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石破茂氏、安倍首相の改憲方針に異論 「東京オリンピックと憲法改正に論理的整合性はない」

2017年06月14日 17時56分 JST | 更新 2017年06月14日 18時55分 JST
Kei Yoshikawa/HuffPost Japan

自民党の石破茂・前地方創生相が6月14日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した。東京オリンピックが開かれる2020年までに憲法改正を目指すという安倍首相の姿勢について、石破氏は「オリンピックと憲法改正に論理的整合性はない」と、異論を唱えた。

石破氏は、安倍首相が5月3日の「読売新聞」朝刊に掲載されたインタビューなどで表明した改憲方針に触れつつ、「専守防衛ってなんだろうか、あるいは集団的自衛権ってなんだろうかということにも、我々日本国民はどこかできちんとした答えを見出さなければなりません」と主張。

その上で、憲法9条に自衛隊の存在を認める新たな条文を設けて「自衛隊の合憲化」を目指すとする安倍首相の方針について、「自衛隊の存在を憲法に書けばそれで良いというものだと、私は思っておりません」とけん制した。

報道陣から「東京オリンピックが開かれる2020年に憲法改正したいというタイムリミットについてどう考えるか」と問われると、石破氏は以下のように語った。

以前から、憲法改正は早ければ早い方が良いと申し上げてきた。それは私が1957年の生まれで、安倍さんは1954年生まれ。どちらも戦争を全く知りません。

戦争に行って、本当に厳しい体験をされた方、あるいは東京大空襲や、広島・長崎における原爆や、日本各地で戦争で非常に辛い思いをされた方々がこの世におられる間に改正したい。戦争を全く知らない世代だけで憲法改正をして良いとは思わない。

オリンピックは確かにビッグイベントですが、なにも「その時までに(改憲しなければならない)」という論理的整合性はありません。1964年の東京オリンピックもあった。長野オリンピックも札幌オリンピックもあった。「オリンピックがあるから」というのは、論理的な話だとは思わない。

「早く改正すべき」というのは、「議論が疎略であって良い」ということを意味しない。憲法改正をしようとする我々が、確固たる考えを持ち、街頭に出てそれを訴え、小さな集会でも訴えるということ。きちんとした知識を習得すること、それを可能にする行動を起こすこと。それが憲法改正の早道。「いついつまでが期限だから、その時までにやれ」というだけが憲法改正の手段だとは思わない。


自衛隊の存在は「憲法に書けばそれで良いというものではない」


会見の冒頭で石破氏は、憲法記念日(5月3日)の読売新聞朝刊に掲載された安倍首相のインタビューなどに言及。「これが端緒になり、急に憲法改正がクローズアップされた」という認識を示した。

これまでに安倍首相は、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年までに憲法を改正し、施行したいと表明。憲法9条の改憲については、現在の第1項と第2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記した条文を加えることで「自衛隊の合憲化」を目指すとしている。

日本国憲法第9条

第1項:日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

第2項:前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

これについて石破氏は、「9条だけを論じてもあまり意味がない」として憲法前文と憲法9条に言及。「憲法9条第1項は(パリ)不戦条約の規定をそのまま受けたもので、このような規定は多くの国の憲法に存在する」とした上で、「非常に独特なのは、(交戦権を認めないとする)9条第2項だ」とし、以下のように語った。

「国の交戦権」とは、戦争する権利のことではありません。戦争の時に用いられるルールが交戦権です。

人を傷つけても傷害罪にはなりません。軍服を着て明らかに兵士であるということが識別される限りにおいて、捕虜になればジュネーヴ条約の適用を受けて捕虜としての待遇を与えられる。これを認めないと言っているのですから、それがいかに恐ろしいことかということかを認識すべきです

その上で石破氏は、「アメリカが押しつけた憲法なので、憲法は無効という立場には立っておりません」といわゆる“押しつけ憲法論”を否定。「国の独立を守る組織が軍隊。独立を守るための組織である軍隊が否定されているということは、極めて異常なこと」「(サンフランシスコ講和条約で)独立を果たしたからには、それに必要な組織をきちんと書くべきだというのは、実に当たり前のこと」と述べた。

また石破氏は自衛隊について、「(日本の)独立を守るための組織であり、その行動は条約並びに確立された国際慣習に従うべきだ」と記すべきだと主張。

憲法9条の改正にあたっては、「(自衛隊が)軍隊なのか、そうでないのか」「集団的自衛権をどう考えるか」「専守防衛をどう考えるか」を議論のポイントとしてあげた。

また「憲法のどこをどう読んでも、個別的自衛権が良くて集団的自衛権がダメだということは論理的に出てこない、9条をめぐる議論は、このことに終止符を打つものでなければダメだ」と主張。「自衛隊の存在を憲法に書けばそれで良いというものだと私は思っておりません」とし、現行の憲法9条に新たな条文を加える形で、自衛隊を合憲とする改憲案をけん制した。