白人至上主義者へのカウンターデモに車で突入、20歳の男を殺人容疑で逮捕 アメリカ・バージニア州

12日夜までにオハイオ州モーミー在住のジェームズ・フィールズ容疑者(20)が逮捕された。
First responders stand by a car that was struck when a car drove through a group of counter protesters at the
First responders stand by a car that was struck when a car drove through a group of counter protesters at the
Justin Ide / Reuters

アメリカ南部・バージニア州のシャーロッツビルで8月12日、白人至上主義者やネオナチの支持者らのデモに抗議していた群衆の中に自動車が突入し、1人が死亡し19人が負傷した。ガーディアンなど複数メディアの報道によると、この事件に関連して12日夜までにオハイオ州モーミー在住のジェームズ・フィールズ容疑者(20)が逮捕された。

「ジェームズ・アレックス・フィールズ・ジュニア容疑者には(中略)1件の第2級殺人、3件の意図的な傷害、および1件の過失により死に至った自動車事故の容疑がかかっている」。アルブマール=シャーロッツビル地域刑務所を監督するマーティン・クマー大佐はハフポストUS版の取材にメールで回答した。

ジェームズ・アレックス・フィールズ容疑者(20)は8月12日、バージニア州シャーロッツビルで反レイシズムの群衆に車で突入し、1人を死亡させ19人を負傷させた第2級殺人の容疑で逮捕された。画像はアルブマール=シャーロッツビル地域刑務所提供

シャーロッツビルのマイク・シグナー市長は、バージニア州知事による非常事態宣言から数時間後、Twitterで被害者のうち1人が死亡したことを発表するとともに、哀悼の意を表明した。亡くなったのは32歳の女性という。

12日朝に起きたこの事件後、警察の警告を受けたこともあり、白人至上主義者によるデモ隊と反レイシズムデモ隊の双方は解散した。

「それは圧倒的な光景だった」と、反レイシズムデモを動画に収めたトーマス・ピルニク氏(23)はハフポストに語った。「本当に美しいカウンターデモだった」

そのすぐあと、車はカウンターデモの群衆に突入し、被害者の身体が跳ね飛ばされる悲劇が起きた。

※以下の動画には事件発生の瞬間が映っています。ご注意ください。

Skip to 2 minutes. I feel lucky to be alive. This is what terrorism looks like live. I can't breathe.

Posted by Thomas Martinez Pilnik on Saturday, August 12, 2017

ピルニク氏はバージニア大学工学部の職員で、シャーロッツビルに住んで5年目だという。ハフポストの取材に対し、以下のように語った。

「ただただ恐ろしかった。人がボウリングのピンのように跳ね飛ばされていた。私に走って逃げろと言ってくれる人もいた」

「あの美しい瞬間は、引き裂かれてしまった」

マイク・シグナー市長のツイート。「1人の命が奪われたことに、胸が張り裂けそうな思いだ。良識ある全ての人々に、一刻も早く帰宅するよう要請する」

ピルニク氏は、運転手の行動は故意だと考えている。

「意図的な行為でないとは、私にはどうしても思えない」とピルニク氏は話した。「群衆の中に車で突っ込み、そのあとフルスピードでバックした彼の行為は、どう考えても意図的だ。もし彼が怯えていて、ミスによって人を轢いたとするなら、そのあとシフトレバーをバックに入れて再び人を轢くようなことをするとは思えない」

またピルニク氏は、白人至上主義は現実に浸透してきており、真剣に受け止める必要があると主張した。

「長い間考えてきたが、現実として、白人至上主義者を笑って見過ごすことはできない」。ピルニク氏はそう語った。

「彼らは伝説上の存在(Trolls)ではない。彼らの存在を笑い飛ばしている間に、我々は実際、国内的なテロリズムにこの数カ月直面している。起こるはずがなかったこと、二度と起こってはいけないこと、起こるべきではなかったことではあるが、実際きょう事件は起こり、それは私に『冗談ではない』ことを証明した。このテロリスト集団は伝説上のキャラクターではなく、実在するテロリストであり、悪人なのだ」

フィールズ容疑者の母親サマンサ・ブルーム氏は12日、地元紙「トレド・ブレード」に対し、フィールズ容疑者はバージニア州で「オルタナ右翼」のデモに参加すると語ったものの、詳細については伝えていなかった、と語った。ブルーム氏は息子に、気をつけて「平和的に」デモをするよう忠告していたという。

ブルーム氏はAP通信の取材には、息子の参加するデモが白人至上主義者によるものだとは気づいていなかったと答えた。「デモはトランプ氏を支持するものだと思っていた」とブルーム氏は語った。「トランプ氏は白人至上主義者ではありませんから」

AP通信によると、デモでフィールズ容疑者が暴走し、死者が出たことが伝えられると、ブルーム氏は「目に見えて動揺し始めた」という。

デモ後の12日夜、アメリカの連邦捜査局(FBI)と連邦検事バージニア州西部事務所はこの事件に関する調査を行うことを発表した。ジェフ・セッションズ法務長官も、政府として調査を行うことを表明した。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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