NEWS
2018年02月04日 11時04分 JST | 更新 2018年02月04日 11時05分 JST

「肉がおいしく焼ける」にこだわったフライパンに注文殺到 開発した社長の思いとは?

秘密は、小さいながらもずっしりくる重さにあった

朝日新聞社
完成した「おもいのフライパン」を持つ石川鋼逸社長と試作品のフライパン=碧南市中松町1丁目
​​​​​​​

「肉がおいしく焼ける」フライパン人気 鋳造会社の思い

愛知県碧南市の鋳造会社が昨年12月に発売したばかりの「肉がおいしく焼ける」こだわりの鉄製フライパンが口コミなどで評判になり、自社サイトのみでの販売ながら注文から納品まで45日待ちの人気ぶりだ。その名も「おもいのフライパン」。商品開発にかけた「思い」とは?

開発したのは、石川鋳造の4代目石川鋼逸(こういつ)社長(45)。熱したフライパンに溶き卵を流し込むと、ジューッと音がする。「普通のフライパンではこの音がなかなか出ない。熱伝導が良い証拠です」とうれしそうな顔をする。鋳物のメリットは、熱伝導が良くしかも均一で焼きムラができないことや蓄熱温度の高さ、それを生かしたのが「おもいのフライパン」だ。

直径約20センチと小ぶりだが、持つとずっしり重い。重さは1・2キログラム。ただ、持ち手の重みとのバランスがとれていて、意外に扱いやすい。重いのは厚みが5ミリあるためだが、肉をおいしく焼くには必要な厚みだという。

開発に取り組み始めたのは約10年前だ。同社は自動車部品や水道管の委託製造を主に請け負ってきたが、自動車の電気化が進む中、新しい自社製品の開発が急務だった。熱伝導などの鋳物の利点を生かせるのはフライパンだと思い至ったものの、すでに他社のヒット商品があった。

「後発が同じものを作っても意味がない」。石川さんは様々なレストランや食堂を訪ね、食事中の人たちの顔を見て回った。「一番おいしそうなのは肉料理を食べている人の顔だった」。調べてみると「肉がおいしく焼ける」を売りにするフライパンはまだ無かった。方向性は決まった。

さらに、食品偽装など食の安心安全が問われる事件が続発したことから「無塗装」で仕上げると決めた。多くのフライパンは焦げ付き防止にフッ素樹脂塗装などが施されているが、塗装は数年ではがれてしまう。無塗装なら余計なものを体内に入れることもなく安心して長く使える。無塗装でもさびにくくする技術力に、自信があった。

3年前から試作品作りを繰り返し、厚さ、大きさ、持ち手の形や角度などを試行錯誤して完成させた。

ガスコンロでもIHでもオーブンでも使用でき、家庭用オーブンに入る大きさに設計した。持ち手は指にあわせた三つの穴が手になじみ、そのまま食器に使えるデザイン性にもこだわった。表面の凸凹が油になじんで使うほど黒光りしてくる。器具の良さを引き出す料理のレシピ集も添えた。

商品名の「おもい」には、「重い」と作り手がこだわった「思い」、それに、使う人の「思い」に応えたい気持ちを込めた。

9千円(税抜き、送料込み)で自社のサイトのみの販売だが、1カ月半で約500個が売れた。1日10枚しか作れず、製造が追いつかない状態だ。問い合わせは石川鋳造(0566・41・0661)へ。(小西正人)

(朝日新聞デジタル 2018年02月04日 08時32分)

関連ニュース