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カズオ・イシグロさん「ただの作家だと思っている」 自身のアイデンティティーを語る

受賞はまったく予想していなかったという

2017年10月06日 08時44分 JST | 更新 2017年10月06日 09時54分 JST
Asahi
ノーベル文学賞受賞が決まり、記者会見するカズオ・イシグロさん=5日、ロンドン、石合力撮影

「BBCの連絡で本当だと」 イシグロさん、受賞を語る

 ノーベル文学賞を受賞した英国在住の作家カズオ・イシグロさんが5日午後、ロンドン市内で会見した。

 自分への受賞はまったく予想しておらず、自宅台所のテーブルでメールを書いているときに知ったという。「(英テレビ)BBCから連絡を受けて本当だと受け止めた」と笑わせた。

 昨年、英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた際、離脱派を批判するコメントを出したこともあるイシグロさんは「価値観や(政治家などの)指導層や安全性などが不安定な時代。自分への授賞がこの時代における善意や平和の力を勇気づける小さな方法になればいいと思う」と述べた。

 自分に影響を与えた作家についてはカフカを挙げ、「彼は(作家として)技術的にも演劇的にも多くの可能性を切り開いた。カフカに注目してきた」と語った。また「プルーストを読んで以来、自分の書き方が変わった。物語を記憶を通じて語るという方法を示したからだ」と述べた。

 5歳まで日本で育ったイシグロさんは、自分のアイデンティティーについて「明確な答えはない。英国の作家、日本の作家であるということがどんな意味を持つのか分からない。自分のことは、いつもただの(ひとりの)作家だと思っている」と語った。(ロンドン=石合力)

(朝日新聞デジタル 2017年10月06日 03時26分)
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(朝日新聞社提供)