政治

高須克弥さん「日本は自分で自分が守れる国になってほしい」(衆院選2017)

「争点はずばり憲法改正」

2017年10月20日 13時35分 JST | 更新 2017年10月20日 17時54分 JST
Wataru Nakano
インタビューに答える高須克弥さん

衆院選の投開票日である10月22日が目前に迫ってきた。自民党の優勢が伝えられる中、安倍政権は憲法改正に向けて進むのか、またどんな国をめざすのか。ハフポスト日本版は、保守的な発言でTwitterなどで人気の高須クリニック院長、高須克弥さんに考えを聞いた。

高須さんは、事実婚している人気漫画家、西原理恵子さんについても言及した。

■どこに投票するのか、すごく悩ましいです

——まず、今回の選挙をどう見ていますか。

すごく悩ましいです。僕としがらみがあったり、応援したりしている人が各党に散らばっちゃったり、僕の敵と味方が一つの党で一緒になっちゃったりして。

僕は、「日本のこころ」の代表だった中山恭子さんと、(元文科省の)中山成彬さん夫婦を応援していたんです。僕の意見に近いから。でも、2人は「希望の党」に行っちゃいました。

首班指名の時に「安倍晋三」って書いてくれる政党がいいんです。でも、「希望の党」は、誰を首班指名するか明確にしていない。首班指名は「小池百合子」でもよかったんだけれど、結局、小池さんは出馬しなかったですし。

——確かに、「高須クリニック」のCMを「陳腐」と発言したことで高須さんが名誉毀損などとして訴訟を起こした相手の大西健介・前衆院議員は、民進党から希望の党に移りました。

大西さんは、枝野幸男代表の立憲民主党から出るのが彼の主義主張としてふさわしいかと思ったけれど、希望の党から出馬しちゃった。つまり、僕が「希望の党」って投票用紙に書くと大西さんを味方することになります。

僕の応援している人たちが入っている希望の党を応援しようかと思ったら、大多数が民進党から来た人たちです。僕は民進党から来た人たちと意見が一緒じゃないです。だから、すごく悩ましいです。

——衆院選が告示されるまで、民進党が分裂する一方、希望の党が誕生するなど、政局がかなり動きました。

わかりにくい状況で、候補者の自分の意見と所属している政党との主張が食い違う人たちがいっぱいいそうな気がします。選挙に勝つためにとりあえずどこかの党に入って、当選したらまた反乱を起こしてよその党に行く。そんな人たちがたくさん出るんじゃないかな。でも、自民党はなかなか公認を出してくれないでしょう。

僕が心の中で一番好きなのは、「筋を通す政治家」です。だからイデオロギーが関係なければ、執行部の姿勢がブレない共産党がいちばん気に入っているんです。敵としてあっぱれと評価するんだけど、でも、共産党には入れたくはないです。枝野さんだって、あれだけ筋を通しているんで、応援したい気持ちもあります。でも、希望の党は筋を通していないですね。

日本の選挙民って、筋を通す政治家が好きなんですよ。(元首相の)田中角栄さんみたいに、「わしは悪くない」って全然ブレない政治家が、結局、最後までトップ当選したでしょ。選挙民って、割と浪花節なところがあるんですよ。

——大手メディアの各世論調査では、自民党が優勢だと報じられています。

でも、その調査結果に安心して投票に行かない人たちが出てくるので要注意ですね。アメリカ大統領選では、僕と(ジャーナリストの)木村太郎さんが、トランプ氏のTwitterのフォロワーの勢いをみて、トランプが勝つって予想していました。でも、政界も財界も、多くの人は「ヒラリー(・クリントン氏)が勝つに決まっている」と言っていました。でも、結果は違いました。みんな、割とウェブを見ていないんですよね。

