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築地市場、豊洲移転後に「一部復活」案が浮上 2020年のオリンピック後に

2017年06月19日 19時16分 JST
時事通信社

築地市場の移転問題を巡り、豊洲市場に移転して2020年の東京オリンピック終了後に新たな築地市場を整備、一部を戻す案が浮上している。6月23日告示、7月2日投開票の東京都議選を前に、延期となっている市場移転をめぐる判断の表明を期待する声が高まっているが、豊洲移転案から、3年後に迫った五輪にも配慮しつつ築地を改修する案まで検討の対象となりそうだ。

小池百合子・東京都知事の複数の側近や、今回の案の打診を受けた市場関係者の話を総合すると、築地市場は早ければ2018年5月にも豊洲に全面移転する。豊洲市場では、魚介類と野菜などの扱いを前提に考えているが、必ずしもそれだけの商品に限らず、物流センターとしての活用も考える。

 

築地市場が全面移転した場合、そのまま市場跡地は更地にして、オリンピック開催中にはバスなどの駐車場として利用する案もあるという。オリンピックに間に合うよう、環状2号線も更地に暫定道路として通す案が議論されている。

 

その上で、オリンピックが終了した20年9月以降、築地市場の再整備工事に着手する方針。「超高層ビルも地下もないことから、一気に2年くらいで工事できる」と、小池知事側はみているようだ。

この案を採用した場合、都の市場問題プロジェクトチーム(PT)の報告書に沿った構想になる可能性がある。豊洲に移転して4~5年後、水産仲卸を中心にした「市場内取引」の機能を築地に戻し、トラック運送による転配送やネット取引などの「市場外取引」は豊洲を拠点に行うというものだ。移転改修案の工期「3年半」の想定期間は、「(オリンピックの)駐車場を入れると」やや伸びることになる。

 

小池知事は6月17日、築地市場を訪れ、現場で働く市場業者約150人を前に、豊洲市場の「無害化」の約束が守れなかったことを陳謝。併せて、場外を含む市場7団体の業者たちから意見を聞いた際に、「(築地市場の目利きが作り上げてきた)歴史を私はあっという間に消し去るなんてことはできない」と語った。

また、「丁寧に総点検を行いながら大切な築地市場をどう守っていくのか、どのように発展させていくのか、市場のあり方をどうしていくのか、様々な検証からその解を求めようとしているところだ。そのなかで、基本方針を見出していきたい」とも発言。

市場業者たちからのヒアリング後は、「みなさんの声がちゃんと生かされたんだと、思いが生かされたんだと、そうじゃないとだって別に新しい工場に移るわけじゃないじゃないですか。ここ(築地市場)は生き物なんですから。それからまたここの築地というところで育まれるからこそ出てくるブランド力があるわけじゃないですか」などと築地市場への強いシンパシーをにじませた。

その上で、小池知事は「A案、B案とかの二者択一ではなく、鳥の目で見ていきたい」と、改めて総合的に判断する視点を示した。

今回検討されている案は有力だと思われるものの、小池知事がどのような判断をして、どこのタイミングで方向性を示すのかは、まだわかっていない。

池上正樹

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリスト。日本文藝家協会会員。Yahoo!ニュース個人オーサー。心や街などを追いかける。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち』(講談社現代新書)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)、『痴漢「冤罪裁判」』(小学館文庫)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。

加藤順子

ライター、フォトグラファー、気象予報士。テレビやラジオ等の気象解説者を経て、取材者に転向。東日本大震災の被災地で取材を続けている。著書は『下流中年 一億総貧困化の行方』 (ソフトバンク新書) 、『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社、共著)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社、共著)など。Yahoo! 個人 http://bylines.news.yahoo.co.jp/katoyoriko/

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築地市場の風景

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