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カメルーン出身のボクサー、韓国で難民申請が認められる 強制送還の危機からチャンピオンに

2017年08月17日 01時02分 JST | 更新 2017年08月17日 01時04分 JST

韓国で、異色のプロボクサーが注目を集めている。名前はイ・フクサン。カメルーン出身の選手だが、7月に韓国で難民資格が認定されたことで話題になった。約2年間の法廷闘争を経ての認定だったという。コリア・タイムズなどが報じた。

イ選手の出生名はアブドゥライェ・アッサンという。韓国教育放送公社のインタビューによると、元々は貧しさから逃れるために、カメルーン軍所属のボクサーとなった。

イ選手は2015年10月に韓国にやってきた。世界軍人体育大会にカメルーン代表のボクサーとして参加するためだったが、イ選手はこの時、チームを抜け出し、ソウル出入国管理事務所で難民申請を行った。

難民申請に至った理由について、イ選手は次のように語っている

  • 58歳になるまで自らの意思でやめることはできない
  • 給料が搾取される
  • 逃げ出そうとして2カ月間営倉に入れられ、拷問と脅迫を受けた

この時の難民申請は不許可となったが、イ選手は異議の申し立てを行った。2回目の審査で不許可となればカメルーンに強制送還される状況だったが、「韓国チャンピオンとなれば、亡命審査で少しでも有利になるかもしれない」という思いを胸に、練習に励んだという。

そして、2017年5月27日、イ選手はスーパーウェルター級の韓国チャンピオンの座に登りつめた

さらに、韓国チャンピオンとなった彼のもとに吉報が届いた。時事週刊誌・ハンギョレ21が韓国法務省の関係者に取材したところ、7月18日付でイ選手の難民資格認定が確認できたという。

異議申し立てに基づいて追加審査を行った法務省は、軍のチームを離脱したことや韓国に難民申請を行ったことがカメルーン側に知られたため、イ選手が韓国滞在中に迫害の危険が発生した「滞在中難民」に該当するなどと判断した。

難民認定証明書を受け取ったイ選手は、ハンギョレ21に「知らせを聞いてとても嬉しく、夢のようだった。寝られなくなるほどだった」と喜びを語り、世界チャンピオンを目指すと同時に韓国語を勉強し、結婚して新たな家庭を作りたいなどと抱負を述べた。5日に開かれた韓国スーパーウェルター級タイトルマッチでは、挑戦者のコ・ソンジン選手を5ラウンド40秒KOで下し、タイトル初防衛にも成功した

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韓国では難民の再定住プログラムの一環として、ミャンマーを逃れてタイの難民キャンプにいた5家族30人が7月25日、同国に入国した。これで、2015年から韓国に入国したミャンマー難民は86人となった。

しかし、2016年に韓国で難民申請を行った人は、7000人以上いたのに対し、認定者は98人と、100人に満たない。

一方、日本の法務省によると、日本での難民認定申請者数は2016年は1万人を超えていたが、認定者数は28人に過ぎない。両国とも、難民にとっては狭き門となっている。

(翻訳:植田祐介)