が高く、売れるクルマの7台に1台がEVというほどのEV大国。しかし、「長距離移動に不安がある」という理由で、次もEVを購入したいという現EVユーザーは約半数にとどまるアンケート結果が出たという。

日本では、急速充電と普通充電を合わせると、すでに2万カ所以上の充電施設があるが、地域によってその充実度はマチマチだ。数が多い神奈川や東京、愛知、大阪などの都市圏と比べると、少ない地域ではおよそ10倍もの差がある。家の近所を走る分にはいいが、旅行などで長距離を走りたい時に、「バッテリー切れになったらどうしよう」「充電施設がうまく見つかるかしら」という不安をいつも抱えながら走るのは、ちょっとストレスだ。

powerstation

都心部では駐車場の問題も大きい。マンションでは充電設備を整えるのが難しい。だが、だからと言って自宅で充電せずに充電施設だけを頼って走るのでは、面倒が増えてしまう。時には数少ない充電施設に集中して“充電渋滞”も起きているという実態を踏まえると、EVを便利に使うには自宅で充電できる環境はマストと言える。

■現代の日本社会に合った、新しいEVのカタチ

それでは今の私たちの環境、私たちの暮らしにあった車とは、どんな車なのだろう。もっとも理想的なのは、「充電の心配なく長い距離を走れる」環境にもやさしいEVだ。でもそんなEVが実現するのはまだまだ先の話……、と思われていた矢先。充電の必要のない、まったく新しいカタチのEVが2016年末に登場した。それが、日産自動車が発売した「ノートe-POWER」だ。

note

充電の必要がない。そのカラクリは、ノートe-POWERが“自分で発電しながら走れる“ことにある。発電専用のエンジンが搭載されていて、必要に応じてバッテリーに電気を貯めながら走るため、わざわざ充電施設に立ち寄らなくても、ガソリン車同等に長い距離を走れるというわけだ。

それでいて、EVの特権である静かさや、モータードライブシステムによるパワフルで上質な走りももちろん健在だ。エンジンを駆動用に使うと、そこから発生するエネルギーの約半分は無駄になってしまうが、発電専用ならロスなく効率よく使えるという点から見ても、ノートe-POWERのシステムは理にかなっている。まさに、ハイブリッド車とEVのいいとこ取りと言えるだろう。

■ライフスタイルに合わせて車も変わる。これからも進化し続けるEV

2016年の国内の新車販売台数ランキングは、ハイブリッドカーが長らくトップに君臨していたが、日産のノートは2016年11月に1位を獲得。同社の月販1位は、1987年5月の6代目「サニー」以来の30年ぶりだった。さらには2017年1月の新車販売台数でもノートは1位を記録している。

運転免許の女性保有率が大幅に増え、男女比が50%に近づくことで、車の選び方も変わってきた。主に休日やレジャーに車を使う男性に対して、女性は買い物や子どもの送り迎えなどで日常的に車を利用する。そのため、従来の趣味性に加えて日々の暮らしに役立つ実用性も、車選びの重要なポイントになってきている。そんな中、ノートの場合、EVとは異なり充電が不要で、今までと同じようにガソリンを給油して走れるという最大の特徴が、今までEVに踏み込めなかった層に受け入れられた。環境に配慮し、小さな子供といっしょに移動しやすい、という現代の子育て世代の価値観にも合っていたのだろう。

電気の力で私たちの生活が変わったのと同様、車も電気の力で走る時代になりつつある。車の技術開発は、日本の大手自動車メーカーだけでなく、シリコンバレーの新興企業も競い合う。未来の自動車は、これからもきっと私たちをワクワクさせてくれるに違いない。

(監修:まるも亜希子)