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2018年02月03日 17時00分 JST

韓国でも#MeToo広がる 女性検事がセクハラ告発、議会、テレビ、航空会社でも…

被害の訴え、続々と

韓国で1月26日、現職検事が検察内部での「セクハラ」を告発。これをきっかけに、様々な女性が声を上げ始めた。韓国でも「#MeToo」の動きが急速に広がっている。

■現職検事による、検察内部での告白

ハンギョレNews1によると、この女性検事は1月26日、検察内部ネットワークに次のように告発した。

2010年10月30日、葬儀場で、隣に座った法務部長官(当時)から、長時間にわたって、腰を抱かれ、お尻をなでられたという。

投稿では経緯を、以下のように説明した。

公の場で突然起こった出来事で、侮辱感と羞恥心は言いようがなかったが、当時でもセクハラを持ち出しにくい検察の雰囲気、セクハラの事実が報道された場合の検察のイメージ失墜、被害者に加えられる二次被害などを理由に悩んでいたなか、当時の所属省の幹部を通して謝罪を受ける線で整理がついた。しかし、その後、謝罪や連絡も受けないまま、ある日、事務監査から多数事件に指摘を受け、これを理由に検察総長の警告・専決権の剥奪を受け、通常ではない人事発令を受けた。

女性検事は投稿のなかで「人事の背景にセクシャルハラスメントをした検事がいたこと、当時の検察局長(現国会議員)がセクハラ事実を伏せたことを知った」と明かした。

また「わたしはごく普通の、誠実に仕事をしている検事です。わたしは不当な扱いを受けたと、組織内で、冷静に意思表示しました」「しかし回答は『検事生活をどのくらいつづけたいのか、検事生活を長くつづけたいのなら静かに上司の評価を受けていろ』というものでした」と綴った。

「10年前、ある黒人女性の小さな叫びだった"MeToo"運動が、全世界に響き渡ったのを見ながら、私たちもこれ以上沈黙せず、内部からの改革を成し遂げる小さな一歩になればとの思いから、必死に書いています」

女性検事は、こう説明した。

投稿の末尾には、「#MeToo」「#検察人事制度」「#検察内性暴力」というハッシュタグがつけられた。

■告発された側の反応

News1/HuffPost Koreaによると、この法務部長官(当時)は、「昔のことだから、正確な事実関係を覚えておらず、同席者に経緯を確認している」「事実関係が正確に確認できれば、再度説明する」と語った。同時に「ただ、そのことで謝罪要求を受けたことはなく、当時、女性検事に不利益を与えた事実はない」とした。

セクハラの事実を伏せたという告発を受けた検察局長(当時)は「約10年前の出来事で記憶が全くない」とする一方、疑惑については全面否定した。

■告発への賛意の動き

女性検事の告発を受け、同期の司法関係者225人が2月1日、徹底した真相究明を求める声明を出した。

声明では「女性検事が明かした性的暴力被害について、徹底的な真相究明を要求する」「他に被害者がいないかも、綿密に調査しなければならない」と主張した。

また、勇気を出して被害を明かした女性検事に、いかなる不利益もあってはならないと強調し、「彼女の望み通り、同じような被害が起こらないよう、検察の性差別的な組織文化を根本的に反省し、性暴力の被害者が不利益を被る不公正な慣行と手続きを改めなければならない」とした。

また韓国各地で、告発した女性検事を支持するデモも行われた。文在寅大統領は1月30日、これについて以下のように述べた

これが事実なら、検察という組織の中ですらセクシャルハラスメントが蔓延し、(被害者は)二次被害が怖くて我慢しているということだ。実際に韓国で、社会生活をする女性が職場内でのセクハラ(被害)を切に訴えても少しも良くならない現実が再確認された。被害者が恐れることなく、問題提起できる風土が重要だ。このようなセクシャルハラスメントが起こらないよう(職場内の性暴力根絶に向けた文化の定着を)政府革新の課題の一つとして追加してほしい

■地方議会、大手航空会社、放送局まで...

この告発をきっかけに、地方議会や大手航空会社、公共放送でも告発の動きが出ている。

​京畿道(キョンギド)の女性議員は自身のFacebookアカウントを通して、今まで受けてきたセクシャルハラスメントを告白し「日常茶飯事だ」と述べた

アシアナ航空では、アシアナグループ会長が女性客室乗務員への不適切な身体接触をし、本部長やパート長がそれを強要していた疑惑があがっている

また、公営放送のMBCでは、ドラマプロデューサーが常習的なセクシャルハラスメント問題で社内調査を受けていると報じられた

■過去にはこんな動きも

女性検事のセクシャルハラスメント告発にさかのぼること2年前、韓国では、ある「通り魔殺人事件」をきっかけに声があがったこともある。

2016年5月17日、ソウルの繁華街・江南での殺人事件が起きた。犯人の男性は公衆トイレに1時間半ほど滞在し、たまたま入ってきた面識のない女性をめった刺しにしたという。

警察の取り調べに「普段から女性に無視され犯行に及んだ」と動機を明かしたことが、衝撃をもって受け止められた。

「女性という理由で殺害されるなら、この街の私も偶然生きているだけ」。事件があった江南駅の出口は、ネット上で呼びかけで、追悼メッセージが書かれたポストイットで埋めつくされた。一周忌の集会も、同じ場所で行われた。

AFP/Getty Images
South Koreans leave messages written on post-it notes at an exit of Gangnam subway station, which has been turned into a mini shrine for a 23-year-old woman who was stabbed to death by a stranger the previous night in a nearby public bathroom, in Seoul on May 20, 2016. The brutal murder of a woman in Seoul's upmarket Gangnam district has triggered a public outcry and a debate over what some see as a growing streak of violent misogyny in South Korea. / AFP / JUNG YEON-JE (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)

AFP/Getty Images
South Koreans leave messages written on post-it notes at an exit of Gangnam subway station, which has been turned into a mini shrine for a 23-year-old woman who was stabbed to death by a stranger the previous night in a nearby public bathroom, in Seoul on May 20, 2016. The brutal murder of a woman in Seoul's upmarket Gangnam district has triggered a public outcry and a debate over what some see as a growing streak of violent misogyny in South Korea. / AFP / JUNG YEON-JE (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)