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7000人の遺体、病院の敷地内から発見 かつてあった精神科病院の入所者か(画像)

2017年05月12日 14時18分 JST | 更新 2017年05月12日 15時19分 JST

アメリカ・ミシシッピ州ジャクソン市にあるミシシッピ大学医療センターの敷地内で、5月10日までに最大で7000体の遺体が納められた棺が発見された。

この土地は約80年前に閉鎖されるまでミシシッピ州の精神科病院の一部だった。「今回の発表で、親族の消息を失ってしまった人々がひと区切りをつけられるかもしれない」と、専門家らは語った。

ミシシッピ州立大学文化人類学部准教授のモリー・ザッカーマン博士はハフポストUS版に、「2012年に発見された66人の棺に続き、研究グループは地中探査レーダーを使った徹底的な調査を行い、棺に納められた患者とみられる遺体を発見した」と語った。

ミシシッピ州精神科病院墓地プロジェクト」と共に発掘に協力しているザッカーマン博士によると、この施設には1855年から1935年までの間に合計3万5000人が収容されていたという。

ミシシッピ大学医療センターのキャンパスの発掘作業で発見された木製の棺が確認できる。棺にはピンク色の旗で印がつけられている。DEREK ANDERSON, 2013

精神科病院が運営されていた当時、患者の死は珍しくなかった。

「病院内で、大勢の人が死亡した」と、ザッカーマン博士は語った。「大半の患者は収容して13カ月以内に亡くなっている」

「死因は時代によってさまざまだが、特別に珍しい死因はなかった」と、ザッカーマン博士は指摘した。

患者の死因の多くは結核、脳卒中、心臓発作、時おり発生する黄熱病やインフルエンザの流行によるものだった。

また栄養失調によって命を落とすこともあり、ビタミンB不足が原因のペラグラ病と呼ばれる皮膚疾患などを発症する患者もいたという。

同施設の墓地に埋葬されていた人々は、親族が引き取りにくることができなかった、または死亡の通知を受けなかったとみられる。

数十年の時が経っても、患者がどうなったのかを知りたいと願い続けている家族もいると、ザッカーマン博士は語った。

「知りたいという家族は多く、『私の先祖の記録を見つけられますか』と尋ねられます。大きな悲しみと、知りたいという気持ちからくるのでしょう」

ザッカーマン博士は、精神科病院に収容された患者の子孫から、週に2、3通のメールを受け取るという。

「率直なやり取りの時もありますし、電話で話してその先祖が置かれていた状況、失われた家系についての話を聞かせてもらうこともあります。楽しい話はひとつもありません。どれもが悲劇です」

ミシシッピ州クリントンに住むカレン・クラークさんも、遺体のDNA検査によって親族が見つかることを願っている1人だ。

クラークさんは施設に収容されたある患者が、5代前の先祖アイシャム・アーネストさんだと知った。彼は1812年の米英戦争で戦った。アーネストさんは1857年から1859年の間に施設で亡くなったとみられている。アーネストさんは1850年代に「精神障害」と認定されたと、クラークさんはクラリオン・レジャー紙に語った。

ミシシッピ州精神科病院は1855年から1935年まで運営されていた。同施設の跡地に現在のミシシッピ大学医療センターのキャンパスがある。MISSISSIPPI STATE HOSPITAL

「多くの子孫が今この世に存在しているのは、アイシャム・アーネストさんのような人たちのおかげだ」と、ザッカーマン博士は語った。「多くの子孫たちが教師、看護師、教育者、聖職者として活動している」

ザッカーマン博士は研究グループがすべての棺を発掘し、全員の身元を明らかにすることを願っている。研究グループは記念センターと系譜学の研究施設を兼ねた施設の設立を計画している。ザッカーマン博士によるとこれは世界初だという。

遺体の発掘と施設の設立には、当然ながら莫大な費用が必要となる。

ザッカーマン博士によると、外部の請負業者に発注した場合、発掘にかかるコストはおよそ2100万ドル(約23億8000万円)になるという。もう一つの選択肢は研究チームで発掘作業することだが、その場合は年間40万ドル(約4500万円)で8年かかる。

棺が見つかったのは公有地のため、支払いはミシシッピ州の負担になるだろうとザッカーマン博士は述べた。私的に、または連邦政府による助成金を募るという選択肢もあるが、そうなったとしても「コストの大半はミシシッピ州が負担しなければならない」と、ザッカーマン博士は指摘した。

2012年、ミシシッピ大学医療センターの敷地内で初めて少数の棺が見つかった。JONATHAN BACHMAN / REUTERS

コストは莫大だが、このような施設は価値ある財産になるとザッカーマン博士は語った。

「埋葬されていた人々は単なる遺体ではなく、この州に暮らす人々にとって非常に大きな財産になる。遺体をただ掘り出して埋葬しなおすだけでなく、それを貴重な財産にしていくことが最終目標だ」

ミシシッピ大学生物倫理・メディカル・ヒューマニティーセンターのラルフ・ディドレイク所長も、ワシントン・ポストに研究の重要性を強調した。

「精神疾患に関しては歴史的に汚名を着せられている。それは間違いのない真実だ。しかし今回の研究は、その汚名を払拭するチャンスだ」と、ディドレイク所長は語った。

「今回の件を現代の視点を通してどのように見つめるのか、メンタルヘルス医療をいかにして進歩させていけるかを、私たちは学んでいかないといけない」

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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