——投票の判断基準になる争点は、今回はなんだと考えますか。

それは一つだけ、ずばり「憲法改正」。改憲に賛成か反対かだけです。今は、改憲に向けて国民が大きく舵を切っている最中だと思います。

——立憲民主党など野党勢力は、改憲発議に必要な3分の2以上の議席を阻止する議席数を獲得することが厳しいかもしれない状況です。

絶対に取れないです。どう転んでも、改憲に進むと思います。小池百合子さんも、自衛隊の条項を第九条に追加すると言っている安倍さんよりも、改憲に積極的ですから。どっちみち、憲法を部分的に変えるのか、あるいは全面的に変えるのかの違いがあっても、改憲そのものについて国民はOKしているんだと思います。

Toru Hanai / Reuters
総選挙の応援演説をする安倍首相=2017年10月、東京都

■安倍首相は、選挙後に改憲を進めますよ

——高須さんは、憲法を具体的にこう変えてほしいなどとの考えはあるんですか。

僕の思っていることと、国民の思っていることは違うかもしれませんが、僕は第一条を変えてほしいと思っています。つまり、天皇を国家元首と認め、日本を統治すると明記し、他の立憲君主国と一緒にすることです。現在のような「象徴」はよくないと思います。でも、誰もそう主張しないんですよ。

今、「古い憲法は変えたほうがいい」と思っている若者たちが多いんだと思っています。僕たちの世代は戦後教育を受け、「平和憲法を守れ」という人が多い世代でしたが。

これまで平和憲法を守る方向に振れていた「振り子」が、今は大きく改憲、ナショナリズムに大きく振れているところです。でも必ずまた、揺り戻しが来るでしょう。それはそれで、いいことだと思います。

——実際に、改憲が実現することになると思いますか。

そう思います。ただ、国民投票の結果、改憲賛成が多数となっても、その後、国会で条文を変える作業を始めたら、改憲勢力の中で内紛が起きるんじゃないですか。

どこの国も、その時代に合わせて、憲法を変えているでしょう。絶対に変えちゃいけないと言い出した時点で「宗教」に変わったということです。新約聖書も旧約聖書もイスラム教の聖典コーランも仏典も、宗教では経典を変えちゃいけないんです。でも科学というものは、常に書き加えて、修正していくものなので、だから僕は修正主義者と言われたらすごく誇らしく思うの。それは科学者と言われたと一緒ですから。僕は僧侶だからとても経典に忠実なんだけど、政治は別です。

——安倍政権をどう評価していますか。

優秀ですよ。(第1次内閣で10年前に)いっぺん、わずか1年で退陣したことがプラスになっているんだと思います。首相を辞めた後に冷や飯を食わされて挫折し、2度とこういうドジを踏まないように研究したんでしょう。国民が安倍さんを育てたようなものです。

——そして「安倍一強」が続きました。どう見ますか。

民主党政権時に左に傾いてみんなが酷い目にあった揺り戻しからなのか、前回、前々回と自民が圧勝だったけれど、今回ももっと振り子が振れている最中じゃないですか。その勢いは続いているんだと思います。

ただ、みんなが勘違いしていると思うのは、都議会で小池さんが率いる(地域政党)「都民ファーストの会」が圧勝したもんだから、小池さんも周りの人も、これが世間の流れだと思ったんでしょう。でも、都議会は国会と違います。

——安倍首相は、「国難突破解散」と銘打ち、北朝鮮問題と少子高齢化を強調しました。

でも、安倍さんの目的は改憲だと思います。ただ、改憲と言っちゃってそれを争点にされると、「戦争か平和か」とか、「子供を戦争に行かせるか行かせないか」とかに持って行かれ、そうすると、「戦争がない方がいい」といった議論になっちゃうのを避けたのでしょう。

安倍政権は2015年9月に安全保障関連法を成立させましたが、その際、言葉をすり替えられて子供と女性が随分ダマされたと思っているのでしょう。「戦争を求めて安保をやる」のではなくて、アメリカという用心棒と強固な契りを結ぶかどうかという議論です。よそから殴り込みをかけられた時に、お互いに助け合う約束をしようよという話をしているのに、「戦争をする気か」と反発されたのです。

