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「全国の犯罪者がネットに集合」と専門家 座間9遺体事件と“ネット上の出会い”

もしあなたの子が「ネットの友達に会う」と言ったら、どうする?

2017年11月08日 18時21分 JST | 更新 2017年11月09日 09時42分 JST
時事通信社
座間9遺体事件 現場のアパート

神奈川県座間市で9人の遺体がアパートの一室から見つかった事件では、被害者の中に15〜17歳の女子高校生3人が含まれていた。容疑者は被害者と「Twitterで知り合った」などと供述したと報じられ、改めて子どもの「ネットの出会い」の危険性が浮かび上がっている。

しかし、中高生にとって「ネットでの出会い」はもはや一般的。Twitterには「ネットの友達と会ったことがある」「むしろネットにしか友達がいない」などの投稿もみられた。

趣味の世界を広げ、新しい出会いをもたらす可能性があるネットの世界は、時に子どもにとって危険な世界にもなりうる。私たちはどう付き合っていけばいいのだろうか?

グリーの社会貢献チームマネージャーで「11歳からの正しく怖がるインターネット」などの著作がある小木曽健(おぎそ・けん)さんに話を聞いた。

ーー著作で小木曽さんは「ネットで知り合った人と会うのはまだ危険な時代」と書かれています。

趣味の仲間を見つけたり、友達を作る。ネットと現実の境目は良い意味でなくなりつつあります。

ただ、現実的には、子どもが、街中で知り合った人に殺されるよりも、ネットで知り合った人に殺されるほうが確率が高い。それは間違いないんです。

私は主に子どもたちを対象に年間300回以上ネットの安全利用について講演をしていますし、多くの子どもからの相談も受けています。その中での実感ですね。

ーー小木曽さんは日頃、「ネットも現実も同じ。正しく使えば怖くない」という主張をされています。意外な気がしました。

残念ながら、子どもを狙う犯罪者の割合は、街中よりもネットの方が多いんです。それは、街で声をかけるよりもずっと効率的に子どもに出会えるから。

「子どもを狙う全国の犯罪者がネットに集合している」という事実があり、その事実がまだ、多くの人に知られていない。ネットで犯罪者に遭遇する確率が高くなってしまう理由です。

「ほら、だからネットは危ないじゃないか」と言われてしまうのはとても不本意なのですが、それは客観的な事実として仕方がないことです。「犯罪者が集まっている」という事実を皆が知って対策をすれば、現実と同じに戻せるとは思うんですが。

ーー「ネット規制」が再び議論されています。

まず前提として「死にたい」っていう子どもがいた、ということがありますね。これはネットとは関係がありません。そして、「人を殺したい」人がいた。これもネットとは関係がありません。

ネットやSNSを規制してもそれぞれの人に影響をあたえることはできないんです。ただ、その両者を効率的に結びつけたのがSNSです。

ーーもしも親の立場で、子どもが「ネットの友達に会う」と言ったら、どうするべきでしょうか?

事実かどうかはわかりませんが、今回の容疑者が、被害者の中に「本当に死にたい人はいなかった」と供述したという報道がありましたね。

あの発言が示唆していると思いますが、生きる意欲がない子が、人に会いに行ったりするだろうかという気がします。

つまり、SNSに「死にたい」「自殺したい」と書き込んだからといって、必ずしもその子が死にたいとは限らない。「誰かに聞いてほしい」「助けてほしい」というメッセージを発信しているんです。

もしも親として、子どもに言うとしたら、私はこうアドバイスするしかないと思うんです。

ネットは、自分が思ったことを誰かに聞いてほしいと思って書き込むための道具です。だけど、その気持ちは、あなたが伝えたいと思う人だけじゃなくて、全員に届いてしまう。

その中には、あなたの気持ちを踏みにじる人もいる。悪用してアッサリ命を奪う人もいる。ネットに書くということは、そういう人間を含めて皆に心の叫びを伝えてしまうこと。

だから、本当の気持ちを晒して見せることはリスクが大きい。それを理解して書き込みをするべきだし、そういう書き込みを見て会おうとしてきた人とは、会うべきではない。

今回の事件は、多くの大人にとっては他人事、対岸の火事だと思っているかもしれません。

それはそうなんです。正直、私のような大人の男が、個人情報をいくら書き込もうが、ネットで誰かと出会おうが、さほどの大きなリスクはありません。

判断力というよりも、利用する人によってリスクの大きさが違うのがネットです。大人よりも子ども、男の子より女の子のほうが、リスクが大きい。それは動かしがたい事実です。

ーー小木曽さんは、SNSの1つ、グリーでネットパトロールの責任者もされていましたね。事業者としての対策はどのようにされていますか。

子どもを専門に守るシステムを作り、終始、監視状況を作っています。子どもを狙った犯罪者、自殺を示唆する書き込みなどは同じぐらいの緊急度で対応しています。

国内のSNS業界の中では、過去に「自殺します」と投稿した子どもに対して、警察、携帯電話会社と連携して保護したという事例もありました。その時、その子は「助けてくれてありがとう」と喜んでくれたそうです。だからこそ、事業者としては今回のような事例には真剣に向き合っていかないといけないと感じています。

   ◇  ◇

警察庁のまとめで2017年上半期(1~6月)にSNSがきっかけで犯罪被害に遭った18歳未満は全国で919人いた。統計を取り始めた2008年以降増加傾向にあり、過去最多の被害数となっているという。

また、被害者のうち3分の1強がTwitterに起因する犯罪に遭遇していた。

GREE
小木曽健さん

■プロフィール

小木曽健(おぎそ・けん)

グリー社会貢献チームマネージャー。2010年グリー株式会社入社。「GREE」のネットパトロール・カスタマーサポート部門の責任者を経て、12年8月より現職。インターネット啓発に関する全国での講演は年間300回以上、受講者は40万人を超える。講演を基に作成した無料教材「事例に学ぶ情報モラル」は、消費者教育教材資料表彰の優秀賞を受賞。著作に「開始1分で聴き手を裏切る一流のプレゼン術 ~40万人を魅了したグリー名物セミナー講師の伝える力~」 (impress QuickBooks)、「大人を黙らせるインターネットの歩き方」 (ちくまプリマー新書)、「11歳からの正しく怖がるインターネット」(晶文社)など

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