韓国大統領選、文在寅氏と安哲秀氏の二強体制に 最新の世論調査

韓国大統領選に関する世論調査で面白い事実が明らかになった。
뉴스1

韓国大統領選の各政党の大統領候補が出揃った今、大統領選挙を取り巻く構図が変動しているという世論調査の結果が相次いで発表されている。韓国三大紙である中央日報は4月6日、「文在寅・共に民主党候補の独走体制が終わり、大統領選が文在寅氏と安哲秀・国民の党候補の二強構図に組み替わり始めた」とし「選挙構図に地殻変動が起きている」と報道した。

中央日報は、独自の調査研究チームが4〜5日、全国の有権者1500人を対象に実施した世論調査(回答率29.4%、信頼区間95%で標本誤差±2.5%ポイント)の結果を引用し、「複数候補者の間の対決時、文在寅氏は38.4%、安哲秀氏は34.9%を記録した」と伝えた。候補の一本化なく現在の構図の大統領選挙が行われることを想定した場合も、その差がわずか3.5%ポイントという話だ。

残りの候補の支持率は、自由韓国党の洪準杓が9.6%、正しい政党の劉承旼が2.7%、正義党の沈相奵が2.1%、無所属の金鍾仁が1.7%の順だった。

中央日報の今回の世論調査で示されたいくつかの興味深い事実を要約すると、次の通り。

中央日報は先月18〜19日に実施した調査と比較して、安哲秀氏の支持率が21.9%ポイント急増したと伝えた後、その原因を次のように分析した。

安煕正・忠清南道知事※1 の支持層の多くが安氏に移った結果として解釈できる。文候補も支持率がやや上昇したが、上昇幅は3.7%ポイントにとどまった。共に民主党の大統領候補選出の「コンベンション効果」※2 はむしろ安哲秀氏が持っていったわけだ。(中央日報 4月6日)

※1 共に民主党での大統領候補者選出にて、文氏と争った。※2 大統領候補の選出直後に支持率が上がる現象

実際に先月18〜19日、本紙の調査と比較した場合に安哲秀候補の支持率は、伝統的保守層からの大幅な上昇を見せた。50代で27.8%から40.9%、60代以上では27.4%から44.6%とはねあがった。地域別では安煕正知事が気勢を上げた忠清(25%→37.8%)と大邱・慶北(21.4%→39.3%)、釜山・慶南(22.2%→31.3%)で大幅に上昇した。(中央日報 4月6日)

つまり安煕正氏に向いていた支持率のうち相当数が、文在寅氏の代わりに安哲秀氏に移ったということだ。安煕正氏が中道と保守陣営で幅広い支持を得てきたことを考えると、このような結果はある程度予見されていた側面がある。

しかし、このように短い期間で安哲秀氏の支持率が20%p以上あがると予測した人は、それほど多くなかった。

中央日報は6人の大統領選候補が競合する構図以外に、さまざまなシナリオに基づいて各候補の支持率変動推移を調査した。その結果、興味深い事実が発見された。

もし保守候補一本化が実現される場合には、洪準杓(ホン・ジュンピョ)慶尚南道知事・自由韓国党候補と劉承旼(ユ・スンミン)・正しい政党候補の誰に一本化するかによって、文在寅氏と安哲秀氏の順位が変わることが明らかとなった。

一本化以降、三つ巴で洪準杓氏が乗り出せば文在寅氏が、劉承旼氏が争えば安哲秀氏が勝つというのが、この調査の結論だ。ただし、その差は大きくはない。

一度、洪準杓候補に一本化がされ、文-安-洪の三者間での対決になる場合、文候補は41.9%、安候補は40.8%を記録した。両候補が誤差範囲(±2.5%ポイント)での接戦の様相だ。洪候補は12.2%を得た。

洪候補の代わりに劉承旼候補が乗り出す三者間での対決では誤差の範囲内ではあるが、安候補(45.0%)-文候補(41.4%)の順だった。劉候補の得票率は7.4%で洪候補よりも低かった。(中央日報 4月6日)

中央日報は「嶺南圏※と60代以上の有権者の結集力の差から始まったものと見られる」と分析した。保守傾向が強い嶺南圏の有権者と60代以上の有権者は、劉承旼より洪準杓をはるかに好むことが分かった。

※嶺南とは朝鮮半島南東部、行政区分上では慶尚南道と慶尚北道、大邱広域市、釜山広域市を指す。

したがって洪準杓氏が「脱落」すれば、有権者の票が(劉承旼氏ではなく)大挙して安哲秀氏に傾くという見通しだ。一方、洪準杓氏が保守陣営の単一候補として出る場合には、この有権者は洪準杓氏を支持するという分析だ。結果的に安哲秀氏に行きかかった票がその分、消えることになる。

