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ロシアはいかにしてシリア最大の後ろ盾になったのか プーチン大統領は支援継続を強調

2017年04月10日 22時28分 JST
RIA Novosti / Reuters
Russian President Vladimir Putin (R) shakes hands with Syrian President Bashar al-Assad during a meeting at the Kremlin in Moscow, Russia, October 20, 2015. Assad flew to Moscow on Tuesday evening to personally thank Putin for his military support, in a surprise visit that underlined how Russia has become a major player in the Middle East. Picture taken October 20, 2015. REUTERS/Alexei Druzhinin/RIA Novosti/Kremlin ATTENTION EDITORS - THIS IMAGE HAS BEEN SUPPLIED BY A THIRD PARTY. IT IS DISTRIBUTED, EXACTLY AS RECEIVED BY REUTERS, AS A SERVICE TO CLIENTS.

ロシア政府は、4月6日に発生したアメリカによるシリア空軍基地へのミサイル攻撃に対して怒りを露わにし、シリアのバッシャール・アサド大統領への軍事支援を強化する構えだ。アメリカとロシアの緊張が高まりを見せている。

ロシアは、アメリカ軍がシリアのシャイラット空軍基地にトマホークミサイル59発で攻撃したのは国際法違反だと主張している。7日には、シリアでのアメリカ軍とロシア軍による予期せぬ衝突を避けるために情報交換する「衝突回避通信網」を停止させた。先週末にはシリア沿岸部の海軍基地にフリゲート艦「グリゴロヴィチ提督」を配備した。これをロシア政府による示威行動と見る専門家もいる。

少なくとも72人が死亡した4日の毒ガス攻撃を受けてアメリカがミサイル攻撃したことで、ロシアはシリア内戦が始まって以来、最大の試練を迎えることになった。またロシア政府は、アサド政権がどのような行動に出ようともウラジミール・プーチン大統領は支援を続けていくと強調している。

ロシアとシリアの関係の発端は数十年前にさかのぼる。1970年11月にバッシャール・アサド大統領の父ハーフィズ・アサド氏がクーデターでシリアの全権を握って以来、その関係は深まっていった。空軍士官として旧ソ連でミグ戦闘機の操縦を学んだハーフィズ氏は、ロシア政府とより強固な軍事協力を求めた。彼は一党独裁や情報機関と秘密警察の強固なネットワークの構築など、ソ連と同様の国家運営を行った。

冷戦中のソ連はシリアに兵器を供給し、緊密な二国間関係を築いていった。1971年、両国はシリアの地中海沿岸部の都市タルトゥースの海軍基地にソ連が駐留することを認める協定を結んだ。同基地は現在ロシアが地中海地域で駐留する唯一の海軍基地であり、ロシア政府にとっては象徴的にも戦略的にも重要な存在となっている。

2017年1月、両国はタルトゥース海軍基地の拡張に同意し、これによりロシアは最大11隻の戦艦を駐留できるようになる。

タルトゥース基地を通じ、ロシアはアサド政権に各種兵器を供給してきた。これにより、6年以上にわたって数十万人が犠牲になってきた内戦状態の中で、アサド大統領は権力を維持し続けてきた。ロシアは数年前からタルトゥースに防空ミサイルシステムの配備も行っており、6日のアメリカによる攻撃を受け、シリアの防空力拡大を支援する姿勢を見せている。

ロシアによるシリア政府への軍事支援で最大規模ものは、2015年9月から始まった空爆だ。この空爆はシリア国内で反体制勢力が勢いを増していた状況を完全に一変させた。人権団体は、この空爆でアサド政権はロシアの安全な後ろ盾の下で、より危険を顧みずに行動できるようになったと指摘している。

プーチン大統領はシリアとの関係を国内の支持率強化に利用し、ロシアが今でも地政学的な存在感を失っていないことを示そうとしている。長年、ロシアはアメリカのシリアに対する影響力の行使を制限し、アサド政権への圧力を抑えてきた。

ロシアは国連安全保障理事会で、アサド政権に対する比較的穏健な制裁措置にも拒否権を発動してきた。ロシア軍の存在と大規模衝突のリスクがあるため、バラク・オバマ前大統領はシリア介入に踏み切ることができなかった。

しかし、プーチン大統領のアサド政権支援は、ロシアにとって大きな負担にもなっている。ロシア政府はシリアに数億ドルの予算を割いており、軍の死者数を過小報告せざるを得ず、世界の大半から拒絶されているアサド政権との結びつきを強めている。アサド政権が2013年に化学兵器廃棄に関する合意に応じたことで、シリア介入を阻止するための保険にしていたロシアの正当性は、4日のシリア軍による化学兵器攻撃で大きく損なわれた。

プーチン大統領がアサド政権への支援を堅持するなか、今後シリアでのアメリカの行動がロシアの利害と対立した場合のリスクと不安は高まった。アメリカのミサイル攻撃以来、ロシア政府は弱腰に見られたくないという姿勢を示しているが、それによってプーチン大統領は、さらに複雑さを増した終わりの見えない紛争の泥沼に、より一層深くはまり込むことになった。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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