安倍首相、基地負担の軽減に「できることはすべて行う」 沖縄戦の戦没者追悼式あいさつ全文

沖縄戦が終結してから72年目を迎えた6月23日、安倍首相は沖縄県糸満市で開かれた戦没者追悼式であいさつした。2016年末に沖縄県最大のアメリカ軍の演習場・北部訓練場の半分以上が日本側に返還されたことに触れた上で、「できることはすべて行う」として、基地負担の軽減に全力を尽くす考えを示した。

沖縄戦が終結してから72年目を迎えた6月23日、安倍首相は沖縄県糸満市で開かれた戦没者追悼式であいさつした。2016年末に沖縄県最大のアメリカ軍の演習場・北部訓練場の半分以上が日本側に返還されたことに触れた上で、「できることはすべて行う」として、基地負担の軽減に全力を尽くす考えを示した。首相官邸のFacebookによると全文は以下の通り。

沖縄全戦没者追悼式で献花に臨む安倍晋三首相=23日、沖縄県糸満市の平和祈念公園

■安倍首相のあいさつ全文

平成29年 沖縄全戦没者追悼式が執り行われるに当たり、沖縄戦において、戦場に斃れた御霊、戦禍に遭われ亡くなられた御霊に向かい、謹んで哀悼の誠を捧げます。

先の大戦において、ここ沖縄は、国内で最も苛烈な地上戦の場となりました。のどかな日常は、修羅の巷に変じ、20万人もの尊い命が失われ、豊かな自然は焦土と化しました。多くの方々が、家族の行く末を案じながら犠牲となられ、豊かな人生を送るはずであった子ども達の輝かしい未来、多くの若者の夢や希望も無残にも奪われました。平和の礎に刻まれた多くの戦没者の無念を思うとき、胸塞がる気持ちを禁じ得ません。

沖縄戦から72年が経った今日においても、決して癒えることのない最愛の肉親を失った御遺族の皆様の深い悲しみ。そのことに思いを致し、そして、私たちが享受する平和と繁栄は、沖縄の人々の、言葉では言い表せない塗炭の苦しみ、苦難の歴史の上にあることを噛み締めながら、静かに頭を垂れたいと思います。

我が国は、戦後一貫して、平和を重んじる国として、ひたすらに歩んでまいりました。戦争の惨禍を決して繰り返してはならない。この決然たる誓いを貫き、万人が心豊かに暮らせる世の中を実現する。そのことに不断の努力を重ねていくことを、改めて、御霊にお誓い申し上げます。

沖縄の方々には、永きにわたり、米軍基地の集中による大きな負担を担っていただいており、この現状は到底是認できるものではありません。政府として、基地負担軽減のため、一つ一つ確実に結果を出していく決意であります。

昨年12月には、20年越しの関係者の御努力により、県内の米軍施設の約2割に相当する北部訓練場の過半、本土復帰後最大の返還が実現しました。今後、地元の皆様の御意見を伺いながら、地域振興に向けて、基地の跡地利用を政府として最大限支援してまいります。

これからも、「できることはすべて行う」。沖縄の基地負担軽減に全力を尽くしてまいります。

沖縄は、美しい自然の中で豊かな文化を育んできました。成長するアジアの玄関口に位置し、出生率は日本一です。沖縄の尽きることのない魅力に惹かれてこの地を訪れる人々や、寄港する外国クルーズ船の数は、近年、目を見張る程、増え続けており、沖縄は、その優位性、潜在力を存分に活かし、飛躍的な発展を遂げつつあります。私は、可能性に満ちた沖縄の、明るい未来を切り拓いていくため、先頭に立って、沖縄の振興をさらに進めてまいります。

結びに、この地に眠る御霊の安らかならんこと、御遺族の方々の御平安を、心からお祈りし、私の挨拶といたします。

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