仏マクロン大統領ネタにした週刊誌、表紙がティーン雑誌のようだと話題 "マクロンマニア"に込められた風刺の意味

ニコちゃんマーク、星、ハート、けばけばしい色合い。6月7日に発売されたフランスの時事系週刊誌「エクスプレス」の表紙は、まるで大衆誌かティーン向け雑誌のようだった。

ニコちゃんマーク、星、ハート、けばけばしい色合い。6月7日に発売されたフランスの時事系週刊誌「エクスプレス」の表紙は、まるで大衆誌かティーン向け雑誌のようだった。

エマニュエル・マクロン大統領の胸元を横切る「マクロンマニア」(マクロン熱狂者)の文字をはじめとして、表紙のトーンはこんな感じだ。「彼はトランプから地球を守ってくれる!」「国民議会選挙に大波乱」「彼は水の上を歩く」「プーチン?恐れるまでもない!」

今週の表紙は「マクロンマニア」

週刊誌が皮肉っているのはマクロン大統領を取り巻く熱狂ぶりだ。というのも複数のメディアが、このフランス新大統領の国際舞台での最初の一歩を「失敗のないもの」と評しているからだ。ドナルド・トランプ大統領の「パリ協定」離脱表明を受けた厳しいコメントは多くの称賛を集め、ウラジミール・プーチン大統領との初会談後の共同記者会見では、一部のロシアメディアが仏大統領選の際にマクロン氏自身に関する虚偽のニュースを流したとして非難する大胆さも示した。

6月1日にハフポストとフランスのニュースチャンネル「CNews」のために行われた世論調査にも、マクロン氏を高く評価する国民の心理は表われていた。回答した約4割のフランス人が、就任後最初の2週間のマクロン氏の歩みを好意的に評価したのだ。「エクスプレス」が揶揄したかったのはこのマクロン大統領の「漠然とした人気」だと、編集部のアンヌ・ロザンシェ氏は話す。

「米仏初首脳会談ではトランプ大統領とのきわめて『雄々しい』握手があり、一部のメディアはマクロン氏がその"勝者"だとはやし立てました。また新しい国家元首の象徴として『フランスのケネディ』とも言われるマクロン氏は、G7サミットでは心配りと笑顔を振りまきました。とくにカナダのジャスティン・トルドー首相との親密げな会談の様子は、地中海の美しい風景も相まって、その『ロマンチック』な雰囲気がネット民に大ウケでした。ベルサイユ宮殿をプーチン大統領と散歩する様子は、まるでこの『ロシアの熊』を手なずけているかのようでした……。そしてもちろん、『悪しきアメリカ大統領』が環境を顧みない態度決定をした際の、毅然とした反応がありました。すべてに大きな反響がありました。『マクロンマニア』がSNSや新聞雑誌のコラム上で沸き立つには十分です」

ロザンシェ氏のコメントに続くべき写真は、こちらもネット上で話題となったあの写真――6月4日フランスのラグビートップリーグで行われた試合の際、フィジーの選手が大統領を前にして跪いた姿を収めた写真――をおいて他にはないかもしれない。それでも「エクスプレス」の編集部部長はこう強調する。「マクロン大統領をめぐるこの"国民的な熱狂ぶりへのからかい"は、この熱狂の根本から何も取り去ることはないでしょう」

「『エクスプレス』の表紙は『ビジネスウィーク』が発想元であることを隠しません」

「エクスプレス」のウェブ版編集長によるこのツイートによって、表紙の元ネタが明らかになった。それはアメリカのビジネス誌「ブルームバーグ ビジネスウィーク」が、2004年に経済学者トマ・ピケティ氏の成功を皮肉ったときの表紙だ。

「エクスプレス」は自らパロディを行う3年前に、「ビジネスウィーク」の表紙に関する記事を書いていた

「『エクスプレス』のいいアイディア。『ビジネスウィーク』がすでに2014年に考案」

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。

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