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連邦最高裁判事にニール・ゴーサッチ氏を承認 共和・民主両党、後味の悪い戦いに終止符

2017年04月08日 20時55分 JST
Jim Bourg / Reuters
U.S. Supreme Court nominee judge Neil Gorsuch smiles in reaction to a question as he testifies during the third day of his Senate Judiciary Committee confirmation hearing on Capitol Hill in Washington, U.S., March 22, 2017. REUTERS/Jim Bourg

アメリカ上院議会は4月7日、ドナルド・トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したコロラド州デンバー第10巡回控訴裁判所のニール・ゴーサッチ判事を最高裁判事に承認した。オバマ政権時代にメリック・ガーランド氏を指名していたにも関わらず、承認までこぎつけることができなかった民主党と、承認のため、禁じ手とも言える議会の規則変更を駆使した共和党による数週間にわたる争いに終止符が打たれた。

上院本会議でゴーサッチ氏が54対45で承認された。民主党の中でゴーサッチ氏に賛成票を投じたのは、ジョー・マンチン氏、ハイディ・ハイトカンプ氏、ジョー・ドネリー氏ら3人だけだった。共和党のジョニー・アイザクソン上院議員は、投票を棄権した。

投票後、最高裁判所は10日に非公開の就任式を開き、ゴーサッチ氏がジョン・ロバーツ最高裁長官の面前で101人目の最高裁判事として宣誓すると発表した。ホワイトハウスでの宣誓式はアンソニー・ケネディ判事が執り行う。ゴーサッチ氏は以前、ケネディ判事の法務書記だった。

共和党の指導者たちは、トランプ氏の大統領就任以来初めての大きな勝利に歓喜した。

「彼は最高裁にとって素晴らしい存在になるでしょう」と、共和党ミッチ・マコーネル上院院内総務は投票前、ゴーサッチ氏を絶賛した。

トランプ大統領は声明で、ゴーサッチ氏の指名承認プロセスを「史上最も透明性が高く、わかりやすいものだった」と述べた。

「法の支配の熱心な信奉者として、ゴーサッチ判事は誠実に、精力的に憲法を擁護し、アメリカ国民のために力を尽くすだろう」と、トランプ氏は述べた。任期は終身のため、まだ49歳のゴーサッチ氏は、今後数十年間にわたって在職することが予想される。

民主党は、保守的なゴーサッチ氏は主流派から外れており、企業の利益を優先しすぎて公平な判断ができないのではないかと訴えた。また共和党に対し、双方の意見を一致させた上で候補者を選出することを訴えた。それが実現しなかったため、6日、民主党は最高裁判事任命でフィリバスター(議事妨害)を仕掛けた。

共和党はこれに対し、一方的に規則を変更するという異例の措置「核オプション」で応戦した。これにより、最高裁判事の承認に必要な賛成票は60票から単純過半数の51票に変更された。共和党員は52人のため、規則の変更によって民主党の意向を無視してゴーサッチ氏の承認が可能になった。

この規則変更により、大統領の指名に関して多数党は少数党の意見や票数をまったく気にする必要がなくなる。

共和・民主両党の上院議員は、後味の悪さを残したまま戦いに終止符を打つことになった。

「反対側の議員たちがハイタッチをして喜んでいる姿が、嫌でも目に入ってきました」と、民主党のリチャード・ブルメンソール上院議員は規則が変更された6日に語った。「今でもその光景が頭から離れず、悲しい気持ちです。ほんの数時間前に上院で起きたことを喜ぶ理由はありません。今夜はぐっすり眠りに就くことはできません。ここで起きた重大な事態を甘く見てはいけないのです」

「核オプション」を行使したマコーネル氏は7日、「今回の件の重要なポイントでは、別の進め方ができていれば良かったと思っています。こんなやり方にならなくてもよかったはずです」と、語った。「しかし今日は新たな1日です。民主党の人々も今回の件についてよく考え、彼らの今後の見通しの転換を図ってくれることを期待しています」

ゴーサッチ氏は、2016年2月に死去した保守派のアントニン・スカリア判事の後任を務めることになる。バラク・オバマ前大統領は2016年3月にメリック・ガーランド氏を指名したが、マコーネル氏は1年間にわたって承認の採決はおろか、承認のための聴聞会すら開催しないという異例の行動を取り、「最高裁判事の後任は次期大統領が指名すべきだ」と主張していた。彼はスカリア判事の死去が報じられた1時間後、この考えを明らかにしていた

ガーランド氏への不当な扱いに対する民主党の怒りは、ゴーサッチ氏をめぐる攻防に持ち込まれた。2016年の1年間にわたって民主党がガーランド氏は信任投票に値すると主張し続けてきたのとまったく同じやり方で、共和党はゴーサッチ氏が信任投票に値すると訴えた。

3月に行われた法務委員会の聴聞会で、パトリック・リーヒ上院議員は次のように述べた。

「ニール・ゴーサッチ判事は連邦判事として10年以上活動してきました。彼はハーバード大学の法科大学院を卒業し、最高裁判所の法務書記を務め、司法省の主席副次官補も務め、アメリカ法曹協会からも全会一致で高い評価を得ています。そのような事実が最高裁判事を指名するに足る十分な理由になるのなら、メリック・ガーランド主席判事が最高裁判事になっていたはずです」

両党による泥仕合が最高裁に対する国民の見方に影響を与えたことは確かだ。最高裁判事の空席が埋まったことで、スカリア判事が死去してから現在まで避けられてきた論争を呼ぶような事件の裁判も開始されるかもしれない。

政治関連の事件で近いうちに裁判となりそうなのが、物議を醸したノースカロライナ州の投票者ID法、公共セクターの組合員の生活に関する新たな課題、そして差し止めが行われている、トランプ大統領によるイスラム教徒が多数派を占める国からの入国禁止の大統領令などだ。

ゴーサッチ氏はそれらの件に関してだけでなく、将来的な中絶の権利、宗教的な寛容、政治資金の役割など、憲法に関わる重要な問題についての意見をほとんど明らかにしていない。トランプ大統領は支持者に対し、中絶を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」のような歴史的な決定を覆せる判事を指名すると公約していた。しかしゴーサッチ氏は、自分を指名した大統領とは関係なく判断を下していくと断言している。

「もしそれが、私がどのような判決を下していくのかを示唆したり暗示したりしているように見えたり、判事が指名を受けたからといって、大統領の選挙公約通りの判決を下さなければならないとしたら、それこそが独立した司法の終わりの始まりだと私は考えます」と、ゴーサッチ氏は3月、上院法務委員会で明言した。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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上院共和党は、禁じ手の「核オプション」を行使してまで最高裁判事の承認を急いだ