土星の衛星「エンケラドス」に地球外生命が誕生する条件があると、科学者たちは期待する。その理由は?

噴出する海水の中から水素分子を発見したのは大きな成果だ。

アメリカのジョン・ホプキンス大学などの研究チームは、4月14日に科学誌「サイエンス」に掲載した論文で、土星の衛星エンケラドスの氷に覆われた海から噴出した水蒸気から、水素分子を検出したと発表した。

この水素分子の発見は、地球外生命が存在する可能性につながるものだ。

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地球上にある特殊な生態系を持つ熱水噴出孔のように、エンケラドスは水素を含んだ大量の熱水を海底から宇宙空間へ噴出している。

噴出する海水の中から水素分子を発見したのは大きな成果だ。水素は衛星海底の微生物にとってエネルギー源になる可能性があるためだ。

科学者が期待を寄せるこの反応は「蛇紋岩化作用」と呼ばれる。噴出した海水が、鉄とマグネシウムを豊富に含んだ岩と反応して起こる作用だ。

岩が水を吸収すると水素が発生する。水素はある種の微生物が代謝に利用する強力なエネルギー源である。

その外観によらず、エンケラドスは「海洋惑星」で厚い氷に覆われ、その下では広大な海が惑星全体を覆っている。

エンケラドスは、土星の重力から発生する熱のおかげで海水を液体のまま維持することができる。

NASAは、この深海が地球外で生命を育める環境として最初の例となる可能性が高いと考えている。

NASA

ただし今の段階では、生命に必要な主要化学成分は見つかっていないため、注意が必要だ。

探査機「カッシーニ」は、解明のキーとなる2つの成分リンと硫黄の濃度を測定できなかった。

カッシーニの寿命は尽きようとしているが、NASAはエンケラドスと共通の多いもう1つの「海洋惑星」である木星の衛星エウロパに探査機を送ることをすでに発表している。

NASA NASA / REUTERS

NASAは2026年に土星の衛星にも新たな高度分光装置を送る計画をしていて、大量に噴出される海水をさらに詳しく調べることができると期待を寄せている。

ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。

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ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた宇宙

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