「結婚前にブライダルチェックを受けよう」

「妊活に向けて、毎日基礎体温を測ろう」

「どうしても授かりたいから、病院で治療を始めよう」

妊活、不妊治療、どうして私だけが頑張らないといけないの......?

そう感じている女性は少なくないのでは。

2017年、日本発のあるスマホアプリが一躍世界中で話題になった。世界最大級の広告祭、カンヌライオンズのモバイル部門のグランプリを受賞した、スマホでできる精子チェックアプリ&キット「Seem」だ。2016年11月にリクルートライフスタイルが発売した。

Seem

現状、妊活や不妊治療はまず女性の側から取り組むことが多い。なかなか授からず、パートナーと一緒に病院に行ったところ、男性側の不妊が判明した。そんなケースも少なくない。

Seemが世界的に注目されたことで、妊活や不妊治療において、世界的にも女性側に比べ、男性側の取り組みが途上であることを浮き彫りにした。

不妊の半数は、男性に原因

「実は不妊の約半数は、男性に原因があるんです」と語るのは、開発者の入澤諒さんだ。WHO(世界保健機関)の調査では、不妊に悩むカップルの約半数は男性側、6割超は女性側に原因がある(重複を含む)という。しかし男性不妊の現状は、広く浸透しているとは言えない。

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いつか子どもを授かりたいと思うカップルは、早い段階から男性の精子の状態についてもチェックしておきたい。

いざ、精子チェックにチャレンジ

ハフポスト日本版では男性不妊の現実とSeemの利用を広めるため、リクルートライフスタイルの協力を得て、男性エディター2人がSeemでのセルフチェックにチャレンジした。

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チャレンジャーはハフポスト日本版 エンゲージメントエディターの坪井遥(31・右)とスチューデントエディターの木内慧(24・左)。いずれも独身だ。

挑戦した理由を、2人はこう語る。

坪井「30代になり、これからのライフプランについて考えるようになりました。まず自分のことを知りたくなって、そのうち一つが生殖能力はどうなのだろうと。将来結婚を考えるときに、パートナーにしっかり説明できるようにしておきたいです」

木内「僕が生まれる前、両親が不妊治療をしていて、精子の方に原因があったという話を聞きました。だからこそ、まだ早いかもしれませんが、今からチェックしておきたいと思いました」

驚くほど簡単。精液をレンズに載せるだけ

まず、スマホにSeemアプリをダウンロードし、Seemキットを手に入れておく。

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キットには精液の採取用カップと、スマホ顕微鏡レンズ、採取棒・測定チケット(QRコード)つきの説明書が入っている。

チェックは驚くほど簡単だ。

Seem

①精液を採取用カップに採取する。15〜30分ほどすると、精液がサラサラしてくる。

②採取用カップを回して、精液を混ぜる。

③採取棒を使ってレンズカバーのくぼみ部分に精液を1滴載せる。レンズとカバーの間に精液が広がる。

④レンズをiPhoneのフロントカメラにセットし、真上から光を当て、アプリで撮影する。

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2人は心持ち緊張しているようだ。

いざご対面。動いてる!

自分の精子と真剣に向き合う瞬間。アプリ上で、自分の精子が動いているのが見える。データは自動的にスマホからサーバーに送られ、すぐに測定結果が送られてくる仕組みだ。

Seem

数年前から利用者が増えてきた遺伝子検査は体液などを検査機関に実際に送付し、期間を置いて結果が送られてくるものが多いが、Seemはその場でスマホに測定結果が送られてくる。

あまりの簡単さに驚く2人。

「濃度」と「運動率」。結果は......?

測定できるのは「濃度」と「運動率」。WHO(世界保健機関)が発表している基準値と比べて、自分の精子の濃度や運動率が高いか低いか、知ることができる。

結果はどうだったのだろうか。

Seem

坪井「僕は、濃度も運動率もWHOの基準値以上だったので、ひとまずホッとしています」

木内「あっ、運動率が基準値よりちょっと低い......。生活習慣を見直して、また使ってみたいです」

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Seemを通じて早期治療、妊娠

実際に、Seemを使ったことで精子の異常が判明、適切な治療を受けて子どもを授かった人もいるという。

入澤さんはこう語る。

「Seemのプロトタイプができたのが2015年4月。ちゃんと使えるかどうか、実際に社内で20人が協力してくれたんです。その中で精子の状態が良くない人が4人見つかりました。そのうち1人は何度検査しても精液の中に精子が全くいない状態だったんです。すぐ不妊治療専門の病院に行ったら無精子症が判明しました。精液が通る管に異常があり、閉塞性の無精子症だったのです。幸い精巣から精子を採取することができ、Seemでチェックしてから半年後に妊娠できました」

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不妊という課題の解決を目指す、命につながるサービス。社内でも、「この製品を世に出さないと」という使命感が高まったという。そこからさらなるユーザーテストや臨床試験を経て、発売にこぎつけた。

簡単にチェックできれば、早めに治療できる

前職で女性の生理・排卵日予測アプリに携わっていたこともあり、元々不妊などの悩みを少しでも解消できるサービスを生み出したい、と考えていたという入澤さん。妊活に対する女性と男性の意識の「タイムラグ」が課題だと感じていた。

「スマホで簡単に精子の状態がわかれば、男性もより協力的になり、早めに行動を起こせるのでは」

リクルートヘルスケアで新規事業を担当していた入澤さんは、上司が病院で精液検査を受けたことをたまたま聞き、アイデアを思いついたという。2015年1月。当時、スマホの性能がどんどん上がっていた。動画撮影も精緻になり、計算もできるし、データを送る速度も速くなった。レンズメーカーなど外部のパートナー会社にアイデアを話して回ったという。

開発までのストーリーは入澤さんのブログをぜひ読んでみてほしい。

緊張、不安、すべてが尊く感じる

今回挑戦したエディターの坪井はこうも話した。

「最初から軽い気持ちで受けたわけではなかったけど、思ったよりも緊張しました。自分の精子を初めてカメラで見て、結果を知るまでがすごく怖くて......。不妊治療をしている方々が感じている不安はこういうものなのかもしれないと、理解できました」

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Seemの利用者からは、ほかにもこんな感想が寄せられているという。

「精液の中に命の種が動いているのを見て、大事なことなんだと思えました」

「すべてが尊く感じて、彼女に優しくなれました」

入澤さんが、男性不妊を専門とする医師に聞いたところ、無精子症の男性は100人に1人という。決して少ない割合ではない。

「今は妊活というと、女性が先にアクションを起こすことが多いです。でも、これからは子供が欲しいと思う男性側も、男性不妊についての知識が必要だと思っています」

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精子の状態は体調や生活習慣などで変わる。複数回チェックして、自分の傾向を知ることが重要(Seemキットは再利用不可)。入澤さん自身もSeemを継続的に使っていると、ストレスが溜まっている時や多忙な時に、数値が下がることが多いという。

「男性が積極的に自分の体と向き合って、定期的に自分の精子の状態を知っておく。そういうふうに常識を変えていきたい」

Seemキットは税込4,980円。AmazonなどECと、一部店舗でも販売している。Seemのホームページはこちら

lbo

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