ポール・マッカートニー「日本は自由な国。民主主義は良いことだ」来日前インタビュー

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PAUL MCCARTNEY
INDIO, CA - OCTOBER 15: Musician Paul McCartney performs during Desert Trip at The Empire Polo Club on October 15, 2016 in Indio, California. (Photo by Kevin Mazur/Getty Images for Desert Trip) | Kevin Mazur via Getty Images
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英国のEU離脱・あの歴史的名盤…ポール、来日控え語る

 ポール・マッカートニーの来日公演(朝日新聞社など主催)が25日、東京・日本武道館から始まる。来日前、ポールは朝日新聞などの電話インタビューに応じた。発売から50年を迎えたビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」から、母国イギリスの欧州連合(EU)の離脱問題まで、話題は多岐にわたった。

――2年ぶりの日本武道館公演はどんな感じに。なぜ再び日本武道館を会場に選んだのですか。

 武道館にはすごくいい思い出があるんだ。2年前の武道館公演もそうだし、1966年のビートルズの公演もすごく楽しかった。とても良い所だと思う。

 最初に来日した時の日本のファンは今とはかなり違っていた。初来日の時は、バンドを尊重してくれる気持ちで自分たちの演奏をすごく静かに聴いてくれた。

 最近は良い意味で随分と変わってきて、にぎやかに、パーティーをしているような気持ちで聴いてくれているのかなと思う。静かに聴いてくれた日本のファンも、にぎやかにパーティーをするような感じで聴いてくれる日本のファンも、両方好きだよ。

――日本武道館に特別な意味があるのでしょうか。

 初来日した時は詳しく日本文化を知らなかった。日本の文化に触れるに従い、西洋と日本は随分と違うことがわかってきた。日本はきれいな国だし、すごく良い国だ。

 驚いたのは、日本の女性が自分たちに席を譲ったり、椅子を動かしたりしてくれたことがあった。イギリスではまずありえないことだよね。グッドアイデアだと思って、当時のイギリスのガールフレンドたちに「君たちも見習ったらどうだ」って伝えた。見事に拒絶されたけどね。

 武道館は武道を行う会場だよね。(ビートルズ初来日で)ロックを演奏する僕たちが、武道館のような神聖な場所でプレーすることを快く思っていない人も多かったと思う。ただ僕たちが楽しく演奏したことが、もしかしたらきっかけになって、多くのロックバンドが武道館で演奏することになったのかな。

――5万人の東京ドームと、1万人の日本武道館で演奏する違いはありますか。

 会場の規模に関係なく演奏することが好きなんだよ。ドームのような大きな会場では多くの人にみてもらえて「Live and Let Die」のような大掛かりなプロダクションも可能だ。

 武道館のような親近感のあるホールで演奏することも好きだよ。最近では、カリフォルニアのパームスプリングス近くの小さなクラブでもコンサートをした。

――今回の日本公演でサプライズはありますか。

 日本のファンにまだ見てもらえていない演出があるんだ。それが楽しみだよ。もちろんみんなが大好きな曲もプレーするよ。

―「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の発売から50年、このアルバムはあなたにとってどのような意味を持っていますか。

 50年経つけれども、自分にとっては5年くらい前に作ったような気持ちにしかなれない。実際に歴史を刻んだ作品だと思うし、仲間とすごく楽しく作れた思い出もある。自分にとって「特別」と思える作品だ。何よりうれしいのは、50年経った今でも、多くの人がこの作品を聴いて楽しんでくれている。それが素晴らしいことだ。

 50周年記念盤は音が以前よりもクリアになって、さらに良い作品になったと思う。自分もこの記念盤ができたことはうれしいし、ぜひ多くの人に聴いてもらいたい。とにかくこのアルバムは自分にとって思い出深いアルバムだよ。

――今回の日本公演でもこのアルバムの曲を演奏しますか。

 プレーするよ。

――ツアーも音楽制作もエネルギーを使うと思いますが、どのように体調管理をしていますか。

 自分はベジタリアンで、食事にすごく気をつけている。毎日1時間くらいエクササイズをする。だけど、バンドのメンバーと一緒に演奏することが、一番のエクササイズだね。

――日本公演の後の予定は。

 コンサートとアルバム制作が大きな予定だよ。

――ニューアルバムはどうですか。

 今ちょうど半分くらいできたかな。いろんなタイプの音楽が入る予定だ。(プロデューサーの)グレッグ・カースティンは良いやつで、楽しくやっている。今4曲くらいできている。

 今年中に仕上げる予定だけど、いつまでに完成というのはなんとも言えないなあ。完成したら日本のファンのみんなにも気に入ってもらいたいな。

――音楽業界の未来をどのように考えていますか。

 どういう音楽であれ、みんな音楽を必要としている、と思う。ダウンロード、CD、レコード、ストリーム、ラジオ……。どういうものであれ、ひとは良い音楽というものを聴きたがっていて、音楽を必要としている。どういう形であれ、音楽には明るい未来があると思うよ。

――今回の来日で楽しみにしていることは。

 日本に行ってみないとわからないし、今回どれくらい自由な時間があるかわからない。日本も、日本の文化も好きで、日本の人はこういう風にするんだ、ああいう風にするんだ、と見ているのも興味深いんだ。友人に「また日本に行くんだ」って話したら、うらやましがってたよ。

――今年のグラミー賞で、多くのミュージシャンがアメリカの新政権に対して発言をしていました。どう思いますか。

 アメリカ、ヨーロッパ、日本は自由な国だよね。自由に発言できる。民主主義であることはすごく良いことだ。中には自由に発言できない国もある。上のほうからこういうことは言ってはいけないとか、言われたままに発言しなければならないとか。

 そんな国もあるなかで、自分は自由に発言できる国に生まれ育った。それは意味のあることだし、自由に発言できるということは健全なことだと思う。

――イギリスのEU離脱についてはどう思いますか。

 正直ちょっと様子を見てみるしかないのかなと思う。イギリスのEU離脱は誰もが予期していなかったことで、離脱に賛成だった人も実際にこうなったことに驚いたんじゃないかな。

 イギリスは他の国から指示されてその通りにすることに少し懸念を感じたり、あまり快く思っていなかったりする部分もあると思う。シリア難民がイギリスに入ってくることに少し不安があるとか、色々あってEU離脱につながったと思うけど、多分良いことも悪いこともあると思う。

――あなたの音楽に対する情熱はどこから来るのでしょうか。

 どういう分野であれ、自分が情熱を持っているものに対してはエネルギーを費やせると思うし、それは難しいことではないと思う。

 友人のデビッド・ホックニー(画家)が「自分が好きなことをやっているとエネルギーが湧いてくる。絵を描いている時は25歳の時に戻れるような気がする」と言っていた。情熱を持てるものに対してはエネルギーが湧いてくる、それは自分もそうだ。音楽に対して情熱があるから音楽を作りたい、プレーしたいという気持ちが湧いてくるんだ。

     ◇

 日本公演は、25日に日本武道館、27、29、30日に東京ドームで開かれる。25日と27日の公演は残席あり。問い合わせは、キョードー東京(0570・550・799)。

(朝日新聞デジタル 2017年04月21日 15時36分)
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