「生理用品ってどうして紙袋に包むの?」パッケージをおしゃれにしてみた女性の話

「持ち歩くだけですごくオープンになる。意識が変わる。そういうところから働きかけています」

コンビニに行って生理ナプキンを買うと紙袋に包んで"隠して"くれる。ジュースやお弁当と違って、買ったことを知られたくない人への「配慮」だが、女性のカラダにとって大切なものを、コソコソ買っているような気分にもなる。

そんな中、女性のカラダの悩みに寄り添う、一風変わった商品展開で挑むアパレル企業がある。「JOURNAL STANDARD」「IENA」「Spick & Span」などを手がけるBAYCREW'Sだ。

生理の周期に合わせたラインナップに特化した新ブランド「EMILY WEEK」の店を9月15日、表参道にオープンした。パッケージをおしゃれにして、透明な袋に入れ、持ち歩けるようにしたのが特徴だ。ファッションを通して、女性のバイオリズムについてオープンに語れる社会を作りたい、と語るブランドコンセプターの柿沼あき子さんに話を聞いた。

「55年間なんで新しいものが生まれないんだろう」

Aki Hayashi

——アパレル業界で女性のカラダをサポートする商品というのが意外でした。なぜアパレルだったのですか?

女性は早いうちから、自分に合うコスメや服を探すと思うんですけど、それと同じように体に使うものもコスメや服を選ぶ感覚で手にとって欲しいなと考えました。そうすると、ファッションが一番入りやすい。

パッケージや形状がおしゃれで可愛いものが選ばれていくので、同じような感覚で選ばれる商品を並べたかったのです。

——「女性のカラダに向けた商品を作りたい」と思ったきっかけは何だったのでしょう?

以前仕事を頑張りすぎてしまい毎月の生理やPMSが重くなってしまったことがありました。 悩みを解決するためにいろいろな方法を試しました。体が徐々によくなっていき、同じような悩みを持つ女性に向けて、我慢しないでもっと体と向き合うように発信したい気持ちが強くなっていきました。

生理用品に関して言えば、女性の多くが紙ナプキンを使っているのではないでしょうか。女性の生き方を変えた紙ナプキンをアンネ社が発売してから55年たちましたが、その間、なんで同じようなインパクトのある生理用品が生まれないんだろうというのが、漠然とあって...。新しいものが生まれるキッカケになるようなお店をつくりたいと思いました。

——ホルモンバランスに悩まされるのは、どの年代の女性も同じだと思います。にもかかわらず、25〜30代をターゲットとしているのはなぜですか。

25~30代はホルモンバランスが大きく変化する年代であり、またライフイベント的にも結婚だったり転職だったり出産だったりターニングポイントが多い時期だと感じています。実際に自分がその年代で理解しやすい、というのも勿論あります。

すごく頑張って仕事をした後に一旦立ち止まって、人生について考える方も多いかなと思います。ちょっと生活を見直したい、忙しい中で少し立ち止まって考えたいという方に入っていただけると嬉しいなと思っています。

そういった年代の方は外から見られる服というよりも、やっぱり自分に似合う服がわかってきて買うのかなと思っています。

EMILY WEEKは見た目だけではなくて内側(体)のことにも目を向けようというブランドです。ファストファッションで外見のおしゃれを楽しんでいる方も、自分に合うものをそもそも着ている方もすべて含めて、内面的なところで「自分に合うものを試してみませんか?」と提案するショップです。

AKi Hayashi

——とはいえ、今の若い人たちは服にお金をかけないと言われています。消費者庁によると、2014年に若者が衣類に使ったお金は1999年と比べると半減したようです。

このブランドは単なるアパレルブランドではないと思っています。イメージしやすいのは、ドラッグストアとアパレルの間にあるお店です。体の悩みを解決するのが、ドラッグストア。おしゃれを楽しむのがアパレルだとすると、EMILY WEEKはその両方を兼ね備えています。ホルモンバランスに合わせて商品を購入することで、その人特有の体の「リズム」に寄り添うことができます。

服にお金をかけない人たちでも、体の不調と向き合いたくない人は少ないと思ったのでこのブランドの価値はそこにあると思っています。

——確かにドラッグストアでナプキンしか売ってないところもあります。人それぞれいろんな症状があるのに、ナプキン3種類と向き合うしかないんですよね。

ピルを飲んだり病院に行ったりして改善される方も多いんですが、そこまで行くほどでもない方とか、腹痛ではなくて、気分的に影響を受けやすい方にとっても親しみやすいお店にしたかったのです。

