「ダコタ・アクセス・パイプラインで破壊行為」建設会社が被害報告

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DAKOTA ACCESS PIPELINE
(Photo by Alex Milan Tracy/Anadolu Agency/Getty Images) | Anadolu Agency via Getty Images
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サウスダコタ州とアイオワ州にある石油パイプライン「ダコタ・アクセス・パイプライン」の一部が、最近何者かに破壊され、燃やされる事件があったと、両州の当局者が3月21日発表した。

AP通信によると、3月13日かそれ以前に、アイオワ州のマハスカ郡で何者かが松明(たいまつ)を使い、パイプラインの一部を切り開いて火をつけたと、ラッセル・ヴァン・レンターグヘム保安官が語った。サウスダコタ州のリンカーン郡でも3月17日に同様の被害報告があったという。

いずれの件もけが人は報告されておらず、逮捕者もいなかった。関係当局によると、燃やされた穴は空のパイプの部分だった。

パイプラインの建設会社「エナジー・トランスファー・パートナーズ」社は、パイプライン建設計画が破壊行為の標的となっているという内容の状況報告書を顧問弁護士を通じて21日に提出した。今後も石油パイプラインに対する破壊行為が行われるのではないかという懸念が強くなっている。

「近頃パイプラインに関する組織的な攻撃があり、生命、身体的安全そして環境への危険を伴うため、この状況報告書の残りは封印し提出する」と、エナジー・トランスファー・パートナーズ社は裁判所文書に記した。

パイプラインが建設されるノースダコタ州のアメリカ先住民スタンディングロック・スー族が、パイプライン建設によって居留地の水源地が汚染されるという訴訟を連邦地裁に申し立てている間、エナジー・トランスファー・パートナーズ社は建設に関する進捗情報を提供してきた。

一連の被害が、パイプライン完成に大きな遅れをもたらすことはないと同社はみている。

「最近起きた組織的な攻撃のためにパイプラインに石油開通作業を中止することはない。その点を考慮すると、今週中にも開通できると思われる」と、状況報告書に書かれていた。

エナジー・トランスファー・パートナーズの関係者は、アメリカ先住民と支援者による抗議の間、デモ参加者たちが同社の器物を破壊したり、従業員を攻撃したりしたことを繰り返し非難してきた。

現在、抗議デモが拡大した数カ月前に比べ、パイプライン建設をめぐる緊張は和らいできている。抗議デモの拠点となったノースダコタ州のオセチ・サコウィン・キャンプはほぼ撤去され、2016年夏から警察とデモ隊が何度も衝突していた大規模な抗議デモが起こる可能性が低くなってきている。

残る争いは、パイプラインの正当性に関する法廷闘争だ。

スタンディングロック・スー族とシャイアンリバー・スー族は、ノースダコタ州のミズーリ川の下を通るパイプラインの建設に反対している。先住民の居留地を侵害しないと約束した1851年のフォート・ララミー条約に違反し、他のルートを探るための環境影響評価報告書のための調査をしておらず、信仰の自由を奪うという理由からだ。

先住民たちはワシントン連邦地裁にエナジー・トランスファー・パートナーズ社と、パイプライン建設の認可権を持つアメリカ陸軍工兵司令部を提訴した。彼らは訴訟の間パイプライン建設の一時差し止めを求めていたが、却下され続けている。

エナジー・トランスファー・パートナーズ社によると、パイプラインは石油を列車やトラックで運ぶよりも環境面で安全で、必要な政府の承認はすべて得ているという。

■ ダコタ・アクセス・パイプラインとは

ダコタ・アクセス・パイプラインは、「エナジー・トランスファー・パートナーズ」がノースダコタ州のバッケン油田からイリノイ州の石油ターミナルまでをつなぐ1172マイル(約1886キロメートル)のパイプラインをおよろ38億ドル(約4360億円)かけて建設するプロジェクト。建設ルート近くの居留地に住むアメリカ先住民スタンディングロック・スー族とその支援者たちが、水源のミズーリ川が汚染されることを懸念し、「水の保護者」として抗議デモを続けていた。

陸軍工兵司令部は2016年12月4日、ミズーリ川をせき止めたダム湖「オアへ湖」の地下を掘削する地役権(ある土地の便益のために、他人の土地を利用する権利)の承認を拒否し、地下にパイプラインを通す工事を認可しないと発表し、建設は中断されていた。バラク・オバマ前政権は、パイプラインによって起こり得る環境への影響を調べ、他のルートを探るための環境影響評価報告書をまとめるよう陸軍工兵司令部に指示した。


EnergyTransfer.com

スタンディングロック・スー族はこの計画に一貫して反対しており、部族が生活する居留地の水資源に打撃を与え、神聖な土地を脅かし、連邦文化財保護法とスタンディングロック・スー族ら先住民の居留地を侵害しないと約束した1851年のフォート・ララミー条約に違反しており、連邦当局はパイプラインが環境に及ぼすリスクを適切に調査していないと主張している。

しかしトランプ大統領は1月24日、ダコタ・アクセス・パイプラインの工事を進め、カナダのアルバータ州からネブラスカ州までの1179マイル(約1897 キロメートル)をつなぐパイプライン「キーストーンXL」建設を手がける「トランスカナダ」に、オバマ前大統領が2015年に却下した建設計画の再申請をするように促す大統領令を出した。トランプ氏は建設再開で「多くの雇用、2万8000もの雇用を生む。素晴らしい建設計画だ」と述べた。

大統領令を受けて陸軍工兵司令部は7日、環境に及ぼす影響調査が完了するまで建設許可を与えないとしていた方針を覆し、環境影響評価の調査を中止し、建設を完了させる許可を与えると発表した。エナジー・トランスファー・パートナーズは9日からパイプラインの最終区間の建設を開始した。

ワシントン連邦地裁のジェームス・ボアズバーグ判事はエナジー・トランスファー・パートナーズ社に対し、ノースダコタ州の貯水湖の地下にパイプラインを通す工事再開を認めた。一方アメリカ先住民のスタンディングロック・スー族とシャイアンリバー・スー族は戦略を変更し、陸軍工兵部隊とエナジー・トランスファー・パートナーズに対する法廷闘争へと移行し、訴訟が現在も複数進行している。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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ワシントンD.C.でダコタ・アクセス・パイプライン建設抗議デモ
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