Wataru Nakano
インタビューに答える高須克弥さん=東京・赤坂

■日本は、「自分で自分が守れる国」になってほしい

——まもなく投開票日です。新政権に望むことや、日本をどういった国にしていってほしいと考えますか。

「普通の国」、最終的には「自分で自分が守れる国」になってほしいんです。でも今は力がないから、とりあえずアメリカと同盟を結びます。

明治維新の状況にそっくりですよ。勝海舟が出て来て、幕府をうまく騙して、大政奉還をやらせて新政府ができたけれど、しばらくの間は日英同盟を結んでいました。ロシアとの戦争でも、英国の力をバックにして戦い、その後、独立国として強くなっていきました。最後に、アメリカと戦って一度だけコケたことを除けば、何も間違っていない政治をやってきたんです。

——高須さんが事実婚している漫画家、西原理恵子さんと政治・選挙について議論することもあると耳にします。

ええ、公然とどこででも、西原理恵子と僕とはイデオロギーは正反対だと公言しています。彼女は外国が日本に侵攻するなら、その前に家族を海外に逃して私も逃げるって言っています。「家族を含めた共同体の生命と財産を守るために、僕は身を捨てて戦う」って言うと、彼女は「勝手に戦って」と返します。

彼女は「いい迷惑だからさっさと安全なところに逃げる、とりあえず自分と家族だけ良ければいい」と言うんです。そんな考えの人が増えたら、攻められた日本はすぐに崩壊してしまいますよ。

私たちがここに存在するのも先人たちが子孫を残そうと国を守ってくれたおかげだと思います。西原理恵子に、我が身をすてて国民を守ってくださった終戦の詔勅の精神を理解させたいのですが、難しいですね。国防の意識のない人は、敵に攻撃された時に一番に取り締まらなくてはいけないと思います。

——ただ、イデオロギーなど考え方は自由だということですか。

ええ。平和な時は、全く僕と対立する意見でもいいんですよ。僕は独善的に自説で人を押さえつけるようなことは好きではありません。民主主義って「あなたの言うことには賛成しないけれど、言うことは一応、聞こう」というものですから。

——安倍首相もそういう立場でしょうか。

安倍さんは、心から思っているかは知らないですけど、人の話を聞いていますよ。メディアで報道される安倍さんの態度を見ると、紳士的ですね。そんなに高圧的ではないですよ。

——安倍首相は都議選の最終盤、東京・秋葉原で演説し、聴衆一部から「安倍やめろ」コールを受けたことに対し、「こんな人たちに負けるわけにはいかないんです」とやり返しました。結局、都議選で自民は惨敗しました。

現場では安倍首相への反対派がとても多いように報じられましたが、実際はそうではなく、編集で大勢が反対したように見せただけでしょう。

——安倍首相は、自分を批判する報道に政治的圧力をかけたりしていないんでしょうか。

ないでしょう。ただ、周りの人たちが忖度して動いているかもしれません。

——ところで高須さんは、メディアはどうあるべきだと思っているのでしょうか。

その点について、安倍さんとは大いに違うかもしれません。右でも左でも、偏った報道でもいっぱいあった方が面白いと思っています。申し合わせをしたように、皆が同じ報道をしたらつまらないでしょ。メディアって、大いに偏ってやった方がいいと思っています。

政権寄りと、反政権と、それにサイレントマジョリティーを代弁するメディアもほしいですね。私も、自分に反対する人が意見してき、議論になると、すごく嬉しいんです。僕に反論があれば、堂々と言って来てくれればいいんです。

高須克弥(たかす・かつや) 1945年、愛知県生まれ。美容外科医、医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。真宗大谷派の僧侶でもある。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』『私、美人化計画』『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』など。

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高須克弥院長