Google、女性差別発言の社員を解雇「一線を越えた」

Googleが、エンジニアや管理職に女性が少ないのは差別ではないと社内文書で発表した社員を解雇した。
The Google logo is pictured atop an office building in Irvine, California, U.S. August 7, 2017. REUTERS/Mike Blake
The Google logo is pictured atop an office building in Irvine, California, U.S. August 7, 2017. REUTERS/Mike Blake
Mike Blake / Reuters

Googleが、エンジニアや管理職に女性が少ないのは差別ではないと社内文書で発表した社員を解雇したと、8月7日、ブルームバーグなどが報じた。文書を発表した社員が、解雇通知のメールを受け取ったという。メールには解雇理由として、「ジェンダーに対する固定観念が、尽きることがないため」と書かれていた。

解雇されたというのは、2013年からGoogleで働いているソフトウェアエンジニアのジェームズ・ダモア氏。ダモア氏は3日、「グーグルの思想的なエコーチェンバー(反響空間)」と題する文書を社内で公開した。

エコーチェンバーは2016年の大統領選でも注目された言葉で、WIREDはこの言葉の意味を次のように説明している。

同じ興味関心や意見をもつ人が固まりやすいソーシャルメディア。似た考えの人々に囲まれるため、結果として意見が増幅されて人々の考えが偏っていく。この現象は『エコーチェンバー』現象と呼ばれる。

ダモア氏は文書で、「男性と女性の能力には違いがある」として、「性別による違いを性差別だと決めつけるのを、やめなくてはならない」などと批判。「女性よりも男性の方がコーディングを好む」、「女性の方が不安障害にかかりやすい」などと主張した。

ダモア氏は、このような「保守的」な発言をすることが、「進歩主義的」な会社の雰囲気では難しいとして、Googleが「エコーチェンバーになっている」と文書で訴えていたが、社内外から反論が相次いだ

ダモア氏の文書に対し、Googleでダイバーシティを担当する副社長ダニエル・ブラウン氏は4日、「ジェンダーについて間違った仮説を提示している」などとする文書を全社員に送付した。ブラウン氏は「どんな意見であっても、自分の意見を共有しても安心だという企業文化が大切だ」としながらも、「その意見が(Googleの)行動綱領、男女雇用の原則、ポリシー、差別禁止法に違反していなければの話だが」と述べていた。

Googleのスンダー・ピチャイCEOは7日、社員向けのメールでダモア氏の文書について「行動綱領に反し、性別に関する有害な固定観念を推進することによって、職場における一線を超えた」などと述べた。一方でピチャイ氏は、ダモア氏の解雇についてはこの文書では触れなかった。

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