異性愛の男性2人は、同性婚を選んだ。その理由は

介護をしてくれた友人への恩返しのため、老人は決意した
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AFP/Getty Images

2015年に同性愛者の結婚が世界で初めて国民投票により合法化されたアイルランドで、男性2人が結婚式を挙げたことをガーディアンなどが報じた。だが、2人は同性愛者ではない。異性愛者だという。

2人の結婚には、切実な理由がある。

結婚式を挙げたのは、マット・マーフィーさん(83)と、彼を長年介護してきたマイケル・オサリバンさん(58)。ダブリン市内で12月22日、11人の友人らに見守られ、結婚式を挙げた。オサリバンさんは「マットを友達として大好きだし、彼もそうだ」と、話した。

マーフィーさんとオサリバンさんは、30年もの間、親しくしてきた。オサリバンさんは過去に、女性と結婚した経歴もある。

2人とも厳しい時期を過ごしてきた。

アイリッシュタイムズによると、オサリバンさんはかつて、マーフィーさんと同じ会社でコンピューターの技術者をしていたが、不景気の間に家を銀行にとられ、ホームレスになったことがある。マーフィーさんは視神経に影響を与える巨細胞性動脈炎を煩い、苦しんでいた。

オサリバンさんは言う。「しばらく彼の所で過ごしていたのだけれど、マットが『ここにいたらどうだい?』と僕に言ったんだ。時折一緒にいたけれども、ずっとではなかった」

だが、マーフィーさんは、オサリバンさんを介護者として雇うほどの余裕はなかった。

「とうとう、マットが言ったんだ。僕に(介護者としての仕事に)お金を払う方法は、この家を僕に残すしかないって。彼が亡くなっても、僕が住むところを失わずに済む、と」

しかし、そうすると5万ユーロ(約670万円)もの相続税がかかることになり、結局納税のために家を売らなければならないことになる。

そんな折、友達とおしゃべりしていたマーフィーさんは、「2人が結婚すればいい」と言われた。「で、彼は1晩そのことを考えて、僕と結婚すると言ったんだ」と、オサリバンさん。配偶者になれば、相続税が非課税になる。

巨額の相続税を払わずに、確実に家を残す方法として、マーフィーさんとオサリバンさんは、結婚という手段を選んだのだ。

オサリバンさんは、アイルランドの性的少数者のコミュニティに敬意を示している。

「ゲイやレズビアンたちは人生の大半で差別を受けながらもこの国のために懸命に闘い、彼ら自身のためだけでなく、他の皆のための平等を得たのです」

アイリッシュタイムズによると、前司法長官はこの結婚は「完全に合法」としている。

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