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病児の付き添いで病院に24時間缶詰め それって人間的ですか

「気が狂いそう」「仕事辞めた」親が声を上げ始めた

2017年10月30日 07時34分 JST | 更新 2017年10月30日 09時14分 JST
Getty Images/iStockphoto
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子どもが入院したとき、少なくない病院で家族が24時間付き添うよう求められている実態をご存知だろうか。医師の長時間労働が問題になっているが、外出もほとんどできない状態で、子どもにずっと付き添う親たちがたくさんいることは、なぜかずっと、おおやけの「問題」と認識されてこなかった。

■見えなかった「問題」

​​子どもの付き添いが理由で、一日中病院から一歩も出ず、長いと月単位、年単位で病院で暮らしているような人もいる。子どもに付き添いたいと思っている親ですら、心身ともに体を壊したり、ほかのきょうだいとのつながりが破壊されたりしている。職を失う親もいる。「病気の子どもに付き添うのは家族の務め」という意識が、そうした実態を見えづらくしてきた。

理不尽だと思って今年8,9月、朝日新聞に書いた記事がある。

乳幼児の入院付き添い、なぜ24時間?(記者の一言)
24時間 親が付き添い?子どもの入院時、苦悩する家族

この中で
​​​​​・病棟の中は付き添いがいないかのような作りで、堅い簡易ベッド、もしくは子どもに添い寝。シャワーも短時間、食事もほとんどコンビニ食か外食

・親はほとんど子どもから離れられず、家に残してきた他の子どもたちは病棟に入れないため、会えるのは多くて月に数回。不安定になるきょうだいも

・病院のホームページに「看護は看護師が行うため、付き添いは不要」と書いてあるのに、病院の求めで付き添っている親も。あくまで親の希望によるものと位置づけられ、毎月、付き添いの許可申請を出している。

・子の病状の深刻さに加え、外から一歩も出ることのない環境の中で、心身の健康を損なう親もいる
ーーーという実態を紹介した。

2つの記事には、Twitter上で多くの反響が寄せられた。
多くは親からだった。

付き添いが不要な病院に入院し、泣いている子どもを見た気持ちを綴ったツイートもあった。

慢性の病気の子の場合、退院後も様々な形で「付き添い」を求められている実情を指摘する意見も。

「子供が苦しむなら、親が付き添うのは当然」という意見もあった。

医療関係者と思われるツイートもあった。病院の実態の原因として医療制度の問題を指摘する意見もあった。

■「24時間付き添い」は法律違反なのか

かつて家族や民間派遣業者による付き添いの慣行があった。

だが、付き添いによる家族の身体的、経済的な負担を問題視する議論が起き、看護師の配置人数を手厚くした新しい基準が1994年に導入され、付き添いは「なくなった」ことになった。

診療で守るべき基本ルールを載せた「療養担当規則」の第20条でも、「患者の負担により、患者に保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない」と、付き添いを禁じている。

このため、大きな総合病院では入り口に「付き添いはお断りしています」などの紙をわざわざ貼ってある。

だが、24時間付き添いが可能になる根拠が別にあった。

病院が治療の見返りとして受ける「診療報酬」について、厚生労働省が都道府県に2年おきに通知している「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」という文書がある。

これにも「患者の(金銭的)負担による付添看護が行われてはならない」と書かれている。

だが続いて、こうも書かれている。

患者の病状により、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない」

病院から付き添いを求めておきながら、付き添いは「家族が希望している」という格好の文書の記入を求めてくるのは、この一文が根拠になっているのだ。

ただ、この一文の後に、もっと大事なことが書いてある。

なお、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関(病院)の看護要員による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない

この通知でも、看護師代わりに家族を使わないよう釘を刺しているのだ。

何のために家族を24時間缶詰にして付き添わせているのか、きちんと説明できる病院はどれだけあるのだろう。

ここまで知った上で病院の求めを受け入れている家族は、どのくらいいるのだろう。

■「ノー」と意思表示した家族

中学生を筆頭に4人の子どもがいる山形市の佐藤稔さんは、今年6歳になる双子の長男と次男が何度か入院した経験を持つ。

そのたびに病院から付き添いを求められるが、「できない」と言い続けてきた。「付き添いを求めること自体、ルール違反」と思ったからだ。

双子はともに、先天性の病気による障害があり、生まれた時から寝たきりの状態が続く。長男はいま、療育医療施設で暮らし、次男は自宅で暮らしている。

次男が発熱で地元の総合病院に4日ほど入院した際、医師から入院中は家族が泊まりがけで付き添うよう求められた。仕事やほかの子どもの世話があるから無理、と断ると「今後は別の病院に行ってください」などと言われた。

