アート&カルチャー
2018年01月27日 10時05分 JST | 更新 2018年01月27日 10時05分 JST

封印されたホラー漫画『殺戮モルフ』が復活決定。一部シーンが無断で真っ黒に、原作者の要請で発売中止になっていた

修正バージョンが2月20日に発売。問題のシーンはどうなるのか?

原作者の意向で発売中止となっていた秋田書店のホラー漫画『殺戮モルフ』第2巻が、新たに修正を加えて2月20日に発売されることになった。

osoroshiya.com
外薗昌也さんが運営する「恐ろし屋」の『殺戮モルフ』紹介ページ

■見本を受け取った原作者が唖然

殺戮モルフ』は外薗昌也(ほかぞの・まさや)さんが原作、兄妹ユニットの「小池ノクト」が作画を担当するパニックホラー。2017年2月から青年誌「ヤングチャンピオン」で連載中だ。謎めいた殺人鬼に翻弄される女子高生の恐怖を描いている。

第2巻は同年12月20日に発売予定だったが、事前に出版社から見本を受け取った外薗さんは唖然とした。一部の凄惨なシーンが「黒塗り」状態だったからだ。事前の約束では、これらのシーンは、雑誌掲載時には黒塗りにするが、単行本では「オリジナルな状態で掲載する」という話だった。

このままの形の出版に納得がいかなかった外薗さんは12月12日、次のようにツイートした。

これがネット上で「戦時中の教科書みたい」「検閲か?」と大きな反響を呼んだ。

その後、外薗さんと「ヤングチャンピオン」の編集長との間で話し合いがあった。「このままの状態なら発売して欲しくない」という外園さんの意向を汲んで、第2巻の発売は一旦中止。すでに刷り上がってる分は廃棄された。

このとき黒塗りにされた描写は、外薗さんによると「女子高生の死体で作った過激なオブジェが登場するシーン」だったという。2月に発売される新バージョンの単行本では、どのように表現されるのだろうか。

ハフポスト日本版は1月26日、外薗さんに取材した。以下はそのやり取りだ。

■「問題のシーンは、なくなります」

---新しいバージョンの第2巻では、以前黒塗りとされていたシーンは、どのような形で掲載されるのでしょうか?

問題のシーンは、なくなります。構図も見せ方もガラリと変えているので、問題ないと思います。以前の黒塗り版は画面が真っ黒になり、何が何だかわからず、読者が筋を追えないのが問題でした。

---そもそも雑誌掲載時には「黒塗り」とするが、単行本発売時には「黒塗り」を解除する方針だったのに、実際に見本を見てみると真っ黒になっていたそうですね。何があったのでしょう?

本来なら問題だと感じたシーンは作画前に修正します、 しかし今回はそれがなく、そのまま書かせてしまいました。私も内容が強烈だった自覚があり、修正依頼が来ることを覚悟してましたが、編集部がスルーだったので驚きました。

でもやっぱり問題があると判断され、雑誌掲載時に問題シーンは網掛け(暗いトーンを入れること)すると言われました。「それなら...」と、了承しました。

単行本時には網掛けを外す、という説明でしたが、いざ単行本の見本を受け取ると雑誌掲載時よりも黒くなり、全く読めなくなっていました。 「雑誌だけではなく、単行本も規制が厳しくなっている」という説明は聞いていましたが、真っ黒にする話は聞いてなかったので驚き呆れました。

問題があるのなら言ってくれれば、そのシーンは修正したんです。 なぜ、その手間を省いて真っ黒に処理しちゃったのか? ズサンとしか思えません。 いまだに謎です。

---表現規制をめぐっては「表現の自由」を求める立場の人と、「一定の規制が必要」の立場の人で意見が分かれています。今回の騒動を振り返って、外薗さんはどのように考えていますか?

今回の件では、一部から私が規制反対派のリーダー的な見方をされて困惑しました。私は、どんな規制にも絶対反対というわけではなく、自主規制もある程度必要だと考えています。

漫画家は、その時々の状況にあわせて、構図や演出を工夫してきた。それだからこそ表現が発達洗練されてきたという歴史もあります。

漫画家が安易に過激な表現に走り、読者がそれに慣れてしまえば、洗練されていない作品ばかりが生まれる。それは恐ろしいことです。 ただ、出版社が過剰に萎縮したり、そのせいで作家に無断で表現を変えてしまうような事態はさけてほしいと思います。