カリフォルニア山火事 大学生は30キロの愛犬をぶら下げて自転車で走った

「大切な犬、置いていけない」
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予期せぬ事態で避難しなければいけない時、持って逃げるのは人生で一番大切なもの。

山火事の被害にあった、カリフォルニア州北部の街サンタ・ローザに住むナターシャ・ウォレスさんの場合、それは迷うことなく愛犬のベントレーだった。

ウォレスさんは、サンタ・ローザ・ジュニアカレッジに通う大学生。地元のテレビ局KTXLによると、街が火事に襲われた10月8日の夜、ウォレスさんは遅くまで外で宿題をしていた。

自宅に戻ったのは深夜を過ぎた午前2時頃。その時、高速道路の方向から火の手が迫っていることに気が付いた。

「火事だ、逃げなければ!」と思ったウォレスさん。自宅に戻ると愛犬の4歳のピット・ブル、ベントレーを自分の車に押し込んだ。

「大切な犬を置いていくなんて、考えられません。文字通り、犬を連れていくか死ぬかの選択です」とウォレスさんはKTXLのインタビューで話している。

"So I grabbed my dog and I told him, 'Hey man this is serious, you need to just sit in the bag.' And he, he hopped right in."

FOX40さんの投稿 2017年10月13日(金)

ウォレスさんとベントレー

ところが数分後に、渋滞で車は動けなくなってしまった。

このままでは火に追いつかれてしまうと思ったウォレスさんは、自転車で逃げようと自宅に戻った。しかし、自転車に重さ70ポンド(約31キログラム)のベントレーを乗せて逃げるのは至難の業だ。

そこで、ウォレスさんが思いついたのは大きなバッグを使うアイディア。自宅からバッグをつかんでくるとベントレーにこう伝えた。

「いい子だからよく聞いて。火事でマジでやばい。お願いだからバッグに入ってじっとしていて」。その言葉に、ベントレーはバッグに飛び込んだという。

<火事について語るウォレスさん(英語)>

ウォレスさんは、子供くらいの重さがある犬を入れたバッグを首にかけて、必死に自転車をこいだ。

しばらく走って渋滞から抜けたところで、車を運転していたポール・ジョンソンさんという男性が、ウォレスさんとベントレーを車に乗せて一緒に避難してくれたという。

ウォレスさんの住んでいた地域は全焼し、火事の後は何ひとつ残らなかった。しかしウォレスさんは命が助かって、とても幸運だったと話している。

ウォレスさんの部屋があった場所。
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ウォレスさんの部屋があった場所。
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ウォレスさんは新しい家を探しているが、犬と一緒に住むことができる場所をみつけるのは難しい。

そこで、クラウドファンディングサイト「Go Fund Me」で、助けを求めている。同サイトに、彼女はこう綴る。

「大きな犬と一緒に住める場所をみつけるのはお金がかかります。だけどそれは最優先事項です。あとは下着やサッカースパイクも必要です」

「今は文字通り、どんなものでも助かります。手を差し伸べて下さったみなさん、本当にありがとうございます」

寄付は現在までに、目標額の半分を超える1万6240ドルが集まっている。

GoFundMeのページ
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GoFundMeのページ

ウォレスさんの家を焼いたカリフォルニア北部の山火事は、同地域に甚大な被害を与えている。ウォレスさんの住んでいた地域も、少なくとも3000軒の家が焼失した。

また、CNNによると、これまでに少なくとも40人が亡くなり、2000人の所在が不明になっている。