佐藤さんはここで引き下がらなかった。前に紹介した厚労省の通知を引き合いに「通知に違反している。事務局長と話をさせて欲しい。保険病院として問題がある」と主張した。

結局、泊まりがけの付き添いの話はなくなったが、朝から夜の11時まで妻と佐藤さんで交代で付き添い、深夜家に戻る生活を送った。

2014年12月の2週間、長男が手術で大学病院に入院したときも、家族の付き添いを求められた。

このときも佐藤さんは療育医療施設側の小児科医にこう言った。「小児科医同士が親の付添入院を前提に治療計画を進めるなんておかしくないか」  

結局このときは妻と2人で交代で24時間付き添ったが、「病院側の都合で、親が本来求められるべき選択肢を限定されている現実がある」と指摘する。

■大人の患者も子どもの患者も、配置される看護師の数はほぼ同じという現状

ただ、病院が付き添いを求める背景には、国が定めている病院の人員配置の問題もある。

青森県立中央病院の総合周産期母子医療センター成育科の網塚貴介部長は2014年、朝日新聞に「病院の子の付き添い 母親への依存 見直しを」と題し投稿した。

網塚さんは投稿の中で、付き添い不要としながら、その実親の希望という建前で付き添いを要請してる現場の実態は、医療制度の不備があると指摘する。  

病院側で(看護は)対応できるという理屈だが、一般的な小児看護態勢では看護師1人あたりの夜勤担当患者数は10人を超える。『付き添い不要』が非現実的であることは明らかだ。この矛盾が今、働く母親を窮地に追い込んでいる。雇用情勢が大きく変化したからだ。(中略)

まずは、矛盾が存在することを認めるべきだ。この矛盾を解消するには、現状の小児看護態勢ではあまりに手薄だ。家族がどうしても付き添いできない場合に、病院側で何とか対応できる態勢をつくる必要がある

子どもは注射一本打つのに心の準備をしてもらう時間が必要だったり、目を離すうちに体に付いたチューブをとろうとしたりするなど、大人よりも時間や人手がかかる。それなのに、大人の患者と同数の看護師しかいないことが、家族の労力に依存する構造を生み出している、という指摘だ。

24時間ほぼベタバリで子どもに家族が付き添っている「風景」は、いくつかの「何か」が渾然一体となってできあがっている。このテーマへの取材を通じておぼろげに見えてきた。

①病気の子どもにどこまでも付き添ってあげたい親の愛情、付き添わなければならないという規範意識

②病院の中でも、家族と子どもは希望するとおり一緒に過ごす時間を得る権利がある、とする小児医療における家族の権利の理念

③表向き、付き添いは禁止としながらも、患者が小さいが故に人手のかかる小児看護の特性が看護師や他のスタッフの配置数に全く反映されず、「例えば家族による(無償の)付き添いは医師の許可があればよし」という通知の文章が、結果的に①や②に依存する構図に誘引している公的医療制度


​​​​​​​■どういうかたちがいいのか
病院に入院した子どもとその家族はどうあるべきなのか。

そのヒントとして、ヨー ロッパ協会(EACH)が「国連子どもの権利条約」にのっとって、どんな病院の環境が子供には用意されるべき条件なのかをまとめた「病院のこども憲章」を紹介したい。
憲章の考えに基づいた付き添いを実践しているところは国内でないのか、さらに調べてみようと思う。

病院のこども憲章

1 必要なケアが通院やデイケアでは提供できない場合に限って、こどもたちは入院すべきである。

2 病院におけるこどもたちは、いつでも親または親替わりの人が付きそう権利を有する。

3 すべての親に宿泊施設は提供されるべきであり、付き添えるように援助されたり奨励されるべきである。親には、負担増または収入減がおこらないようにすべきである。こどものケアを一緒に行うために、親は病棟の日課を知らされて、積極的に参加するように奨励されるべきである。

4 こどもたちや親たちは、年齢や理解度に応じた方法で、説明をうける権利を有する。身体的、情緒的ストレスを軽減するような方策が講じられるべきである。

5 こどもたちや親たちは、自らのヘルスケアに関わるすべての決定において説明を受けて参加する権利を有する。すべてのこどもは、不必要な医療的処置や検査から守られるべきである。

6 こどもたちは、同様の発達的ニーズをもつこどもたちと共にケアされるべきであり、成人病棟には入院させられない。病院におけるこどもたちのための見舞い客の年齢制限はなくすべきである。

7 こどもたちは、年齢や症状にあったあそび、レクリエーション、及び、教育に完全参加すると共に、ニーズにあうように設計され、しつらえられ、スタッフが配属され、設備が施された環境におかれるべきである。

8 こどもたちは、こどもたちや家族の身体的、情緒的、発達的なニーズに応えられる訓練を受け、技術を身につけたスタッフによってケアされるべきである。

9 こどもたちのケアチームによるケアの継続性が保障されるべき である。

10 こどもたちは、気配りと共感をもって治療され、プライバシーはいつでもまもられるべきである。

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子どもが入院したときの付き添い、どう思いますか? SNSなどで議論を続け、さらにハフポストで紹介したいと思います。

ご意見がある方は、Twitterで 「#病院の付き添いを考える」 のハッシュタグをつけて体験談や考えを教えて下さい。記者のメール​​​​(masako.kinkozan@huffpost.com)でもお待ちしております。
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