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上院共和党は、禁じ手の「核オプション」を行使してまで最高裁判事の承認を急いだ

2017年04月07日 23時06分 JST | 更新 2017年04月07日 23時06分 JST

アメリカ上院は4月6日、ドナルド・トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したコロラド州デンバー第10巡回控訴裁判所のニール・ゴーサッチ判事の承認について、審議を打ち切る動議(クローチャー)を可決した。

ゴーサッチ氏の承認をめぐり、野党民主党は議事進行を妨害するフィリバスター(長時間演説などの議事妨害)で抵抗していた

フィリバスターが宣言されれば、議員が1人でも要求した段階で無制限で審議が継続される。審議を打ち切るためにはクローチャーを可決しなければいけないが、そのためには上院の全議員の5分の3(60議席)以上の同意が必要となる。

上院は共和党52議席、民主党48議席で共和党が過半数を占めるが、クローチャーを可決するためには民主党から8票の賛成票が必要となる。

そこで共和党や、60票で承認という上院の規則を変更し、単純過半数(51票)の賛成票で承認されるようにした。これは「核オプション」と呼ばれる禁じ手であり、議会では長年共和・民主両党ともこの手段に踏み切ることを躊躇していた。

上院共和党の首脳ミッチ・マコーネル院内総務と共和党首脳が4月6日、最後の選択肢「核オプション」の引き金を引いた。

民主党は、ゴーサッチ氏では保守色が強すぎると主張していた。上院民主党は団結してゴーサッチ氏の承認審議にフィリバスターを仕掛けようとした。民主党はまた、バラク・オバマ前大統領が最高裁判事に指名したメリック・ガーランド氏について、共和党が承認公聴会を拒否し、議決まで持ち込ませなかったことを批判した。

「今日これだけ面倒なことになったのは、ガーランド氏の件があるからだ」と、民主党のディック・ダービン議員は語った。「上院の歴史の中で初めて、史上初めて、共和党が多数を占める上院は候補者に聴聞会も採決のチャンスも与えなかった。あれだけひどいことは、それまで一度も、一度たりとも、なかった」

一方共和党は、民主党が最高裁判事候補の指名に対し初めて派閥的な議事妨害をすることで、歴史に汚点を残したと批判した。

「我々は上院の規範と伝統を取り戻し、この先例のない派閥的な議事妨害を切り抜けなければならないと、マコーネル院内総務は核オプションの行使というルール変更の口火を切る直前に語った。

「議事進行にかかる疑義を申し立てます。2013年11月21日の先例に基づき討論終結の採決は全ての指名について過半数により可決されます」と、マコーネル氏はルール変更の際に言った。

この規則のもと、議場にいた上院議員は、マコーネル氏の提案が誤りであると採決する義務があった。そこでマコーネル氏は、同僚の共和党議員たちに、採決で反対票を投じる呼び掛けた。52名の共和党員全員が反対、48人の民主党員全員が賛成した。

この結果、この上院の規定は恒久的に変更され、連邦最高裁判事の指名候補を承認するには単純過半数の51票で可決することになった。もはや大統領が指名した候補を承認する際、多数党が少数党の意見、そして多数党の有権者の意見を考慮に入れる必要は全くなくなった。

通常、上院規定を会期中に破棄するには3分の2以上の票、つまり67票が必要だ。だからマコーネル氏が核オプションを使ったのは、歴史的にみても極めて異例の事態となる。

ルールを変えた後、マコーネル上院院内総務はゴーサッチ氏の指名を進めるための再投票を行ったが、新ルールのもと、55対45で通過した。そして4月7日、ゴーサッチ氏の承認投票に進む。

ニール・ゴーサッチ指名候補を最高裁判所の役職に就かせるために党内投票での承認を得るよう上院規定を変更した後、親指を立てて喜ぶミッチ・マコーネル上院院内総務。

民主党はチャック・シューマー上院議員は「核オプション」を食い止めようと最後まで奔走したが、両党が妥協案を見出せる時間を稼ぐために上院を延期し、4月24日まで引き延ばそうとしたシューマー氏の努力は失敗した。

共和党議員は、2013年に民主党の上院院内総務だったハリー・リード氏が核オプションを行使し、51票の単純過半数で下級裁判所の指名候補を承認できるようにしたことと一緒だ、と主張している。

しかし、シューマー氏は核オプションを行使した事情は若干異なる。当時、共和党はオバマ前大統領が指名した下級裁判所判事の承認を何年間も遅らせていた。また、シューマー氏は、アメリカ議会史上判事指名でクローチャーが決議されたのは147件あるが、そのうちの半数以上にあたる79件はオバマ前大統領の任期中の6年間に起きたものだ。つまり、共和党がオバマ氏の指名を妨害する目的だったと民主党議員は主張している。

シューマー議員を含む複数の民主党議員は共和党に対し、規則変更をするのではなく、8人の民主党員が支持するような新しい最高裁判事候補者をともに探し出そうと説得していた。しかし、共和党は民主党の説得に応じなかった。

ジョン・コーニン上院議員など、共和党の中には、「上院の規則変更は、判事指名の議事妨害がほとんどなかった時代に戻るだけだ」と声もある。しかし、共和党員を含む多くの上院議員は、この規則変更は両党の溝を深めるだけで、司法がイデオロギーに左右される傾向が悪化するだろうと主張した。

共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員は、「過去にはフィリバスターを尊重したことで、超党派合意にこぎつけることができた」と、核オプションの行使に反対していた。しかし、マケイン氏までが規則変更に賛成した。マケイン氏は5日、「おそらく回復不能なダメージを負う」行為だと警告していた。

民主党は投票で抑え込まれ、降伏したように見える。しかし民主党議員は、フィリバスターの前から共和党は結果ありきだったと思っている。

「マコーネル氏は妥協点を探し出すことに何の関心もなかったように思う」と、民主党のベン・カーディン上院議員は批判した。「多数派が妥協することに関心がなかったら、少数派にできることは多くない」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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