シリア・アレッポ郊外で避難民のバスに車の爆弾 子供68人含む126人死亡

血と埃で顔が完全に覆われてしまった子供たちの姿もあった。

バスを標的とし、車を用いた自爆攻撃によって負傷したシリア人の子供。アレッポ郊外ラシディーンで2017年4月15日撮影。

シリア北部の都市アレッポ郊外のラシディーンで4月15日、反政府勢力が支配する地域からバシャール・アサド政権を支持する住民を乗せたバス付近で爆弾を積んだ自動車が爆発した。イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団」は16日、これまでに子供68人を含む126人が死亡したと発表した。

監視団によると、反体制勢力が支配する町から何千人ものシリア人を輸送していたバスの車列に自爆攻撃が仕掛けられた。

事件現場には、怪我を負い、放心状態になった子供たちがいた。中には、爆撃に伴い、血と埃で顔が完全に覆われてしまった子供たちの姿もあった。現地の医療施設は、爆撃の被害者の治療を行うために限界まで稼働しており、一方、人権団体は今回の攻撃を非難している。

「6年にもわたって、シリアでは戦争と大虐殺が繰り広げられてきました。どんなに多くのシリア人家族の心が打ち砕かれてきたことでしょう。ゾッとするような行為がまたもや行われました。家族を持っている人なら誰でも、胸が引き裂かれるような思いがするでしょう」と、国連児童基金(ユニセフ)のアンソニー・レーク事務局長は述べた。

「多くの家族がこれまでにもたいへん苦しんできました。生き残った人々は、家族を失った苦しみをまたもや抱えることになるのです」

2017年4月16日撮影の写真。アレッポの西、ラシディーンで車を用いて行われた自爆攻撃の翌日の様子。OMAR HAJ KADOUR VIA GETTY IMAGES

西側諸国が支援する主要な反体制派「自由シリア軍」もまた、今回の攻撃をテロとして非難している。まだどの組織も爆撃の実行犯だと表明はしていない。

犠牲者の大多数が、シーア派住民の住むフーアとケフラヤから移動してきた。この2つの街は、イスラム教スンニ派の武装勢力によって何年にもわたり包囲されていた。

反政府勢力とアサド政権との間で結ばれた合意の一環として、政府支配地域の町から約5000人がバスに乗って移動していたところを攻撃された。

この合意では、包囲下にある反政府勢力と政府がそれぞれ支配する街の住民を輸送することが提案されていた。住民を交換する合意は、このテロ攻撃後は中止されたが、16日には何千人もの人々が各地の町から輸送される予定だった。

バスを標的とし、車を用いて行われた自爆攻撃によって負傷したシリア人の子供たち。アレッポの西、ラシディーンで撮影。

シリアの子供たちは、6年以上も続く内戦の間、極度の苦痛とトラウマにさらされてきた。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は3月に発表した報告書で、紛争が子供たちに及ぼしている影響をまとめている。シリアの子供たちには心的外傷後ストレス障害(PTSD)の兆候が広く見られること、心理的、社会的な支援が受けられないこと、また、長期的な自殺のリスクが大きくなっていることが報告されている。

15日に起こった爆撃の数週間前にも、シリアの子供たちが犠牲になった攻撃があった。4日には、イドリブ県ハンシャイフンで、幼い子供たちを含む少なくとも72人が化学兵器の攻撃によって死亡している。

アメリカ政府は化学兵器攻撃に対してシリア政府を非難し、シリア空軍基地へ巡航ミサイル59発を発射した。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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アレッポ郊外で爆弾テロ

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