トランプ大統領「オバマ氏が盗聴」となおも主張 その根拠は「FOXニュースが言ってた」

「この件については私ではなく、FOXに聞いてほしい」
WASHINGTON, USA - MARCH 17: German Chancellor Angela Merkel (L) speaks during a joint press conference at the White House with U.S. President Donald Trump (R) during her visit to Washington, United States on March 17, 2017. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)
WASHINGTON, USA - MARCH 17: German Chancellor Angela Merkel (L) speaks during a joint press conference at the White House with U.S. President Donald Trump (R) during her visit to Washington, United States on March 17, 2017. (Photo by Samuel Corum/Anadolu Agency/Getty Images)
Anadolu Agency via Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領は3月17日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相との共同記者会見で「盗聴に関しては、私たちに共通の経験がある」と語った。

ホワイトハウスで行われた共同会見で、ドイツ人記者から盗聴問題について質問を受けたトランプ氏は、「前政権がやったとみられる盗聴に関しては、私たちには共通の経験がある、おそらく」と、トランプ氏が冗談めかして語り、会場の笑いを誘った。

メルケル首相はトランプ大統領に目を向けたが、笑顔を見せることはなかった。

2013年10月、中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン氏の暴露により、オバマ政権がメルケル首相の携帯電話を盗聴していた可能性があったことが明らかになっている。メルケル首相が「信頼を破る行為で、重大な結果を招くことになる」と抗議したのに対し、オバマ前大統領は傍受の事実を否定したという。

■ トランプ氏が突然持ち出した盗聴疑惑

トランプ大統領は4日の一連のツイートで、選挙期間中にオバマ政権がトランプタワーを盗聴していたと主張した。

「ひどすぎる!」と、トランプ氏は書き込んだ。「勝利の直前のトランプ・タワーでオバマが「電話を盗聴」していたことが今分かった。何も見つからなかった。これはマッカーシズムだ!」

トランプ氏のツイート全投稿は以下の通り。

ひどすぎる!勝利直前のトランプ・タワーでオバマが「電話を盗聴」していたことが今分かった。何も見つからなかった。これはマッカーシズムだ!

新情報。ジェフ・セッションズが会っていたロシア駐米大使はこれまでに22回、去年だけで4回もホワイトハウスにオバマを訪ねていた。

現職大統領が選挙期間中に候補者の電話を盗聴するのは合法なのか?以前裁判所は却下した。最低新記録だ!

良い弁護士がいればきっと見事に立証できるはずだ。選挙直前の10月、オバマ大統領が私の電話を盗聴していたという事実を!

非常に神聖な選挙の進行期間中に私の電話を盗聴するとは、オバマ大統領も落ちたものだ。これはニクソンのウォーターゲート事件だ。悪い(それか病んでいる)奴だ!

トランプ氏はTwitterに連続して投稿し盗聴疑惑を広めたが、その裏付けとなる証拠は示さなかった。

トランプ氏も、トランプ政権も、この疑惑の根拠としたのは保守系メディアの記事のみで、スパイサー報道官は16日、FBIが複数の機関による共同調査を率い、トランプ政権関係者とロシア政府の接触の可能性を調べていると、匿名の情報筋の証言を引用した一連の報道を読み上げた。

上院情報特別委員会は3月16日、バラク・オバマ前大統領がトランプタワーを盗聴していたとするドナルド・トランプ大統領の主張を立証する証拠はないと発表した

■ スパイサー報道官、コメンテーターの発言を根拠として説明 イギリス政府は抗議

証拠がないにもかかわらず、ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は16日、オバマ政権がイギリスの情報機関と協力してトランプ氏を盗聴していたと主張した。その根拠は、FOXニュースの法務アナリスト、アンドリュー・ナポリターノ氏の情報によるものだった。

ナポリターノ氏は、「オバマ氏は国家安全保障局(NSA)や中央情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)、司法省を使わず、GCHQ(英国の情報機関)を利用した」と発言している。スパイサー報道官はこの発言を盗聴の根拠にした。

イギリス政府は抗議し、テリーザ・メイ首相の報道官は「トランプ政権に対し、そのような主張は馬鹿げていて、無視すべきものだ。このような報道がもうないという確認をした」と述べた。イギリス政府がスパイサー報道官とナポリターノ氏の論拠を覆すと、ホワイトハウスは謝罪したという

しかし、トランプは17日の会見で、責任を問わない形でこの件の幕引きを図ろうとした。

「あなた方からの質問を終えるため、私たちは何も言わなかった。私たちがしたのは、テレビでの発言ができるほど有能な、ある法律の専門家の発言を引用したまでだ。意見は何も述べていない。FOXニュースのきわめて有能な弁護士の発言だけでだ。だから、この件については私ではなく、FOXに聞いてほしい」と、大統領は報道陣に語った。

スパイサー報道官も、「改めることは何もない。私は報道を読み上げただけだ」と述べた

FOXニュースのキャスター、シェパード・スミス氏は同日、FOXニュースネットワークはナポリターノ氏の主張を立証することができなかったと語った。

スミス氏は、FOXニュースは「あらゆる場面で、あらゆる方法をとっても」、 トランプ氏を盗聴した「行為の証拠」を見つけられなかったと語った。

共和党のトム・コール下院議員は3月17日早朝、トランプ氏はオバマ氏に謝罪すべきだと語った。しかしホワイトハウスは、大統領のツイート内容を今も否定していない。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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