自分で産んでいない子供の「親」になる。里親や特別養子縁組の要件とは

新しい親子は、こうして生まれます。
※写真はイメージです。
Toru Hanai / Reuters
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自分で産んでいない赤ちゃん・子どもを、家族として迎え入れる里親や特別養子縁組。さまざまな事情で育てられなくなった産みの親に代わって、「親」「家庭」という役割を担っている。

ここ数年、施設で育てるのが中心だった児童福祉政策が転換し、里親や特別養子縁組を増やそうという動きが広がっている。

赤ちゃん・子どもは、どういった経緯で新しい「親」に迎えられるのか。もし「親」になりたいと思ったらどうすればいいのか。「親」になるのに必要なことや、新しい「親子」が生まれるまでの流れをまとめた。

■赤ちゃん、子どもはどこから来るの?

赤ちゃんや子どもを家庭に迎え入れるには、児童相談所か民間団体を経由する2つのパターンがある。

児相に預けられるのは、親の死亡や虐待を受けた子どもや、予想しない妊娠で家庭で育てられなくなった赤ちゃん。産みの親やその親族で受け入れ先が見つからない場合、児相側が里親や特別養子縁組に委託するか、乳児院や児童養護施設といった施設に預けるかを判断する。里親や特別養子縁組の対象となる子どもも、多くの場合、一旦施設で暮らした後に委託される。

一方民間団体は、特別養子縁組だけを受け入れている。妊娠の相談を受けると、出産の段階からサポートし、産まれてきた赤ちゃんを育ての親と引きあわせる。

日本には、産みの親が育てられなくなった子どもが約4万5000人いる。そのうち約85%が、特別養子縁組や里親といった家庭環境でなく、施設で暮らしている。

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■「親」になるのに必要なこと

里親編

住んでいる都道府県や政令市の児童相談所に相談し、里親になるための要件を満たしていれば申請できる。

要件は地域によってさまざま。

例えば東京都は、「心身ともに健全」「家庭生活が円満」「経済的に問題がない」「里親の年齢が原則として25歳以上65歳未満」といった項目を設けている

次に、里親になるための研修や家庭の調査、審議に移り、問題がなければ申請から3カ月から半年ほどで、里親への登録が認められる。

その後、条件が合う赤ちゃん・子どもがいれば児相から紹介を受ける。一緒に出掛たり自宅に泊まったり、1〜3カ月間にわたって交流。良好な関係を築いていけるかを児相側が判断し、委託するかどうかを決める。

厚生労働省のリーフレットより

特別養子縁組編

児相を利用する場合は、里親の申請する時に、「養子縁組里親」を選択する

東京都では、一般的な里親の要件に加えて、「年齢が原則として25歳以上50歳未満」「婚姻している」といった項目が加わる。登録が認められ、里親として赤ちゃんを預かった後、特別養子縁組を申請する。

一方民間では、養子縁組の仲介に必要な届出を出している団体・個人が、全国に約20ほど存在する。

親となる要件は、団体ごとにさまざま。

例えば、一般社団法人「アクロスジャパン」の養子縁組委託・相談事業は、「清潔な家に住み、経済的に安定している」「自分の価値観や宗教を押し付けない」といった条件を設定

また、東京の認定NPO法人「フローレンス」の赤ちゃん縁組事業は、「配偶者がいる」「25歳以上である」といった民法の規定のほか、「夫婦一緒に積極的に家事・育児をする」ことなども求めている

赤ちゃん縁組事業では、書類審査や面談、家庭調査をクリアすると、育ての親として登録され、保育施設や助産師の下で育児研修を受ける。条件に合う赤ちゃんや子どもがいれば、団体側がマッチングし、委託する。

フローレンスの公式サイトより

児相と民間団体どちらのケースも、育ての親本人から申し立てを受けた家庭裁判所が、特別養子縁組を許可するかどうかを決める。

成立に必要な要件は次の通り

①産みの親の同意(死亡や子どもへの虐待などケースは同意が必要なし)

②親になる人の年齢(配偶者がいて、25歳以上。片方の親が25歳以上であれば、もう一人は20歳以上であればOK)

③子どもの年齢(6歳未満)

④6カ月以上、迎え入れる子どもと一緒に暮らしている

④の状況などを基に、家裁が特別養子縁組がふさわしいかを判断し、許可すると、育ての親と子どもが「実の親子」になる。

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