——直接生理と関係する商品だけを置いているのではなくて、たとえばアロマとかありますよね、バスグッズとか。

体を温めるバスクッズや、バイオリズムの変化に合わせて調合したハーブティもありますし、体を締め付けないオーガニックコットンの下着や、よりリラックスした睡眠を促すようなアイマスクなどのグッズもあります。

やっぱり生理ってその期間だけで考えるのではなくて、その他の週間もすごく影響してると思うので、全体的なライフスタイルの提案をしたいなと思っています。

少し話は変わりますが、セレクトショップってありますよね。バイヤーがそのブランドに合うような商品を置くお店のことを指しますが、それがEMILY WEEKではお客さんのバイオリズムからセレクトされてるというところが自分的には面白いなと思っています。

表参道に位置するお店は、入った瞬間アロマの香りがした
表参道に位置するお店は、入った瞬間アロマの香りがした
Arisa Ido

——ちょっとシリコンバレーで語られるような話みたいですね。バイオリズムでセレクトするって、アパレルじゃ語り切れない話。

選ぶ基準が、お店側でなくて、お客さん側にあるのがいいかなと思っていて。お客さんが選ぶときに自分の悩みや体のことを考えながら買うというところが、普通のセレクトショップやアパレルとは違うかな。ドラッグストアに近いと思います。風邪の症状から商品を選ぶみたいな...。

——若い年代では、ZOZOTOWNなどネットで服を買う人がすごく増えています。EMILY WEEKがお店を出す意味はなんですか?

生理用品って薬局で買うものが多いと思いますが、それ以外に出ている生理関連商品は、ほとんどがウェブで販売されています。

実際に体に付けるものは、触って気持ちいい、使ってみたいなと思える安心感が欲しいと思うので、そこにお店を出す意味があると思います。今はコンセプトショップという感じで期間限定でお店を出すことになっていますが、ゆくゆくは固定の店舗を会社の休み時間に寄れるような場所で出したいなと思っています。

よくショッピングモールのトイレでナプキンの自動販売機がありますが、そこでもっとバリエーション豊かに販売することができたらいいなって思います。

生理期間だけじゃなくて、365日をちょっとよくしようというような、いつでも立ち寄ってもらえるような店舗を目指しています。

——私たちが企画している『Ladies Be Open』は、女性が自分からオープンになりましょうというメッセージで発信しています。それでも、自分のカラダについてオープンになることって、すごく難しいことですよね。EMILY WEEKでは、オープンにしづらいなと思っているお客さんに対して、どういう工夫をしていますか?

見えても抵抗がないものにするために、パッケージにすごくこだわっています。普通の生理用品って薬局とかでは紙袋に包まれて、見せづらい状況があると思うんですけど、パッケージをおしゃれにしているので、ショッパーとかは透明な袋を使っています。

持ち歩くだけですごくオープンになる。意識が変わる。そういうところから働きかけています。

商品を入れる袋は、無色透明だった
商品を入れる袋は、無色透明だった
Arisa Ido

——お客さんがEMILY WEEKの商品を買ってどういうふうに考え方を変えてほしいですか?

やっぱり新しいアイテムを試すことにワクワクしてほしいです。女性のバイオリズムを軸として提案しているブランドなので、生理週間も徐々に生活を変えたり、見直すことを通して楽しんでくれたりしたらいいなって思います。

Arisa Ido

■EMILY WEEKショップ概要

<期間>2017年9月15日~

<住所>〒107-0062 東京都港区南青山5丁目12−4

<営業時間>11:00~20:00

公式Instagram

HP

オンラインストア

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ハフポストでは、「女性のカラダについてもっとオープンに話せる社会になって欲しい」という思いから、『Ladies Be Open』を立ち上げました。

女性のカラダはデリケートで、一人ひとりがみんな違う。だからこそ、その声を形にしたい。そして、みんなが話しやすい空気や会話できる場所を創っていきたいと思っています。

みなさんの「女性のカラダ」に関する体験や思いを聞かせてください。 ハッシュタグ #ladiesbeopen も用意しました。 メールもお待ちしています。⇒ladiesbeopen@huffingtonpost.jp

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