マクロン大統領、LGBT政策はどっちつかず?「フランスは虹色」の一方で、閣僚4人が同性婚反対者

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「フランスは虹色です。私たちの豊かな多様性に、誇りを持ちましょう!」カナダのジャスティン・トルドー大統領のように自ら参列するには至らなかったものの、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は6月24日にパリで行われたLGBTの祭典「プライド・パレード」を支持する気さくなメッセージをこのように発信した。

今回のパレードはフランスで以前から問題となっているPMA(人工授精に代表される、生殖を補助する医療行為。現在フランスでは不妊等の疾患にしか施術が認められていない)の適用範囲を、「すべての人に、条件や制約なしで」拡大することを改めて主張するものだった。

フランスは虹色です。私たちの豊かな多様性に、誇りを持ちましょう!

コメント内に「#MarchedesFiertés」(プライド・パレード)「#LoveisLove」(愛は愛だ)といったハッシュタグを付けながら、マクロン大統領は自身の内閣でもっとも若い大臣のうちの2人、ムニール・マジュビ氏(デジタル担当副大臣)とマルレーヌ・シアパ氏(女男平等担当副大臣)を代理としてパリの行列に送った。

2017年度のプライド・パレードにはマルレーヌ・シアパとムニール・マジュビが参加しています。フランス政府はLGBTの人々の権利のために行動します。

基本的な行動責任は果たされたとはいえ、これはマクロン大統領が繰り返し示す両義的な態度を部分的にしか解消していないとの声もある。「進歩主義者」として有名なマクロン氏だが、与党内の右翼層・左翼層を二分する大きな争点でもある性的マイノリティの権利をめぐる問題に関しては、「ジグザグ帆走」が続いているからだ。

■政府内の「同性婚」反対派

大統領選のキャンペーン中、マクロン大統領はLGBT推進派に確かな期待を呼び起こしていた。先の与党は、同性婚に反対することでフランスを「辱めていた」と評したのだ。「侮辱することが決してあってはなりません。話し合いが必要です。不和を『共有』しなければなりません」ちなみに当時このように語ったマクロン大統領は、2013年の同性婚合法化に尽力したクリスチャーヌ・トビラ前司法大臣の厳しい非難を買っていた

しかし大統領就任後の内閣人事が、不安の種を生み出すこととなる。かつて同性婚の熱心な誹謗者だったジェラルド・ダルマナン氏の、行動・公会計大臣への起用がその例だ。

より最近では、6月21日に組閣された新内閣で国務大臣・内務大臣付 無任所大臣に任命されたジャクリーヌ・グロー氏が、以前同性婚法案に反対する票を投じていたとして、その起用に批判の声が高まっている。また同じく新たにヨーロッパ・外務大臣付 副大臣に任命されたジャン=バティスト・ルモワンヌ氏は、「トビラ法」(フランスで2013年に成立した同性婚の合法化などを含む法律の名称。前述のクリスチャーヌ・トビラ前司法大臣が法制化に尽力したことから)の大幅な改正に意欲的な意向を示した。

こうした流れをうけて、6月24日社会党の広報担当コリーヌ・ナラシギャン氏は、執行部のメンバーの中に「同性婚に反対する大臣が4人いる」と数えてみせた。

4人の大臣が同性婚反対者だ。4人もだ。

先日行われたフランス国民議会選挙でも、新たな悩みが持ち上がった。マクロン大統領の新党「共和国前進」の公認候補だったある候補者が、過去に同性婚を「忌まわしいもの」と表現していたことで論争を巻き起こしたにもかかわらず、公認候補の取り下げが行われなかったのだ。ちなみに2014年には、雑誌内で同様の発言をした政治家のクリスティーヌ・ブタン氏が、有罪判決を受けるという事件もあった。

しかしそれと時を同じくしてマクロン大統領は、ロシア南部チェチェン共和国で男性同性愛者の一団が拘束・拷問されていた問題で、同性愛者たちを自国に保護する姿勢を打ち出した。最初の「難民」はプーチン大統領のフランス訪問と同日、取り計ったようにフランスに迎え入れられた

■PMAの適用範囲拡大をめぐる困難

これまでマクロン大統領は、「諸々の歴史の和解」を行う意志をつねづね主張してきた。具体的に言えば、自らが主導する政府の一貫した方針の中で、同性婚の反対者が「トビラ法」の賛成者と共存できるようにするということだ。

閣僚メンバー内で多少のばらつきがあるとはいえ、政府の公式方針は一つしかない。すべてのカップルの結婚の可能性を開いた「トビラ法」を守り、女性同士のカップルにもPMA(生殖を補助する医療行為)の適用範囲を拡大することだ。フランソワ・オランド前大統領のときには守られなかったこの約束は、大統領選のキャンペーンでマクロン氏によって再び取り上げられることとなった。

それでもマクロン大統領の立場は曖昧さを残している。5月17日の「国際反ホモフォビア・デー」に際して、マクロン陣営の広報担当バンジャマン・グリボー氏はTwitter上で「私たちはPMAをすべての女性たちに開き、日常的なホモフォビアと闘います」とコメントしたが、大統領選キャンペーン中のマクロン氏の姿勢はもっと慎重なものだった。「できるだけ広いコンセンサスを構築するために、2017年春の終わりごろまでに、国家倫理諮問委員会(CCNE)が意見をまとめるのを待っています」。PMAの適用範囲を「レズビアンと未婚の女性カップルへと」拡大する法案に「意欲的」だとしながらも、マクロン氏はこのように述べるにとどめていた。

今週火曜日(6月27日)がまさしくその意見書の提出期限だ。国家倫理諮問委員会は「満場一致の見解は確実に得られないだろう」し、「(賛成派・反対派)双方の反論を引き起こす恐れがある」と事前に予告した。またマルレーヌ・シアパ女男平等担当副大臣は「依然としてきわめてデリケートな問題。基本的な考えは、社会に受け入れられる措置を講じて、議論をこれ以上長引かせないようにすることだ」と述べつつ、「同性婚をめぐる議論はあまりに長く、あまりに困難だった」とこぼした。

それでも世論のムードは同性婚者に対して好意的なようだ。2017年3月に行われた調査によれば、10人中6人(61%)のフランス人がPMAの女性カップルへの適用拡大に賛成する考えを示しており、これは2014年と比べると6ポイントの上昇。しかし果たして、右翼層や「マニフ・プー・トゥス」(みんなのためのデモ。同性婚に反対する草の根運動の名称)の反対に相対してこのコンセンサスが崩れ去ることになったとしても、マクロン大統領は約束を守れるだろうか。

ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。