「おしゃれヒジャブ女子」がいま、増えている。ヴェールの着用は、「抑圧」や「強制」ではない

インドネシアの「おしゃれ」とは?専門家に聞いてみた
@mariammoufid / Instagram

インドネシアを中心に、イスラムの教えの中で楽しめる「おしゃれヒジャブ女子」が急増している。

東京でも2016年から「TOKYO MODEST FASHION SHOW 」が開催されており、露出を控えたムスリムファッションの魅力を伝える動きが国内でも広がっている。

現代東南アジアを研究する専門家は、「ステレオタイプなイスラム教のイメージが払拭され、ポジティブなイメージに繋がってほしい」と話す。

ムスリム女性たちの「おしゃれ」を追った。

2010年代に入り、ファッション業界は「おしゃれヒジャブ女子」のブームを後追いするように、ムスリムコレクションやファッションショーを展開し始めた。

ドルチェ&ガッバーナー(D&G)」、「トミー・ヒルフィガー」や「ダナ・キャラン・ニューヨーク(DKNY)」などといった世界的に有名なアパレルブランドもムスリム商品の販売を開始。世界各地では、ムスリムファッションをテーマにしたファッションショーが開催されはじめた。

トムソン・ロイターの調査によると、ムスリムの消費者は2015年に衣服におよそ2兆4300億ドルを費やしており、今後この市場は2倍以上にまで拡大するという。

また人口統計もアパレル業界がムスリムファッションに注目している理由の1つだ。ピューリサーチセンターによると、世界各地でムスリムの人口は非イスラム教徒の2倍の速さで増加している。

ムスリムファッションブームの中心の1つはインドネシアだ。

インドネシアでは、1998年のスハルト体制崩壊後、民主化、経済成長とともに、表現活動の自由が認められるようになり、自覚的なムスリムが増えた。

ムスリムファッションの条件は、時代や地域、場所によって異なるものの、インドネシアだけでなく現代のムスリム社会の多くで最低限認識されていることは、以下の3つ。

(1) 顔と手以外を覆う

(2) 体のラインを見せない

(3) 透けない

ムスリムの人口増加や経済水準が高まっていることから、ムスリムファッションのブームはまだピークではなく、成長市場だと見られている。

この現象を専門家はどうみてるのだろうか?

ハフポスト日本版は慶應義塾大学・野中葉専任講師に聞いた。現代東南アジアの専門家で、ムスリムファッションに詳しいことで知られている。 野中さんは「彼女たちは自発的にヴェールを着用し、自由に活動している」と話す。「抑圧」や「強制」は、そこにないのだという。

日本では、「ムスリムファッション」の認知度はまだそこまで高くない。

一方で、ユニクロが日本国内でムスリム女性(ムスリマ)向けのコレクション「UNIQLO×HANA YAJIMA」を発表した事例もある。コレクションには、伝統的なムスリムの衣装だけでなく、チュニック風トップスやロング・フレアスカート、快適なリラックスパンツなどのアイテムも充実しており、イスラム教徒以外の人でも楽しめるデザインだ。

ファッションに、ムスリムと非ムスリムの線引きは必要ない。

野中氏は、「イスラム教と聞くと、テロなどのネガティブなイメージをしがちです。ムスリムファッションを通してステレオタイプなイスラム教のイメージが払拭され、ポジティブなイメージに繋がってほしい」と語っている。

注目記事