トランプ政権の入国禁止令、条件付きで施行 例外となるのはどんな人?

トランプ大統領の入国禁止令が、一部条件付きで施行された。対象国からの祖父母や孫のほか、おじ、おば、いとこなどはアメリカに入国できなくなる。
U.S. President Donald Trump meets with immigration crime victims at the White House in Washington, U.S., June 28, 2017. REUTERS/Yuri Gripas
U.S. President Donald Trump meets with immigration crime victims at the White House in Washington, U.S., June 28, 2017. REUTERS/Yuri Gripas
Yuri Gripas / Reuters

アメリカのドナルド・トランプ大統領が3月に署名した、イスラム圏6カ国からの入国を制限する大統領令が、6月29日午後8時(アメリカ東部時間)から条件付きで執行された。禁止令は、イラン、シリア、リビア、イエメン、スーダン、ソマリアの6カ国からアメリカへの入国を90日間禁止し、難民の受け入れは120日間停止するもの。ただし、アメリカ国内の人物や組織との「親密な関係」を証明できれば、適用を除外される。

「親密な関係」にあたるのは、「親(義理の親を含む)、配偶者、婚約者、子供、成人した息子や娘、義理の息子と娘、兄弟姉妹、血縁がない兄弟姉妹または異父母の兄弟姉妹」。祖父母や孫のほか、おじ、おば、めい、おい、いとこ、義理の兄弟姉妹などは含まれない。

CNNによると、婚約者は当初、入国を認められる対象には含まれていなかったが、対象に変わった。

レンタカーやホテルの予約などは「正当な関係」とはみなされないが、労働者やジャーナリスト、学生など、所属先との関係が認められる場合や、学識者がアメリカ国内での講演に招かれた場合などは、入国を認められる。

■ハワイ州が異議申し立て

この禁止対象をめぐり、ハワイ州は施行の30分前、アメリカ政府が連邦最高裁命令に反していないか判断するよう、ホノルル連邦地裁に異議申し立てをした。アメリカ政府が最高裁の判断を、狭義に解釈していると批判する内容だ

最高裁は26日、対象国の出身者でも「密接な関係」を持つ人々に入国制限は適用されないと公表していた。ハワイ州は今回の申し立てで、祖父母や婚約者などが認められないことが最高裁の決定に違反すると指摘。最高裁決定についての明確な解釈を公表するよう要請した。

■入国制限の大統領令をめぐるこれまでの経緯

  • 2017年1月27日:トランプ氏、シリア難民の入国を禁じ、4カ月間難民受け入れプログラムを停止し、7カ国からアメリカへの入国を一時的に完全に禁じる大統領令に署名
  • 1月30日:司法省のサリー・イエーツ長官代理、7カ国からの一時入国禁止を命じた大統領令には従わないと省内に通知→トランプ氏が罷免
  • 2月3日:シアトル連邦地裁が、大統領令の差し止めを命じる
  • 2月4日:入国禁止令の復活を求めてトランプ大統領側が上訴
  • 2月9日:入国禁止令の差し止めを連邦高裁が支持
  • 3月6日:トランプ大統領、イランを除く6カ国の人を対象にした新たな入国禁止令に署名
  • 3月8日:ハワイ州、トランプ大統領の入国禁止令が違憲だと提訴
  • 3月15日:ハワイ連邦地裁、トランプ大統領の新しい入国禁止令を差し止め
  • 5月25日:連邦高裁がメリーランド連邦地裁の判断を支持
  • 6月2日:ホワイトハウスが入国禁止令の効力を回復させるよう求め、連邦高裁へ上訴
  • 6月12日:連邦高裁がハワイ連邦地裁の判断を支持
  • 6月26日:連邦高裁が入国禁止令を一部認める
  • 6月29日:入国禁止令が条件付きで施行される

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