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「アウティングは違法な加害行為」ゲイ暴露で一橋大生が転落死した裁判 弁護士は指摘する

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2015年に同性愛者であることを同級生に暴露された後、転落死した一橋大学・法科大学院生の男性(当時25)の遺族のコメントが4月19日に発表された。

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司法記者クラブで記者会見する原告代理人の南和行弁護士(左から2番目)ら

南弁護士によると男性は2015年4月3日、同級生に「はっきり言うと、俺、好きだ、付き合いたいです」と恋愛感情を告白した。同級生は「付き合うことはできないけど、これからもよき友だちでいて欲しい」などの返事をする。その後、クラスの仲の良い友人達でつくる「LINE」のグループに、「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」と投稿。南弁護士は、この行為は本人の了承なくセクシュアリティについて第三者に暴露する「アウティング」に当たると主張している。

それから男性は心身に不調をきたすようになり、同年8月24日、校舎のベランダを乗り越え転落死した。当日は午後の授業を抜け出し、クラス全体のLINEグループに「おかしいんじゃないか(被告人名)が弁護士になるような法曹界なら、もう自分の理想はこの世界にはない」「これで最後にします」「いままでよくしてくれてありがとうございました」というメッセージを投稿した直後だったという。

2016年3月、男性の両親が大学と同級生に対して、計300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしていた。


■「同性愛者に対する差別が厳然としてある」(弁護士)

4月19日、代理人の南和行弁護士らが司法記者クラブで会見を開いた。アウティングが違法な加害行為であるとした上で、「アウティングが違法かどうかが一番大きな争点。同性愛をばらされることで、同性愛者が危機的な心境になるのは、同性愛者が差別にさらされる現実が社会にあるからです。そうした差別があることを裁判で明らかにしたい」と話した。

その上で、遺族のコメントを読み上げた。その内容は以下の通り。


■「未だに息子の死が信じられません」(遺族)

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息子が亡くなって2年近く、裁判が始まって1年近く経ちますが、私たち家族は涙が枯れる事なく息子に会いたい気持ちが募るばかりです。毎晩家族そろって仏壇に手を合わせますが、未だに息子の死が信じられません。だから手を合わせていても「私たちは何をしているんだろう」と思います。納骨もまだ出来ずにいます。

アウティングされて辛い息子の心に友達の誰か一人でも、学校側の誰か一人でも寄り添ってくれていたら死なずに済んだのではと思ってしまいます。裁判を通して被告側の「アウティングの恐ろしさ」を理解しようとしない態度には失望しています。昨年8月5日に報道されてから他大学では人権が守られる環境であるかどうかという動きがみられますが、被告大学では全く改善すらなく、問題は息子自身にあって、学校側は十分なことをしたと主張し、やりきれない思いでいっぱいです。被告の元同級生には反省する気持ちも謝罪する気持ちも微塵も無くハラワタが煮えくり返る思いです。

私父は、仕事をしている時も、休んでいるときも、ふとあの亡くなった時の顔が浮かんで脳裏から離れません。同年代の人を見ると息子と重なって、生きていたらなりたいと言っていた弁護士として第一歩を踏み出しているだろうと思い、無念でたまりません。

私母は、子供達が生きる希望でした。その一つの希望を失い、体調を崩しました。娘が居なかったら生きてはこれませんした。道行く息子と同じくらいの若者を見かけると胸が苦しくなります。心の穴はいつか埋まるのでしょうか。

私妹は、被告大学、被告同級生に兄の声が少しでも届く事を望むばかりです。私たち家族も、兄を救えなかった後悔で苦しみながらも、描いた兄との将来がもうやって来ないことに涙を流しながらも、なんとか受け止めて、兄の死が無駄にならないよう、兄の様に苦しむ人がいたのなら寄り添える人間になろうという努力をしています。難しい事ではないはずです。被告側にも、一人一人の判断ミスが招いた結果をどうか受け止めて、二度と同じことが起こらないように学んで欲しいです。

弁護士の先生方、多くの支援して下さる方々のお陰で私たちは何とか生きています。この裁判で、性的マイノリティーが理解され、差別の無い世の中になればと思います。
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南弁護士らは5月5日、明治大学駿河台校舎で「一橋大学アウティング事件 裁判経過の報告と共に考える集い」を開く予定だ