ただし、このような構図は実現困難な点を勘案する必要がある。洪準杓氏や劉承旼氏がともに、今回の大統領選挙で各政党の「生存」がかかっていると判断しているため、完走する可能性が高い。両政党および候補が舌戦を繰り広げていることを見ても、一本化も容易ではないように見える状況だ。

中央日報は、いわゆる「非文一本化」の意見も尋ねた。文在寅氏を抜いた残りの候補が「反文在寅」で大同団結して一本化を推進することに対して、どう思うかとの質問を投げている。

その結果は次の通りだった。

反対:44.6%

▲非常に反対:17.7%

▲比較的に反対:26.9%

賛成:34.7%

▲非常に賛成:11.5%

▲比較的に賛成:23.2%

わからない/無回答:20.7%

回答者の支持政党別の賛否の割合は、以下の通りだ。

▲自由韓国党:64.2%(賛成)/ 22.8%(反対)

▲共に民主党:21.8%(賛成)/ 59.9%(反対)

▲国民の党:41.7%(賛成)/ 39.5%(反対)

▲正しい政党:57.5%(賛成)/ 32.0%(反対)

このような「非文一本化」が実現するならば、どの候補が適切かという質問には回答者の63.1%が安哲秀氏を挙げた。

ただし、このような「非文一本化」という仮想の構図もまた実現が難しい点を考慮する必要がある。

洪準杓氏は安哲秀氏を「どっちつかずの左派」と非難しており、劉承旼氏もまた国民の党は正しい政党と「全く別の」政党として連携の可能性について「極めて懐疑的」と言及している(以前ではあるが、劉承旼氏が国民の党との連携の可能性を示唆した言葉を口にしたことがあったりもする)。

結論として、洪準杓氏や劉承旼氏ともに(自分の敗北が明らかな)一本化の議論に参加し、安哲秀氏に加勢する可能性が低い。

また、このような「非文一本化」に対する反対世論が賛成より高いという点まで勘案すれば、いわゆる「反文連携」の実現は容易ではないようだ。

中央日報は、各候補者の非好感度を調査した結果も公開した。「絶対選ばない候補は誰か」と質問したもの。

その結果、洪準杓氏(38%)に続いて文在寅氏が2位(28.1%)を記録する「不名誉」を味わったことが分かった。中央日報は「他の候補の非好感度は一桁だった」とし「無所属・金鍾仁(5.7%)、国民の党・安哲秀(4.6%)、正義党・沈相奵(2.4%)、正しい政党・劉承旼(2.3%)候補など」と伝えた。

洪準杓氏の非好感度は湖南(58.1%)とソウル(42.2%)などで、比較的多かった。現職の慶南知事にもかかわらず、釜山・慶南で非好感度は38.7%にのぼった。

文在寅氏の非好感度は大邱・慶北(37.6%)と大田・忠清(33.2%)で相対的に多かった。彼の故郷である釜山・慶南でも非好感度は31.8%にのぼった。

また、60代以上の44.8%、50代の34.3%が文在寅氏には絶対投票しないと答えた。

一方、「安哲秀候補の非好感度(4.6%)は、文在寅候補の5分の1の水準だった」と中央日報は伝えた。特に安哲秀氏は済州島(17.8%)を除いた残りのすべての地域で非好感度が一桁を記録した。

このような結果は3月、韓国ギャラップが調査した候補別好感度調査とも似ている部分もあり、違った部分もある。

当時、韓国ギャラップ調査によると「好感を持てる」との回答は安煕正氏(56%)、文在寅氏(47%)、李在明・京畿道城南市長(39%)、安哲秀氏(38%)、沈相奵氏(31%)、黄教安(ファン・ギョアン)・大統領権限代行(首相)(24%) 、劉承旼氏(22%)、洪準杓氏(12%)の順となった。文在寅氏が安哲秀氏より上回った。

ただし文在寅氏の非好感度の年齢別分布は似たような様相を見せた。

当時、韓国ギャラップ調査でも文在寅氏に「好感を持てる」という回答は60代以上では16%、50代で40%にとどまった。また、文在寅氏は自由韓国党支持層の99%、国民の党支持層の62%から「非好感」という回答を記録した。

結局、文在寅側の立場では支持率の頭打ちに対して真摯に考える必要があるという意味だ。

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문재인 더불어민주당 대선후보

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ハフィントンポスト韓国版「문재인 38.4% 안철수 34.9% : 중앙일보 대선후보 여론조사에 새로 알게된 4가지 사실」より翻訳・加筆しました。

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