「レイプ犯と妊娠した被害者で親権を共有」メリーランド州、法律廃止に失敗

レイプ被害によって妊娠した女性は子供を育てていくか、養子に出すかといった決定を、拘置中の加害者と交渉していく必要がある。

アメリカ・メリーランド州は今週、 レイプで妊娠した被害者が加害者と親権を共有することを求める法律の廃止に動いた。

しかし、協議会の6人(全員が男性だ)が州議会の本会議が休会する4月17日までに廃止法案の詳細を最終決定できなかったため、この法案は可決されなかった。

今後もメリーランド州の州法では、レイプ被害によって妊娠した女性は子供を育てていくか、養子に出すかといった決定を、拘置中の加害者と交渉していく必要がある。

CNNによると、全米でこうした法律が定められているのは、メリーランド州のほかにノースダコタ、ワイオミング、ニューメキシコ、ミシシッピ、アラバマ、ミネソタの計7州。他の多くの州では、強姦で有罪判決が出た場合には、加害者の親権を剥奪すると定められている。

ワシントンポストによると、メリーランド州で同様の法案が審議されながらも可決できなかったケースは、これで9回目だという。人工妊娠中絶や避妊薬を処方する医療NGO「プランド・ペアレントフッド」(家族計画連盟)や、女性の妊娠や中絶の権利を擁護する団体「メリーランド・ライト・トゥ・ライフ」などからの幅広い支持があるにもかかわらず、改正案可決はなかなか実現しない。

関連法案は2017年に入ってメリーランド州の上下両院を通過しており、現在の議会が休会する前に下院と上院での最終的な採決をするため、最終的な詳細を決定するために少人数の協議会が開かれていた。

懸念されていたのは、この法案を毎年議会に提出している民主党のキャスリーン・デュメー議員が協議会に参加していなかったことだ。この協議会には女性議員は1人も含まれておらず、ニュースメディア「デイリー・ビースト」など、全米のメディアはこの点を強く批判していた。

「確かに協議会には、レイプ被害者のことを考え、法案の共同提出者になっている議員もいます」と、この法案に関するロビー活動をした、性的暴行に反対するメリーランド州連合の事務局長兼顧問リサ・C・ジョーダン氏は声明で述べた。「しかし同時に、この協議会に女性議員が参加すればより良い結果を得られたはずです」

ある協議会員は地元紙ボルティモア・サンに、「法案を可決できなかったのは州議会内の印刷所の作業が間に合わず、17日の休会までに上下両院に最終投票用のコピーを用意することができなかったからだ」と述べた。

失敗の原因がなんであれ、レイプ被害者の救済やリプロダクティブ・ライツ(性と生殖の権利)の活動家らは、この結果に対して怒りを露わにしている。

権利団体「NARALプロ・チョイス・メリーランド」の事務局長ダイアナ・フィリップ氏はハフィントンポストUS版に対し「メリーランド州が、レイプ被害者救済のための法律のない7州に留まることになり当惑しています」と語った。

「犯罪被害者の権利と市民的自由の権利という観点からこの法案は毎年提出されていました。この戦略で、下院の司法委員会と上院の委員会は、すべてのメリーランド州住民にとって有益となるように明確化する義務が求められていたのです」と、フィリップ氏は語った。「しかし10年が過ぎ、何の成果もなく廃止法案は骨抜きにされ、妥協を迫られました」

ボルティモア・サンによると、メリーランド州の議員たちは2018年に廃止法案を復活させるという。

しかしフィリップ氏からすると、それでも不十分だという。

「メリーランド州のレイプ被害者たちは、これ以上法案の調整など求めていません」と、フィリップ氏はハフィントンポストUS版に語った。「被害者たちに必要なのは、法案の成立なのです」

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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リオデジャネイロの集団性的暴行事件に抗議する女性たち

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