誘拐されそうになった婚約者を取り戻そうと犯人に発砲した男性、逮捕される

「捜査官は私たちを辱め、中傷したのです」

誘拐現場を撮したという動画のスクリーンショット。アンジェラ・エストラダさん提供

アメリカ・テキサス州に住む男性ジェレマイア・モリンさん(35)は、婚約者を誘拐しようと襲撃した2人の覆面の男に発砲した罪で逮捕された。婚約者は、保安官事務所の逮捕は誤っていると主張している。

「捜査官たちが嘘をついたせいで、弁解しなきゃいけないのが悲しい」と、発砲したモリンさんの婚約者アンジェラ・エストラダさん(32)はハフィントンポストUS版に語った。「捜査官は私たちを辱め、中傷したのです」

エストラダさんは、モントゴメリー郡保安官事務所が3月31日に発表した声明を非難している。保安官事務所によると、モリンさんは、エストラダさんを誘拐しようとした2人の覆面男に「見境なく」発砲したため、殺人未遂の容疑で逮捕された。

保安官事務所は、エストラダさんが「暗い色の服を着て、スキーマスクと手袋をつけた2人の黒人男性」に襲われる様子を詳述している。

エストラダさんはハフィントンポストUS版に、悲惨な出来事の詳細を語ってくれた。

「プリキンダー (幼稚園に入る前に通うプログラム) に4歳の子どもを迎えに行き、家に帰ってきたときでした」とエストラダさんは言った。「まだ赤ん坊の弟を連れて入外に戻ると、男が私の顔に銃を突き付け、『黙ってろ』と言ってきました」

男はエストラダさんをつかんで口を覆い、喉を絞めてきた。防犯ビデオには、武装した男がカメラから離れるようにエストラダさんを引きずり、そこに2人目の男が駆け寄ってくるのが映っている。

「首への圧力がすごくて、くらくらしました」と、彼女は言った。

誘拐現場を撮影した動画のスクリーンショット。アンジェラ・エストラダさん提供

保安官事務所は、以下のように説明している。

「ジェレマイア・モリンは家の中から前庭にいた容疑者2人に向けて数回発砲した。容疑者はエストラダさんを放して、逃げ始めた。モリンは家を出て私道の端まで行き、容疑者が逃げた方向へ5発の銃弾を見境なく発砲した」

弾は容疑者たちに当たらなかったようだ。

エストラダさんは、婚約者が拳銃を撃ったことについては争う気はない。彼女が事実と違うと主張しているのは、別の申し立てについてだ。

保安官事務所は、「エストラダさんとモリンは2人とも通報しなかった」と言明している。

エストラダさんは、警察が現場に来る約1分前に911(緊急通報ダイヤル)に電話して、女性の通信係と話したと主張している。エストラダさんは911の発信履歴のスクリーンショットをハフィントンポストUS版に提供した。

さらに、保安官事務所の発表では、モリンさんとエストラダさんは取り調べに非協力的で、事件について十分に説明することを拒否したという。

エストラダさんによると、最初は協力しており、説明もしていたが、1人の巡査部長が現場にやってきて、モリンさんがギャング団のメンバーだと非難してきたという。

エストラダさんは、このスクリーンショットが、誘拐されそうになった後に警察に通報した証拠だと語った。

「保安官事務所は彼を通りの真ん中まで連れていって逮捕しました」と彼女は言った。「その後、捜査員が携帯型無線機に『捜索をやめろ、容疑者を1人確保した』と言っているのを耳にしました。捜査員たちはそれからひどく無礼になりました。『こんなのはお前にとっちゃ日常茶飯事だよな』と、彼らが言いました。同情なんてまるっきりありませんでした」

エストラダさんによると、当局に容疑者のように扱われ、赤ん坊のおむつを替えに行くことさえ許されなかったという。

「その捜査員は『おまえが何かしなきゃいけないなんて、知ったことか。家宅捜索令状をとってやる』と言ったんです」と彼女は語った。「それからは警察と話す気にはなれませんでした」

保安官事務所によると、家宅捜索令状が出され、「武器2丁」と「複数の薬莢」が家から出てきたという。また、モリンさんがギャング団「Tango Blast」のメンバーだと当局は主張している。

エストラダさんは、モリンさんがギャング団に所属していることを頑として否定している。また、彼女は警察が家に入ることを拒まなかったと述べた。

「彼らはすでに家を出たり入ったりしてましたし、私たちは1度も入るななんて言ってません」とエストラダさんは語った。

襲撃犯たちが落とした1ダース近いジップタイを警察が発見した、とエストラダさんは言った。アンジェラ・エストラダさん提供

ヒューストン・クロニクルのインタビューで、モントゴメリー郡保安官事務所のブライアン・カーライル氏は、エストラダさんが極めて危険な状態にあったことは認めている。カーライル氏によると、容疑者たちがジップタイを持ってきたことも認められているという。

「何かひどいことが起こりそうだった」と、カーライル氏は説明した。「そこに疑いはありません」

しかし、カーライル氏によると、襲撃犯が武装していたかについては捜査官も確信を持っていないという。エストラダさんがハフィントンポストUS版に提供した動画では、襲撃犯の少なくとも1人は拳銃を持っているように見える。

誘拐現場を撮影したという動画のスクリーンショット。容疑者の1人が拳銃を持っているように見える。アンジェラ・エストラダさん提供

4月1日に判事がモリンさんに対する告発を棄却し、逮捕につながる相当な理由はないとの判決を下した。

「判事が、彼を警察がしたように犯罪者として扱うのではなく、ふつうの個人として扱ってくれてとても感謝しています」とエストラダさんが言った。

しかし、モリンさんがさらなる容疑をかけられずにすむか、現時点ではまだ明確ではない。

モントゴメリー郡保安官事務所のスコット・スペンサー氏はハフィントンポストUS版に、「この事件はまだ捜査中だ」と語った。

「この事件は捜査中なので、これ以上の詳細を開示することはできません」と、スペンサー氏は言った。

逮捕後のジェレマイア・モリンさん。

2人の襲撃犯はまだ逮捕されていない。

「私たちの生活は、もう以前と同じじゃありません」と、エストラーダさんは言った。「ここは私たちにとって安全ではありません。警察の発表は間違っています。警察にターゲットにされてしまったみたいです」

「もしあの2人組が戻ってきても、警察には怖くて通報できません。警察は私たちの味方ではないのですから」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

▼画像集が開きます

Man, 19, charged with fatally shooting 11-year-old Chicago girl

シカゴの銃撃事件、2歳児が死亡

(スライドショーが見られない方はこちらへ)

注目記事