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2017年12月13日 06時00分 JST | 更新 2017年12月16日 12時52分 JST

40代のツアー旅行ひとり参加がおすすめな理由 益田ミリさんに聞いてみた

「世界の美しいもの」を書き出してみることからはじめました。

「美しいものを見ておきたい。40歳になったとき、なぜか急き立てられるような気持ちになりました」

北欧のオーロラ。フランスのモン・サン・ミッシェル。リオのカーニバル......。世界にあるたくさんの「美しいもの」を見てみたい。

イラストレーターの益田ミリさんは、そう思い立って、世界中あちこちのツアー旅行にひとりで参加し、エッセイ『美しいものを見に行くツアーひとり参加』(幻冬舎)を描いた。

「一瞬だけ違う人生を生きられるような感覚がありました」と語る益田さんに、話を聞いた。

Kaori Sasagawa

40代も、何か新しいことがしたかった

――40歳を目前に控えて、「急き立てられるような気持ち」で「美しいものを見ておきたい」と思ったのはなにか理由が?

実は30代のとき、日本全国をひとり旅したことがあるんです。それまでひとりで旅行なんかしたことなかったんですが、日本には47都道府県あるんだし全部行ってみようと。のちに『47都道府県女ひとりで行ってみよう』という本になったんですが、私が旅行記を書くきっかけになりました。

そんな経験から、40代も自分なりの新しい旅がしたいなとは思っていたんですね。30代後半になり、「美しいもの、きれいなものを見ておきたい」という気持ちが自然に湧き上がってきて。それで、まずは自分が思う「世界の美しいもの」を書き出してみることからはじめました。

――何個ぐらい挙がってきましたか。

7、8個くらいだったかな。雑誌やテレビで見て、「きれいだなぁ、行ってみたいなぁ」と思った場所です。実際に行ったドイツのクリスマスマーケットや、フランスのモンサンミッシェルなどの他にも、カナダのプリンスエドワード島や、スイスの山などリストに入っていました。万里の長城も入ってたかな。いつか行ってみたいです。

ツアー旅行へのひとり参加がおすすめな理由

――自由度の高い個人旅行ではなく、「添乗員が同行するツアー旅行」への「ひとり参加」にしたのはなぜでしょう。

海外ひとり旅は不安という方って、結構、多いんじゃないでしょうか。実際、わたしもそうでした。かといって、自分が行きたい場に毎度つきあってくれる友達を探していたら、なかなか出発できません(笑)。「じゃあ、団体ツアーにひとり参加するってどうかな?」と。41歳のとき、思い切ってオーロラツアーに申し込んでみました。

――「ひとり参加」でも大丈夫でしたか?

やっぱり初めてのことだったので、行く前はドキドキしてたんですよ。みんなが盛り上がってる中で、私だけポツンとなっちゃったらどうしよう、と。

でも、ひとり参加の方って、案外いらっしゃって。浮く感じにはならなかったです。みんなで観光もするし、自由時間はひとりでふらっともできる。それがわかってからは気楽になりました。

『美しいものを見に行くツアーひとり参加』/益田ミリ

――団体ツアーといっても、いつも全員が一緒に行動するわけじゃないんですね。

そうそう。北欧のオーロラツアーでも、自由行動の日があったんです。トロムソという街に泊まったときは、ホテルが山のほうだったので、日中は、ひとりバスに乗って繁華街まで出てみました。団体ツアーですが、ひとり旅気分も味わえるんです。

エッセイでも書きましたが、雪の街を散策中、入ったチョコレートショップの店員さんとのやりとりなども楽しい思い出です。困ったことが起こったら、添乗員さんに連絡することができるという安心感もありました。

一瞬だけ、違う人生を生きられるのが旅の醍醐味

――その後もドイツのクリスマスマーケット、フランスのモン・サン・ミッシェル、リオのカーニバル、台湾の平渓天燈祭と、益田さんが「美しい」と感じる風景を訪れる旅は続きます。5つの旅のうち、3つが〝お祭り〟ですね。

あ、本当ですね。お祭りって、その時にだけ見られる「美しいもの」。憧れは強かったんだと思います。

とはいえ、人出も多いし、個人ではホテルも押さえにくいだろうし。そう考えると、お祭りこそ、団体ツアーが便利かもしれません。ブラジルのリオのカーニバルに、まさか自分が行けるなんて思いもしませんでしたから。

――リオのカーニバルは究極の祝祭という感じがしますよね。

夜の9時からスタートして、カーニバルは、なんと朝までつづいたんです。みんなで観光バスで朝帰り(笑)。さすがにクタクタになりましたが、「見られた」という清々しさがありました。

世界各国から旅行者が集まってきていているので、みなさん、カーニバルの楽しみ方もそれぞれでした。それを観察するのもおもしろかったです。一緒になって激しく踊っている人もいれば、お酒や食事を楽しみながら観ている人も。わたしたちのツアーは、旅行会社からおそろいの「はっぴ」を渡されて、みんなで着てました。祭りだし、ってことですかね? 

ブラジルはもちろん初めてですし、食べ物が合うのかな、という心配はあったんですけど、わたしはどれも好きな味でした。特に果物。毎朝、ホテルでもりもり食べてました。

『美しいものを見に行くツアーひとり参加』/益田ミリ

――無理かな、ダメかも、と思っていたけど、意外と大丈夫な自分を発見できたんですね。

発見といえば、オーロラを見て、大自然の美しさに圧倒されて帰国しますよね。そうしたら、普段の夕焼けを、より美しく感じるようになりました。オーロラも美しかったけど、夕焼けだって美しいなぁ、と。

そういえば、20代の頃の旅行って、お土産もいろいろ買いたいから忙しかったけど、そういう部分は薄まった気がします。これも発見といえるでしょうか。

――40代ならではの旅がある?

ツアー旅行での移動中、バスの窓からヨーロッパの街の風景を見ていたとき、一瞬だけ違う人生を生きられるような感覚がありました。

もしも自分がこの街で暮らしているなら、あの店に入っているかもしれない。あの人と友達かもしれない。今の自分の人生を思いながら景色を見る感覚っていうのは、大人ならではの楽しみなのかもしれません。

後編:スケジュールに「余白」ありますか? 仕事と休みのバランスはこう工夫すればいい

(取材・文:阿部花恵 編集:笹川かおり)


ハフポスト日本版は、自立した個人の生きかたを特集する企画『#だからひとりが好き』を始めました。

学校や職場などでみんなと一緒でなければいけないという同調圧力に悩んだり、過度にみんなとつながろうとして疲弊したり...。繋がることが奨励され、ひとりで過ごす人は「ぼっち」「非リア」などという言葉とともに、否定的なイメージで語られる風潮もあります。

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